2018.01.26,株式会社コインチェックが東京証券取引所で記者会見を行い,顧客から預かっていた仮想通貨「NEM(ネム)」約580億円分が流出したと発表しました。
以来各メディアで大々的に取り上げられ,それまで無関心であった方にもその存在を知らしめました。
私も漠然とは知っていましたが,一部の方たちが熱狂的な状況になり,「億り人」なる方々まで出ているとは思いませんでした。
ただ,その人たちは現実のお金として1億円(納税前)を手に入れているかどうか。
というのは,株式でもそうですが「評価額」が1億円であっても,それは現実のものではありません。
仮想通貨の「億り人」もそうであれば,それはまだ真の「億り人」ではありません。
換金した結果として1億円(納税前)を手に入れた人のことであるかどうかを見極めておく必要があります。
にわか勉強した者が,このような専門的な領域に関する記事を書くのは控えるべきなのですが,素人なりに思うことがありますので記してみたいと思います。
解説記事などを読んでいてもカタカナの専門用語の羅列が多く,語彙の意味が分からなければ理解できないものが多いです。
ここで感じることは,PC と同じで知っている人と知らない人との格差の大きさです。
PC の使い始めを思い出して頂ければ分かると思いますが,最初は何をすればいいのかさっぱり分かりません。
今は,電源を入れれば OS が起動してスタンバイまでの画面にたどり着けますが,それでもソフトの使い方やセキュリティのことなどになるとすぐにマスターとはいきません。
仮想通貨の世界もこれと同じで,目の前に1万円札などの現物がありませんから,PC 上のデータを「仮想通貨」と呼ばれてもさっぱり要領が掴めないのではないでしょうか。
若い方ならまだしも,年配の方にはなかなか理解が及ばないのではないか。
お金とは何か
仮想通貨の前に,お金のことを書いてみたいと思います。
こんな愚問は間違いかも知れませんが,そもそもお金とは何でしょうか。
ここに1万円札が1枚あるとします。
純粋に考えるならば,これは単なる「紙」に過ぎません。
では,何故これが「お金」になるのでしょうか。
それは,それを使う(受け取る)人たちが「お金」であると考える(信用する)ことによって成立しています。
そして,それを発行しているのが「日本銀行」であることも信用の一助になっています。
極めつけは,日本の法律で定められている「法定通貨」であることが最も大きなことかも知れません。
このように「お金」というのは双方の信用の上に成り立っています。
もう少し厳密に考えると,1万円札は上記のこと以外に裏付けがあるかというと,それ以外にはありません。
昔は,「金本位制」といって,1万円は金(きん)何グラム(オンス)と決まっていましたので,いつでも金に交換することが可能でした。
つまりお金には「金」という裏付けが存在していました。
これを「兌換紙幣」と呼びます。
金は希少金属で,地球での含有量が決まっていますから,その価値が下落することは余りありません。
戦後は,ドルが基軸通貨となり,ドルとの価値を決めることで各国の通貨が成り立っていました(例:1ドルは360円)。
そのドルは,金と連動していたので,各国の通貨は間接的に金の裏付けがあることになり,自国の通貨をドルに交換し,交換したドルを金に交換することが可能でした。
しかし,アメリカには全世界のドルを交換できるほどの金を所有していないことがわかり,ニクソン大統領は,ドルを金と切り離すことを発表しました。
これが,1971 年の有名なニクソンショックです。
以来通貨は変動相場となり,現在のように日々変化しています。
このような理由もあって,各国は法律で通貨の定義づけを行い,中央銀行の管理の下に自由に発行できるようにしました。
これが今の「不換紙幣」です。
従って,私たちが日常使っている「お金」も「ある種の仮想通貨」であると私は考えています。
即ち,人々がお金と考えなくなると何の価値も持たなくなり,また,法律が廃止されると,それは単なる紙切れになってしまうからです。
ただ,今問題になっているビットコインなどの仮想通貨と異なり,紙幣や貨幣の現物が私たちの手にあるからそうは考えないだけだと思います。
銀行に現金はあるか
現金を引き出すには銀行へ行きます。
ATM か窓口でなにがしかの現金を受け取ります。
そうであるならば,色々な国で通貨が不安定な状態になって,人々が銀行に殺到した時,どうして銀行は店を閉めるのでしょうか。
それは,個々の店には預金者の総額の「現金」を保有していないからです。
私たちがその店で現金を引き出す総額(平均)を計算しておき,店にはそれくらいの現金しか置いていません。
例えば,ある店の預金総額が 10 億円だったとします。
そのうち現金として引き出されるのが平均的に2億円であれば,店には2億円+αの現金さえあればよいことになります。
また,8億円は貸し出している場合もあり,銀行にはありません。
しかし,何らかの政情不安があって,その店に預金者全てが殺到した場合,10 億円の現金はありませんから店を閉めざるを得ません(対応できない)。
つまり,あなたのお金(現金)は銀行にはないと思っておいた方がいいかも知れません。
平時の時には,窓口で現金を受け取れますし,通帳に打ち込まれた数字を「お金」と考えているので取り付け騒ぎにならないだけです。
お金を借りる時銀行は何をするか
例えば,家を買うために 3,000 万円の融資を受けるとします。
銀行はあなたの前に現金で 3,000 万円を置いてくれるわけではありませんね。
通帳に 3,000 万の「数字を打ち込む」だけです。
いわばこれも単なるデータに過ぎません。
ところが,この数字はみんなが信用しているために「お金」として機能します。
即ち,銀行は現金がなくてもお金を「創造できる」のです。
これを「信用の創造」といいます。
このバーチャルな数字を「お金」と認識することによって,住宅会社の通帳に同額が記載され支払が完了したことになっています。
このように,みんなが信用していることを前提としてお金が流通しています。
一方で「法定」とすることで,それを強制しています。
これが「お金」といわれるものの存在の本質です。
私は,銀行の担当者と融資の相談をしていた時に,「私の通帳に2億円の数字を打ち込んで下さいよ」,とよく冗談を言っていました。
このように,銀行だけが数字をお金に換えることが出来るのです。
仮想通貨
基本的には,仮想通貨の考え方も同じです。
仮想通貨は,電子データをお金と結びつけ,価値を創造しています。
市場に多くのお金が流れ込む(買う人が多い)ほど価値が上がります。
CoinMarketCap というサイトには,1,523 もの仮想通貨の相場が載っています(下図:2018.02.12現在)。
このうち,日本の仮想通貨取引所で扱っているのは全部で14種類になります。
しかし,「仮想通貨」とはいうものの,まだまだ世間では流通していません。
ようやく,ビットコインを取り扱うお店が出てきているにすぎません。
従って,私はこれらを「通貨」と表現するのは,一般の方に誤解を生むと考えています。
「全世界で通用する」といわれていますが,それは,それを「通貨として信用している人たち」の中でのことであって,全てではありません。
先ず,この事実をしっかり認識する必要があると思います。
ただ,これを「創造した」人たちにとってみれば,一人でも賛同者を増やし,文字通り「仮想通貨」として流通させたいと考えるのが普通です。
また,交換事業者もそれを扱っている以上顧客を一人でも増やしたいと考えます。
ですから,「仮想通貨」という表現はすごく便利なものではないか。
色々調べてみますと,通貨として流通させることよりも,現時点ではそれに価値を持つ人たちの投機の対象になっているように思います。
そこに群がる人が増えてくると,当然の如くその価値は上昇します(買う人が増えてくる)。
そこで儲かった人はいいのですが,周りの騒ぎに踊らせてつぎ込んだ方は,参入するのが遅すぎて,今年になって暴落してしまって,却って大損した人もいることでしょう。
ただ,全世界を見渡して見ますと,仮想通貨は増えている状況ですので,「通貨」としての流通ではなく,別の異なる目的を持っているのではないかと思います。
仮想通貨は安全か
仮想通貨は,単なる電子データですから,コインチェックの事件のようにハッキングされてしまうとひとたまりもありません。
それを防ぐために様々な手段でセキュリティを嵩じる必要が出てきます。
NEMに関していえば,完全にそれを怠っていたと言わざるを得ないでしょう。
ブロックチェーンという理論で,仮想通貨は安全である(改竄できない)という「神話」の元に投資を行ってきたと思われますが,この事件は,ブロックチェーンが突き崩されたわけではありません。
問題は,コインチェックのセキュリティ体制にあり,それが破られてしまいました。
今回は取引所でしたが,個人にも波及してこないとは言い切れません。
仮想通貨に投資している方々は,日本・韓国・中国が多いようですので,今後も注意が必要でしょう。
各国は仮想通貨という新しい動きにどのように対応するのか決めかねているようですので,現在はいわば「ある種の無法地帯」であるとも言えます。
ですので,そこに投資する者としては,「何でもあり」ということを覚悟する必要があるでしょう。
それは,取引所とて同じことです。
インターネットで全世界と常時接続されているので,365 日,24 時間常時監視体制を敷けないとこのような事件は再発する可能性があります。
私は,キーワードは「時差」だと考えています。
即ち,日本が眠っている時は,欧州や米国などは起きて活動している可能性があり,その隙間をつかれてしまうのではないか。
コインチェックの流出も午前零時2分から始まっています。
オンラインのままで,それを監視する者がいなければひとたまりもないのは周知の事実でしょう。
何事にも完全というものはなく,必ずそれを破る者が出てくるという前提をどこまでもった上で対処するのかがこの事件での教訓ではないでしょうか。
また,「取引所や販売所」といわれる仮想通貨交換事業を行っている会社の脆弱性が露見したのではないかとも考えています。
YouTube にアップされたコインチェックの記者会見をノーカットで見ましたが,余りにもお粗末で,「社会的責任」を分かっているのかと思いました。
社長の顔を拝見していますと,自分は仮想の世界で遊んでいただけなのに,どうして現実世界の人たちが騒ぐのかが理解できていないように感じました。
仮想通貨そのものは IT テクノロジーかも知れませんが,扱っていることは実体経済と結びついているという実感がないのではないか。
私は,この点において bitFlyer とコインチェックの姿勢の違いを感じます。
bitFlyer を創業した方たちは,ゴールドマン・サックスという世界最大の証券会社出身の方々です。
しかし,コインチェックの創業者はそうではありません。
何を言いたいのかというと,同じビジネスチャンスであったとしても,その捉え方が異なると思っています。
bitFlyer の創業者は,これを新たな「金融商品」と考えているのに対し,コインチェックの創業者は IT テクノロジーが生み出した商品にすぎないと考えているのではないか。
とするならば,既に bitFlyer とコインチェックの見ている世界は違う可能性があります。
それを示すように資本金も出資者も大きく異なっています。
ハッキングした人たちは,単なる遊びでやっていたのか,それを現金化する目的があるのかどうか分かりませんが,相手のブロックを破る技術を持ち合わせていたのですから,会社はそれ以上のセキュリティ対策を行う必要があります。
日本人は,基本的に「性善説」に立脚していますから,まさかこんなことが起こるとは予想しがたいところがあるように思います。
性悪説が基本の外国にあっては,人間は間違いを犯すものであるとの考えから,先ずセキュリティ対策が基本になるのではないでしょうか。
コインチェックは金融庁に申請中の「みなし事業者」だったから問題であって,「登録事業者」だったら安心だというご意見もあるようですが,果たしてそうでしょうか。
金融庁の見解
上図は,金融庁のサイトにある「仮想通貨交換業者登録一覧」の PDF ファイルの冒頭の部分です。
ここには,以下のように記されています(抜粋)。
★金融庁・財務局が、これらの仮想通貨の価値を保証したり,推奨するものではありません。仮想通貨は,必ずしも裏付けとなる資産を持つものではありません。
出典:金融庁
ここで問題となるのは,「資金決済法上の定義に該当することを確認したものにすぎません。」となっていることです。
即ち,業者の説明を受け,提出書類で資金決済法上の定義に該当することを確認しただけということです。
説明と書類審査で法律上問題がないということを確認しただけで,細かな実態は調査していないので,責任は持たないということです。
ここが,「許認可」と「登録」の違いと言えます。
私の経験でも,病院や介護施設の開設を行う時は,関係官庁の「許認可」が必要でしたから,係官が現地まで来て,提出書類に基づき全て問題がないことを確認できないと「認可」となりません。
また,定期検査があり,その運営状況を確認され,問題があると認可された内容が取り消される可能性もあります。
しかし,今回は,金融庁は届出書類を確認しただけですよ,といっています。
悪くいえば,書類なんてどうにでも出来ます(通るように作成すればいいのですから)。
こんなことさえも滞っているコインチェックの会社の有り様が分かるというものです。
ここにコインチェックの運営者の甘さがあったのかも知れません。
ここにも bitFlyer との違いを感じざるを得ません。
さすがに,金融庁もこのままではまずいと思ったのかどうかは分かりませんが,コインチェックに立入検査を行い,他の事業者に対しても書類で報告するように命令しました。
一般に立入検査で指摘を受けた場合,改善計画を提出すればよいものから,悪質な場合は「業務停止命令」が下される場合があります。
今回の場合,どこまで法整備が進んでいるのか確認できませんので何とも言えませんが,最悪の「停止命令」が下されたならば,コインチェックは営業が出来なくなり,事実上倒産という事態になりかねません。
出典:コインチェック
検査の目的は,上図にある約 26 万人の方に返却する現金があるのかどうかを確認することのようですが,万が一それが存在しない場合は,事業そのものが今後も行えるのかを疑われることになってしまい,上記のように停止命令になる可能性を否定できません。
この結果によっては,金融庁は他の登録事業者や申請中の事業者に立入検査を行い,登録の取消乃至申請却下の措置を執る可能性もあります。
くれぐれも間違わないで頂きたいのは,「登録事業者」は国が「大丈夫です(信頼してよい)」というお墨付きを与えたわけではないということです。
まだまだ各国の法整備が進んでいない以上,「損失は自己責任」ということを忘れてはならないでしょう。
仮想通貨は儲かるのか
「億り人」なる存在を象徴として,いかにも儲かるというイメージが出来たのが 2017 年ではないかと思います。
そこに出川哲朗の CM が拍車をかけました。
代表的なビットコインの価格推移は下図(Fig.1)のようになっています。
Fig.1
2017 年を含めた国内での価格推移が下図(Fig.2)になります。
Fig.2
これを見ますと 2017 年で急激に価格が上昇していることが分かります。
Fig.2 からすると 2017.12 が最高値のようですので,1BTC が 200 万円とすると,1億円になるには 50 BTC が必要です。
問題は,50 BTC をどの時点で手に入れたかですが,長く持っている方ほど安い価格で手に入れたと思われます。
従って,後発で参入された方はかなりの資金をつぎ込んでおり,今年(2018年)に入っての暴落の影響を受けた方もおられるのではないでしょうか。
Bitcoin日本語情報サイトを参考にしてみます。
2017.04.01 の終値が 121,628 円となっていますので,50 BTC で 6,081,400 円の費用がかかります(原資)。
もっと古くから持っていれば,原資は低いですので,バブルとも言える 2017 年は大きなチャンスだったと思われます。
今後はどうかというと,ビットコインについていえば,いくら下がっても 10 万円台になることはないでしょうし,2017 年のような伸びがないとすれば,少ない原資で1億円を手に入れるチャンスは潰えたと考えられます。
その意味では,よほどの原資を持った方でないと,ビットコインに投資する理由は余りないと考えます。
儲けようと思えばそれなりのスケールがないと,下記の手数料や税金にくわれてしまうだけで,マイナス決算になりかねません。
このようなところは,価格の高い通貨に投資する場合には考慮すべきところでしょう。
ただ,リスクヘッジしたい場合は本命として外せないところです。
その意味では,投資した金額の回収のためにビットコインの存在は大きいと思われます。
仮想通貨の取引にかかる手数料と国税
仮想通貨を売買するには「手数料(A)」が発生します(取引所の儲けとなる)。
また,儲けたお金を自分の口座に振り込むためにも「手数料(B)」が必要です(一部の銀行は無料のようです)。
最後に税金ですが,国税庁は「雑所得(C)」として扱うと表明しており,これは,他の給与所得などと合算した上で税金をかける(累進課税)という厳しいものです(株式は分離課税で一律20%)。
最高税率になると,住民税と合わせて55%を税金として支払わねばならないようです。
下図は,国税庁が出した「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」の抜粋です。
上図には,損益通算は出来ないと書かれています。
即ち,いくら損をしても利益から差し引くことは出来ないということらしいです。
計算上は,A+B+C 以上の儲けがないとやっていても意味がありません。
額面の儲けに惑わされることなく,この辺は冷徹に計算しておかないと,納税の原資すらなくなってしまうこともあり得ます。
確定申告の必要もありますので,可処分所得が確定するまでは大きな買い物はしない方がよさそうです。
個人的にいえば,いくら時価評価が1億円でも,それは絵に描いた餅であることに変わりなく,換金してこそ取引は完了するので,いくら税金が高くとも一旦はそこまで完了しておく必要があると思います。
2017.12 時点でかなり儲かっていると考えていた方の中には,そこに至る資本投下をかなりされた方もいるはずで,そのような方ほどいち早く利益を確定しておくべきであったのではないか。
税金が高いことやまだまだ上がると考えて持ち続けていた方は,この暴落で赤字になってしまっているのではないでしょうか。
現時点では,国は仮想通貨の課税に関する考え方を変えそうにありませんから,損得にとらわれずに利益を確定しておく方が賢明に思われます。
注意して頂きたいこと
YouTube やブログを拝見していますと,「お勧めの通貨」というのがありますが,基本的には,誰かが購入しないとその通貨の価格は上がらない(お金が流入するので時価評価が上がる)ので,自分が保有する通貨に誘いこむ必要があります。
そのような情報に安易にのってしまうと,相手に利を与えるだけなので注意が必要です。
他力本願に頼るよりも自力本願に徹する方が,万が一損をしても納得がいきます。
損得の結果は,あくまで自己決定の結果であるということに徹するのが基本と思います。
自分独自で調べた結果のことであれば,損をしても我慢できますが,他人に煽られた結果で損をすると,心理的な傷つき方は自己決定の比ではない時があります。
よく LINE@ に登録を誘っていますが,例えば,10,000 名の登録者がいるとしますと,発信者はこの人たちを自由に情報操作することが可能になります。
登録した方は,横の関係が全く分かりませんから,自分にだけ「得な情報」が与えられていると錯覚して,その情報通りに行動してしまう時があります。
例えば,XYZ というコインを買わせたい場合に,一斉配信をすると,煽られた方の50%が行動するとしても,5,000 名の方が一斉に買うことになります。
価格の低いコインであれば,相場に影響を与えることも可能となり,躊躇していた方が相場の上がり具合に驚いて追従することもあり得ます。
そこで,ある程度の上がりを待って,発信者が売り抜けしてしまえば,損をするのは情報に基づいて行動した方々です。
これは集団心理の応用で,セミナー会場に多くの人を集め,根拠のないよい情報を繰り返されると,人間は段々それを信じるようになり,そこで「限定」,「今買わないと時間がない」というような言葉で言われてしまうと,心理的な焦りが生じて,自己決定ではなく「その場の雰囲気」で購入してしまいます。
主催者側はそこが狙い目で,「信者」にしてしまえば,何を言ってもその通りに行動するということを熟知しています・
従って,出来るだけ熱狂的な集団とは距離をおきながら,事態を冷静に見つめる姿勢を崩さないことが必要だと思います。
「爆上げ」や「限定情報」などの言葉に惑わされないで下さい。
換言すれば,いつも「森を見る」姿勢を崩さず,木になってはいけません。
ここで紹介させていただいている方法も単に一つの方法であって,これが全てではなく,また,成功の保証もありません。
初心者の方は,ご自分の価値基準が定まらないので,誰かに頼りたいという気持ちが湧くのも理解できますが,よちよち歩きでも,自分が苦労しながら身につけたものほど強いものはありません。
結果的に,仮想通貨市場から撤退する決定をしても,その経験は他のことに対して生かしていけると思います,
参考になるかどうか分かりませんが,私が参考にしているサイトの一覧を下記に記しておきます。
(6)以下は英語ですが,Google 翻訳機能を使用すれば日本語表記してくれます。
YouTuber の方々が「最新情報」という動画を流していますが,下記のサイトをチェックしていればほぼ補足できます。
また,TWitter でフォローしておけば,見出しだけでも参考になります。
(1)コインテレグラフ
(2)みんなの仮想通貨
(3)CoinPost
(4)JPBITCOIN.COM
(5)CoinGecko
(6)Bitcoin Forum
(7)CoinDesk
(8)LiveMarketCap
(9)CCN
結論
YouTube の動画や様々なブログでその魅力を訴え,過剰なほど煽っている方も見受けられますが,私からすれば,そのような方は,かなり投資をされているでしょうから,新たな参入者が出て来ないと価格が下がる可能性があって困るからではないかと思っています。
仮想通貨は上記のように早い者勝ちで,ビットコインの場合は今から参入するにはかなりの原資を必要としますし,昨年(2017年)のようなことはもうないでしょう。
「仮想通貨」と呼んではいますが,その実態は何ら流通していない「電子データ」に過ぎないものも多くあり,損失の補償は何もありません。
ですから,そのリスクヘッジを出来ないままに,CM などに踊らされてしまうのは危険と言わざるを得ません。
ましてや,PC の世界のことを殆ど知らない(仕組みを明確に知らない)方が手をつけることは,周りに翻弄されるだけであって,コインチェック事件のように何もかも失う可能性を否定できません。
私は,仮想通貨市場というのは,現在のところ株式や先物取引のように新たな投機の場が現れただけと考えています。
ただ,新たな考え方として,「通貨」としての流通ではなく,事業の「資金調達」の一つになる可能性があります。
現在は,事業を興す場合,銀行融資を受けるか株券を発行するなどの手段しかありません。
しかも,このハードルはかなり高く,日本は米国のようにベンチャーキャピタルの投資をつのることも困難です。
そんな中にあって,新たな仮想通貨を創造することによって,全世界から資金を集めることが可能になるとすれば,一個人が考えるビジネスプランが素晴らしいものであれば,その実現のハードルは大きく下がったと言えるかも知れません。
日本は,昔から起業するのは難しい国です。
しかし,このシステムが定着してくると,アイデア次第でいくらでも起業は可能となり,一個人にも新たな未来が開けてきます。
もちろん,まだまだ混沌としていますから,「詐欺」も沢山現れるでしょう。
しかし,新たな資金調達方法として定着してきた場合,詐欺的なものは淘汰されてくるかも知れません。
CoinMarketCap にある通貨を調べていきますと,その取引所(交換所)は外国にあり,いくつか大きなところがあるようです。
また,法規制も余りないようで,沢山の通貨を扱っています。
それだけに,海千山千のものも多いかも知れません。
そして,何よりも交換基準通貨がビットコインとなっています。
つまり,基準通貨はビットコインと幾つかのメジャーな通貨に収束し始め,それ以外の新規の通貨は資金調達のものではないかと考えることも可能だと思います。
その意味では,新たなものを「通貨」と表現するのではなく,「株」と考える方が適切かも知れません。
人々は,先ずビットコインを買い,投資したい通貨(株)と交換します。
その通貨(株)が上がってきたら,再びビットコインと交換して換金します。
もしこのようになっていくならば,繰り返しになりますが,資金調達手段の「革命」と言えるかも知れません。
もはや,国という枠組みを超えて資金を調達できる,それも個人から可能であるというのは画期的であるといえます。
これは,仮想通貨を創造した人々が当初に持っていた構想とは異なるかも知れません。
しかし,結果的に,上記のような方法に向かうとすれば,それも一つでしょう。
ただ,これが拡大していくと金融機関の存在を脅かしてしまう可能性もあります。
現在の金融制度との整合性や折り合いをどのようにつけるかが仮想通貨の将来にかかっているように思います。
しかし,仮想通貨には「中央」の存在がありませんから,やがては国や中央銀行がもっと乗り出してくるのではないか。
この辺が難しいところではないかと思われます。
また,交換所がないと交換ができないので,「中央がない」といっても,交換所がハブの役目を担うと考えられます。
それを見越して乱立を繰り返しながら,段々と淘汰されていくでしょう。
その過当競争が始まった時,大資本がバックにあるところは強いです。
最後は,大きなお金を動かせるだけの資本力がものをいいます。
その意味では,日本の取引所も閉鎖に追い込まれるところも出てくるでしょう。
また,金融庁も消費者保護の観点から,安定した資本のあるところを求めると思います。
日本の取引所を調べてみましたが,到底何十(百)億円のお金を扱える資本金を備えていない会社もあります。
このような会社は,金融庁から「取引高」を制限されてしまうと,舞台から消えていく可能性もあります(末尾の参考記事参照)。
このような状況を踏まえて,敢えて参入(投資)するとすれば,私は,自分の無理のないお金で安いもの(草コイン)を複数買っておき,時間がかかっても価格が上がるまでそのまま塩漬けにしておきます。
そうしておけば,何らかの偶然で上がることもあるでしょうし,最悪の場合無くなってしまっても実生活には響かないので,遊びとしては面白いかも知れません。
ただ,日本の取引所は扱っている数が少ないので,海外の取引所を利用しなければならないです。
日本語対応の所もあるようですが,殆ど英語ですので,少し敷居が高いですね。
また,海外の取引所はどこまで信用できるか分かりませんので,投資したものが消えてしまう可能性もあり得ます。
損害を被ってもかまわない少額から始め,取引所を分散しながら行うのが安全でいいのではないでしょうか。
保管も取引所に置くのではなく,コイン独自のソフトウェアウォレットもあるようですので,それを PC にダウンロードして保管しておくのが無難と思います(コインのサイトに行けばダウンロード出来るようです)。
私はまだ未経験ですので,どのようにすればよいのか分かっていません。
基本的には,短期的に一攫千金を夢見るのではなく,1年,3年というスパンで考える必要があるかも知れません(短期間で暴騰するものもあるようですが)。
その方が少ない原資で見返りが大きいでしょう(逆の場合もありますが)。
即ち,価格が安いのでそれなりのスケールの量を購入でき,価格が上昇し始めるとその跳ね返りは大きいと思います。
また,取引所選びも大切で,テクノロジーの面のみならず,社会的責任を負えるような体制になっているかを見極めることも大切だと思います。
例えば資本金の額やその出資者などを綿密に調べた上で利用しないと,何かが起こった時に会社そのものが耐えられない場合が出てきます。
現状を鑑みますと,中国や韓国は規制に入り始め,欧州にもその動きがあります。
仮想通貨大国と呼ばれている日本もその方向に向かいつつあるでしょう。
ただ,日本は仮想通貨を決済手段として認めて,交換事業者を登録制にしましたから,事実上国家は仮想通貨を認めたといえるかも知れません。
そのような情勢を充分考慮した上で参入しないと,思わぬ火傷をしてしまいかねません。
くれぐれも,多額な投資をしていて引くに引けない人たちの煽動的な言動に惑わされないことです。
それにしても,コインチェックに預けたお金や他の仮想通貨を引き出せない状況が続き,身動きのとれない方はお気の毒だと思います。
私は,再開すると多額のお金の流出に耐えきれない(顧客口座にない)ので,それを必死に戻そうとしているのではないかと推測しています。
分割管理さえ厳格に行っていれば,会社側にとって,顧客のお金は「預かり金」にすぎなく,会社の財布とは無関係なので,今すぐにでも引き出し可能となるはずです(引き出されても会社は損害を受けないはず)。
また,他の仮想通貨も同様で,分割していれば即時可能ではないかと考えられます。
一般の会社でいえば,運転資金が枯渇し始めたので,預かり金である従業員の「社会保険料」を流用していたというようなケースを考えています。
金融庁はそのような事態を疑って,本当に顧客に返却する現金が「自己資金」で存在するのか確認したいのではないかと思います。
これは,上述のように「銀行にはあなたのお金はない」状態と類似しているものです。
ですから,前述のように取引所の選択も,単なる手数料の安さのような目先のことではなく,莫大な資産を預かるに足る会社システムの存在まで確認する必要があると述べたのです。
うがった見方をすれば,即日「返還可能」と宣言しなければ,仮想通貨全体の価格の下落を招き,現金化しようとする会社所有の時価評価も下がり,最悪の場合は顧客の返還の原資を生み出せなく可能性すらあったのではないかと思います。
コインチェックは,何ひとつ明らかにしていませんので,当事者の方のみならず,他の会社を利用されている方も他山の火事と考えずに注視しておく必要があるでしょう。
場合によっては,早々と売却して現金化しておく方が安全かも知れません。
私でしたら,少しくらいの損失であれば,元に戻るだろうという観測はせず,一旦現金化して自己資金を待避させておきます。
そして,コインチェックに対する金融庁の方針とNEMの行方と取り戻せる目途がはっきりした時点で再度投資するか否かを決定します。
ここは,あらゆる情報に耳をそばだてて慎重に対応した方が良いと思われます。
今が底値とすれば参入するチャンスかも知れませんが,先ずは「遊び」の程度を超えない範囲で行うのが賢い選択ではないでしょうか。
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスが PC の未来を見ていたように,仮想通貨の未来をどの様に見るかという視点も大切ではないかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【追記】
この記事を公開したのは,2018.2.4 でしたが,コインチェックを始めとする取引所については,図らずも私の予測した通りになってしまいました。
しかしながら,消費者保護の観点からいえば,これでよかったのではないかと思っています。
詐欺的な通貨がある中で,取引所まで脆弱な状態では,市場に参入してくる方はいつまでも増えません。
そうなってしまえば,市場は縮小していくだけで,最後には消えてなくなってしまい,単なる泡沫現象になってしまいます。
その意味では,どこかで「秩序」を設ける必要があったとすれば,コインチェック事件はよい機会でもあったといわねばなりません。
関連記事:超初心者が始める仮想通貨-口座開設と取引方法-
関連記事:超初心者が始める仮想通貨-基本的な投資戦略-
関連記事:超初心者が始める仮想通貨-通貨売買の実際-
関連記事:超初心者が始める仮想通貨-投資通貨の管理と損益計算-
関連記事:仮想通貨取引のために必ずやっておくべき PC 設定
関連記事:仮想通貨取引のために必ずやっておくべきブラウザ設定とパスワード管理
(参考記事)
(1)東洋経済 ONLINE:ビットコインへの「税金」はこれだけかかる)
(2)金融庁:コインチェック株式会社に対する行政処分について
(3)金融庁:テックビューロ株式会社に対する行政処分について
(4)金融庁:GMOコイン株式会社に対する行政処分について
(5)金融庁:FSHO株式会社に対する行政処分について
(6)金融庁:ビットステーション株式会社に対する行政処分について
(7)金融庁:バイクリメンツ株式会社に対する行政処分について
(8)金融庁:株式会社ミスターエクスチェンジに対する行政処分について
(9)金融庁:FSHO株式会社に対する行政処分について
(10)金融庁:株式会社エターナルリンクに対する行政処分について
(11)金融庁:株式会社LastRootsに対する行政処分について
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