高速道路の最高速度110km化に思うこと

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共同通信の2017年9月28日の記事によると,警察庁は2017年9月28日,新東名高速道路の新静岡インターチェンジ(IC)―森掛川ICの上下約50kmについて,2017年11月1日から最高速度を試験的に110kmへ引き上げると発表したとのことです。

また,東北自動車道の花巻南IC―盛岡南ICでも引き上げる方針で,岩手県警などが開始時期を検討しているようです。

現在の最高速度は100kmですが,僅か10kmあがることの影響はどのようになるのでしょうか。
考えておかねばならないのは,60kmやそこいらから10kmあがるのではないということです。

実際に110km~120kmでクルージングされた方だとお分かりになると思いますが,100kmから10kmあがるというのは,車の性能を含め,人間の反応もそれに合わせる必要があるということです。

私の経験では120kmですと,スピードの感覚が大きく変化するように思います。
今まではまわりの他車が遅いために何とかなってきた側面があるのですが,まわりも同じ様な速度になるとどうでしょうか。

随分様相が変化するように思えます。
何せ,追い越しをしようとすると120km以上は出さないと出来ないのではないでしょうか。
瞬間的にせよそのような速度に対応できるかどうかはドライバーの力量(テクニック)に左右されます。

果たして,全てのドライバーがそのような対応が可能でしょうか。
その前に,車の性能を確認する必要があります。

私が今乗っているCX-5の場合,120kmでクルージングすることには何ら不安はありません(経験済み)が,少し古い車だと,アクセルを踏めばそれ以上のスピードが出るからということではなく,直進安定性などがどれくらいのスピードに対応して設計されているかが問題になるのでないでしょうか。
また,各種センサーがなく安全装備にも不安があるでしょう。

次にドライバーの問題ですが,高速で走るためには「動体視力」が極めて大切になってきます。
この動体視力が余りよくない人にとっては,制限速度が上がることは厳しく,まわりの速さに順応できない可能性があります。
特に加速していく時の視野が狭くなってくる感覚はある種の恐怖を引き起こしかねません。

動体視力は,車を運転する間隔が開くほど衰えてきます。
これは年齢の問題ではなく,毎日車を運転しているかどうかが問題なのです。

私は,レース関係のゲームが好きなのでよくやりますが,1週間もあくとそのスピードの感覚について行けなくなってしまいます。
プロのレーサーが日頃はバイクに乗っているというのを聞いたことがあります。

それは,バイクの方が圧倒的に加速力がよいので,動体視力を衰えさせないためにいいというのです。
そう考えると,レースのゲームをやっていることもあながち無駄ではなくなってきます。

時速100kmの場合は1秒間で約28m走りますが,約110kmでは31m走ることになります。
その差はわずか3mですが,時速110kmの状態では一瞬の遅れが重大な事故に繋がる可能性を否定できません。

また,連休の時などには,サンデードライバーとおぼしき人が追い越し車線を延々と走る場合があり,それが渋滞を引き起こしています。
この「追い越し車線」を走り続けることに対するマナーをきちんとしないと,他車との速度差が大きくなり,追突事故を起こしかねないように思います。

そして,日本特有の車両として軽四輪がありますが,これも110km走行が可能となりますと,益々危険なのではないでしょうか。
確か軽四輪のメーターは140kmまでしかなかったと思いますので,ぎりぎりのところで走ることになります。

「試験的に」とされていますので,道路の設計とは別に,車や人間の問題をどこまで克服できるかが110kmを継続できるかどうかの分かれ目ではないでしょうか。
高速道路のマナーが低いと言われる日本では,このような高速化は難しい命題かも知れません。

これがうまくいかない場合には,ますます「スピードは悪」という観念が植え付けられて,警察庁の対応は厳しくなるような気がします。
是非ともこれを成功させて,世界の趨勢に追いつきたいものです。

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