ぼくに男の子と女の子との違いを見せた祐ちゃん

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祐ちゃんは,小学校近くの駐在さんの娘だった。

祐ちゃんは,ぼくが三年生の時転校してきた。

背が低くて色白の可愛い顔をしていた。

祐ちゃんの雰囲気は,余りに都会的で,田舎育ちの僕には近寄るのも憚られた。

席が空いていたので,祐ちゃんはぼくの隣になった。

祐ちゃんと机を並べるようになったものの,ぼくは何を話していいのか分からなかった。

祐ちゃんから見れば,とてもぶっきらぼうに映ったことだろう。

そのうち,祐ちゃんは女の子と仲良くなり,いつも一緒に遊んでいた。

やがて夏が来て,体育に水泳が入ってきた。

あの時代(60's),プールなどという上等な設備はなかったから,専ら学校の下の川で泳いだ。

木造の古い校舎だったので,更衣室もなく,いつも教室で水着に着替えていた。

高学年は,先ず男の子だけが着替えて,男の子が外に出て行くと女の子が着替えていた。

でも,低学年は男女一緒に着替えることになっていた。

ぼくは,祐ちゃんが着替えるのを見まいとしていたが,ある時,祐ちゃんの体に巻いていたバスタオルがはらりと落ちてしまった。

祐ちゃんの素裸の姿が目に飛び込んできた。

祐ちゃんにはぼくにあるようなおちんちんはなかった。

そのかわり,股の付け根の真ん中に何か筋のようなものがあった。

それが女の子の印(しるし)とは知らなかった。

ぼくは,祐ちゃんの裸を見たことを誰にも言わなかった。

祐ちゃんも何事もなかったように振る舞い,ぼくもそうした。

でも,ぼくは,今まで見たこともない女の子の裸に圧倒されていた。

それは,初めて女の子と男の子の違うところを見たせいだった。

後年,女性を経験するようになって,祐ちゃんにあった筋は女性自身であることを知った。

はからずも,祐ちゃんは,ぼくに女の子と男の子の違いを見せたのだった。

そのことがあってから,ぼくは,祐ちゃんを意識してしまい,何も話せなくなった。

翌年三月,駐在さんの転勤で,祐ちゃんは転校していった。

 

ぼくに女の子の大事なところを見せてしまった祐ちゃんは,今どうしているだろうか。

祐ちゃんは,そのことを憶えているだろうか。

もし,祐ちゃんに逢えることがあったら,そのことを話せるだろうか。

幼き日の想い出といっても,余りに鮮烈すぎたが故に,どう話していいか分からないに違いない。

祐ちゃん,あの日の出来事は,ぼくにとって大切な想い出になっているよ。

たった一年しかいなかったけれど,祐ちゃんを忘れていないのはこのことがあったからなんだ。

祐ちゃん,また,どこかで逢えるといいね。

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ぼくを忘れていなかった祐ちゃんに続きます。

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