ぼくの頭を冷ましたなおこさん

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なおこさんに出逢ったのは,四年生の時で,秋も深まり,もうすぐ冬がやってきそうな頃だった。

ぼくは,卒論に追われていたが,なかなかうまくいかずに困っていて,無性にお酒が飲みたくなり,たまたま入った小料理屋の女将がなおこさんだった。

若い頃の大原麗子にそっくりで,とても着物が似合い,笑うとえくぼが可愛い女(ひと)だった。

目が大きく,少し口をあけた表情は,何ともいえないあどけなさがあった。

そこは,なおこさん一人で切り盛りしていて,お手伝いはいないようだった。

ぼくが入った時は,遅い時間で,客が引けた後だったのか,誰もいなかった。

なおこさんは,カウンターに座ったぼくの顔を見て,一瞬,おやっ,という表情を見せた。

「もう,材料は余りないんだけど」

と,少し困った顔で言った。

「ビール,それともお酒?」

「お酒を下さい」

「熱燗でいい?」

「はい」

なおこさんは,表に出てのれんを外して中へもってきた。

「今日は,もうおしまいね」

ぼくの前に,つきだしとお酒をおいた。

「私も飲ませてもらっていいかしら」

「どうぞ」

横に座ると,ぼくにお酒をついで,自分は手酌でついだ。

ぼくが,盃をあおると,

「何があったのか知らないけど,そんな飲み方しちゃだめよ」

と,言って,空になった盃にお酒を満たした。

「学生さん?」

「そうです」

「こんな時間に出歩いてもいいの」

時刻は午後十一時をまわっていた。

「まあ,あまりよくないでしょうね」

くすっと笑って,

「そうよね。まだ夜遊びする歳じゃないし」

酔ってきたのか,少し生意気な口調で,

「そんなことないと思いますけど」

「あら,そうかしら」

と,からかうような表情で言った。

酔いがまわってきて,横にいるなおこさんの姿がぼやけてきていた。

「大丈夫?」

なおこさんの声が遠くに聞こえる。

その声を最後に自分の正体を失っていった。

ぼんやりと目をあけると,そこは四畳半くらいの和室で,鏡の前でなおこさんが化粧をおとしている姿が見えた。

ぼくの動きを背後で感じたのか,

「目が醒めたみたいね」

「いくら起こしても起きないし,あげくの果ては,帰ると言って大声を出すものだから,仕方なくここに寝かせたの」

「ここまで引きずってくるの大変だったんだから」

「すみません」

なおこさんは,着物を脱いで長襦袢の姿になり,こっちをむくと,

「どうする,帰る?」

「今何時ですか」

「午前三時を少し過ぎたところ」

ぼくは,体がだるくて,起きられそうにもなかったので,

「もう少し,このままでもいいですか」

「いいけど,私の寝るところがないわ」

「じゃ,畳の上でもいいです」

「そんなことしたらかぜひくわよ」

どうすればいいのか困っていると,なおこさんは,ぼくの顔を上からのぞき込んで,

「一緒に寝ようか」

と,笑顔で言った。

なおこさんは薄化粧だったから,素顔は化粧している時とあまり変わらなかった。

「いいんですか」

「仕方ないじゃない。布団は一つしかないんだから」

「ぼくは男ですよ」

「そう?」

なおこさんは,含み笑いをして,ぼくの横に滑り込んできた。

体を動かして間をあけようとした時,なおこさんはあおむけになったまま,

「女が横に寝ているのに,何もする気はないの」

「でも」

「今,男って言ったじゃない」

「そうですけど」

「それともあれは単なるはったりだったの」

なおこさんはうつぶせになって,ぼくの顔を見ながら,

「若い学生さんは,こんな年増に興味ないのね」

間近で見るなおこさんは,成熟した女の色香が溢れていた。

「いや,その」

答えにつまっていると,

「じゃ,お休み」

と,言って背をむけてしまった。

ぼくはそのまま黙って天井を見ていた。

「もう,じれったいわね」

と,言うなり,こちらを向いたかと思うと,ぼくの顔を両手ではさみ,唇を重ねてきた。

なおこさんは,舌をからませてきて,唾液が喉に入り,ぼくはごくんと飲んだ。

「女のおいしさを教えてあげる」

そう言うと,長襦袢をはだけて乳房を露わにし,ぼくの顔に押しつけてきた。

隆起した乳首はきれいなピンク色で,乳輪は小さな円を描いていた。

ぼくは,乳児がおっぱいを吸うように,目の前の乳首を口に含んだ。

「やさしく吸うのよ。余りきついと痛いから」

そして,ぼくの手を取ってなおこさんに触れさせた。

そこはもうしとどに濡れていて,ぼくの指が入るのを待っているかのようだった。

子宮に当たるまで入れて動かすと,なおこさんの吐息が荒くなり,さらに乳房を押しつけてきたので,ぼくは息苦しくなった。

なおこさんは,パンツに手を入れて,ぼくの準備が出来ていることを確かめると,

「もう入れたい?」

「それとも,してほしい?」

と,湿った声で訊いた。

「してほしい」

なおこさんは,シャツを脱がせると,耳たぶをやさしく吸い,首筋に舌を這わせてから,脇腹をなぞるようにそれを動かした。

そして,ひろげた足の内ももに唇をもっていき,膝から股の付け根までゆっくりと滑らせた。

ぼくは,そんなところが感じるとは思いもよらず,自分の反応におどろいた。

せり上がってきたかと思うと,ぼくの乳首を口の中ででころがしたので,鳥肌がたってしまった。

その間も,手はぼくを刺戟していたから,もう爆発寸前で,なおこさんがぼくを含んで浅く動かしただけで,たちまちに絶頂を迎えそうになった。

その微妙な変化を感じとると,ぼくの根元を親指と人差し指できつく締め,ぼくを含んだまま動かすのをやめた。

ぼくがおちつくのを待って,奥までぼくを含んで頭を左右にゆっくりと動かしたあと,少し早く動かしたので,

「いく」

と,言うと,動かすのをやめ,ぼくの律動が終わるまでそのままにしていた。

その時,ぼくはそりかえり,脳天から脊髄を通過してぼく自身まで電流のようなものが走るのを感じていた。

ぼくに顔を近づけ,

「少しにがいけどおいしかった」

と,笑った。

そして,上になると,なおこさんのそこがぼくに当たるまで体をずらし,ぼくをはさんだ。

「若いのね。まだ大きいままだわ」

そこがぼく自身をこするように腰を動かしながら言った。

ぼくの回復を感じたのか,なおこさんは体をたて,ぼくをふかくおさめると腰を前後に動かした。

ぼくの手を乳房のところにもっていき,揉むような仕草をしたので,ぼくはそれを撫で回すようにしてもみしだいた。

「いいわ」

と,喘ぐような声を漏らすと,両手でぼくの乳首を弄んだ。

やがて,なおこさんはぼくと胸をあわせ,ぼくの手を自分の背中にもっていき,そのまま反転させるとぼくが上になった。

なおこさんの白い肌はピンク色に染まり,すこし汗ばんでいた。

下になったなおこさんは,腰を微妙に動かしてぼくを刺戟してきた。

ぼくは,今まで経験した女性がそんなことをしなかったので,驚くとともに,なおこさんのそこをまるで生き物のように感じた。

「ついて」

その声が合図になって,ぼくは激しく動いた。

なおこさんは,ぼくの背中に手をまわして抱きしめてきた。

ぼくの動きに合わせるように,なおこさんの呼吸ははやくなり,眉間に皺を寄せ,

「いく」

と,濡れた声で言った時,なおこさんのものがぼくを吸い込むように動き,それが引き金になって,

「ぼくも」

と,言うと,

「一緒に」

と,言いながら,お尻に手をあて自分に引き寄せるようにしたので,ぼくはなおこさんの奥深くでおわった。

「そのまま動かないで」

ぼくは昂奮冷めやらず,なおこさんの唇に自分のそれを押しつけた。

やがて,ぼくのものが元に戻っていくと,なおこさんの中からでてきたのを感じた。

なおこさんは優しく笑いながら,

「これでも年増はだめかしら」

ぼくは,急に甘えたくなり,なおこさんの豊満な乳房に顔をうずめると,

「ごめん」

と,言った。

「きれいにしてあげる」

なおこさんは,ぼくのものを眺めて,

「どうしてこんなに小さなものが大きくなるのかしら」

「ちいさいときはかわいいのに」

問わず語りにつぶやくと,ぼくのものを吸った。

舌がヒルのように先端を這い回り,その刺戟に負けていくのを感じたぼくは,なおこさんの口の中で蘇っていった。

「あら,もう元気になった」

なおこさんはぼくを立たせ,その前で正座し,お尻に手をまわすと,ぼくを含んで動いた。

その動きを上から見ていたぼくは,なおこさんを征服しているように感じ,思わず頭を両手でつかむと夢中で腰を動かしていた。

なおこさんは,抗(あらが)うこともなくされるがままになっていた。

ぼくがなかなかいかないので,口を離して四つん這いになった。

「うしろからして」

なおこさんは,甘えるように言い,ぼくをうながした。

中腰になり,濡れて光っているなおこさんにあてがうと,一気に奥まで入れた。

「あっ」

ぼくはなおこさんのお尻を鷲づかみにして激しく腰を振った。

「いい,もっとついて」

息が乱れてはずんだその声は,ぼくを扇情的な気持ちにさせ,なおこさんが締めつけてくるのを感じながら,いってしまうまでぼくの動きをやめさせなかった。

「とてもよかったわよ」

「若いから回復も早かったし」

「なおこさんの体のせいだ」

「おせじでも嬉しいわ」

「おいしかった?」

「とてもおいしかった」

なおこさんは,ぼくの髪を撫でながら,じっと見つめ,

「いいこと。これは一夜の夢よ」

「もう一度夢を見たいとここにきちゃだめ」

「わかった?」

「うん」

「約束できる?」

「約束する」

「いい子ね」

なおこさんは,ぼくがむせるほど自分の胸に強く抱きしめてくれた。

どれくらい時間が経ったのか分からないが,辺りは白み始めていた。

起き上がって服を着ると,なおこさんに,

「飲んだお金は?」

「いいわよそんなもの。私も今夜はいい夢を見させてもらったから」

「ありがとう」

部屋を出ていこうとすると,背後から,

「もう頭に血をのぼらせちゃだめよ」

その言い方は,母親のようにやさしかった。

なおこさんは,ぼくが店に入ってきた時の顔つきを見て,その硬い表情から,何かにせっぱつまっている雰囲気を感じとったのだろう。

だから,ぼくの精気を抜いて,頭を冷まさせるために抱いてくれたに違いなかった。

 

なおこさん,おかげさまで無事卒論を出すことが出来ました。

そして,女性のおいしさも少し分かりました。

ぼくが,男のおいしさを教えられるようになったら,もう一度逢って下さい。

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