安倍政権の籠池氏に対する「偽証罪」告発に向けての動きが活発になっている(産経新聞)。
しかし，偽証としている内容は，
１．郵便局の振込用紙の筆跡
２．安倍晋三記念小学校と記した振込用紙の使用
である。
政府は，他については明らかにしていないが，どちらも核心的な部分ではない。
つまり，こんな小さなことまで「嘘をつく」人物であることを証明したいようだ。
安倍首相も，毎日国会で野党から責められるので相当頭にきているのだろう(産経新聞)。
その一方では，昭恵夫人の証人喚問は拒否しており，ファックスの内容も夫人付の独自行為としている。
政府は，一刻も早く司直の手に委ねて，「全ては司直が明らかにしてくれる」というような答弁に終始してしまおうと目論んでいるようだが，昭恵夫人の弁明が必要としている国民の声を無視したまま強行すれば，更に疑惑が大きくなる。
国民は，籠池氏が真っ白だとは誰も思っていない。
ただ，片一方を証人喚問に呼びつけておきながら，昭恵夫人や官僚は真っ白だと強弁するのは理に合わないと感じている。
又，野党も，ここにきて，「辻元議員の幼稚園侵入」が取りざたされている。
国民の関心が高いからといって，本質を忘れた質問に集中していては，政府と大同小異と思われてしまうだろう。
又，大阪府教育庁は，31日学校法人森友学園が運営する幼稚園の補助金受給状況について立入調査すると発表した(産経新聞)。
未だ進捗していないのは，証人喚問で証言を拒否した「３通の工事請負契約書」の問題である。
自民党が問題にしていることよりも，「３通の工事請負契約書」の方が大きいのではないか。
何故，(1)大阪府と(2)国交省に金額の異なる契約書を提出したのか。
答えは火を見るよりも明らかであるが，司直が裏付けをどうとるのか。
(2)については，籠池氏ご本人は，
「補助金は，あとで工事費が増大したからといって増額してもらえない」
「だから，最大額の補助金になるような契約書を提出し，最後に精算する（返還する）つもりだった」
と述べている。
ところが，(1)については全くコメントしていない。
土地取得済が認可条件であるが，それよりも安定した運営をどの様に担保しているのかを見るのが財務諸表である。
審議会委員もコメントしているように，7.5億円でないと到底安定した運営が出来ない内容だったのだろう。
即ち，財務状況の問題を過少に見せることが目的ではなかったか。
大阪府に対しては申請を取り下げ，国交省には補助金返還を行うだろうが，かといって，罪は逃れられるのだろうか。
籠池氏は，「どんな罪の刑事訴追を受ける」ことを考えて証言を拒否したのかは不明だが，最も重いのは「詐欺罪」ではないだろうか。
私は，籠池氏は，何らかの罪に問われる可能性があると思う。
どの様な法律に触れるのかは分からないが，司直は水面下で捜査を進めているのだろうか。
籠池氏が，補助金適正化法違反の疑いで大阪地検に告発された。
いずれにせよ，このままでは平行線である。
与野党とも振り上げた手をどこで下ろすのか。現状ではその落としどころが見えそうにない。
野党は今ひとつ精彩に欠け，我々の目には追求の「大義」が明確でなくなってきているように思う。
どちらも司直の動きに期待しているのだろうか。
ワイドショーがアベ友のオンパレードになっている。
少しでも「正論」を吐こうものなら，すぐに叩きにかかられる。
これでは，「社会正義」もあったもんじゃない。
自分の意見が親アベでもかまわない。それは思想・信条の自由の範囲内である。
かといって，反対意見を述べる者の「人格」まで攻撃することは許されない。
私は，大学生の頃，コンパなどで酒が入ると，必ず議論になってしまう友人がいた。
延々と止めないので，いつも周りの者が止めていたくらいである。しかし，決して仲が悪かったわけではなく，寧ろ，唯一無二の親友だった。
この様に，意見を異にしても，相手の人格まで否定するようなことは決してしなかった。
ところが，今は人格まで中傷するような発言が目立ち，それが却って自分の程度を下げてしまっていることに気がつかない輩が増えている。
人間に品格がないのだ。確かに，優位性がある状態で意見吐くのは心地いいだろう。
しかし，反面，そういう人達は真っ先に切り捨てられてしまう存在であることは，古今東西の実例が示している。
メディアにいる人達は，社会正義を貫いて欲しいと思う。
私は，それこそがジャーナリズムの「良心」だと考えている。
(参考)
(1)朝日新聞：籠池氏への告発検討は「国家による恫喝」
(2)朝日新聞：籠池氏告発へ証拠集め「政府として協力」菅長官
(3)時事通信：菅官房長官，籠池氏の虚偽立証に協力＝昭恵氏喚問は拒否
(4)Zakzak：100万円振込用紙の筆跡，複数鑑定人が「籠池妻」結果
(5)ダイヤモンド オンライン：森友問題の泥沼化に官邸も怯える，「安倍独裁」が裏目に
(6)News Week：情で繋がり，情でつまずく保守の世界
(7)産経新聞：森友学園告発，松井・大阪府知事「捜査協力する」