昭恵夫人が公人か私人かという問題について，政府は「私人」と閣議決定した(朝日新聞)。
しかし，こんなことを閣議決定する内閣は前代未聞である。
この問題について，国民はおかしいと思いながらも，一応の決着を見た感じになっている。
が，本日のワイドスクランブルでは，
１．官邸に専用室がある
２．歴代総理では，麻生総理時代１名だけであり，第２次安倍政権で，常勤２名（経産省出向），非常勤３名（外務省出向）
と報じている。
米国人の記者の話では，アメリカ大統領夫人（ファーストレディ）は，私人か公人かの質問に対し，
１．ホワイトハウスに専用室がある
２．秘書もついている
従って，「公人」であると述べている。
私が，ここで問題としたいのは上記１の官邸に専用室がある，ということ。これは，今までの報道ではなかったように思う。
同番組で，昭恵夫人は，ブッシュ前大統領夫人と話した結果をうけてかどうかは分からないが，「ホワイトハウス」と同じようにしたいとの趣旨で設置したようだ。
アメリカに範をとったのが事実とすれば，米国の記者の回答にあるように，「公人」としての位置付けがある故の措置ではないか。
又，民主党政権時代の鳩山総理や菅総理の夫人は，あくまで「総理大臣夫人」ではない形で行動していたと報じている。
翻って昭恵夫人はどうか。
どの場面でも，「総理大臣」夫人と「総理大臣」の冠がついている。
だから，外国人記者は，ファーストレディとしての行動であるから，「公人」だと言っているのである。
誰が考えても，私人に我々の税金が支払われている公僕を秘書につけるのはおかしいだろう。
私は，そこにどんな理屈も通らないと思う。
寧ろ，秘書を要請するが，その期間の給与は安倍サイドが個人的に支払うというクリーンさがあって初めて通用することではないのか。
極めてルーズな金銭感覚と言えやしまいか。
その反省もなく，政府が閣議決定するなど狂気の沙汰である。
外国からすれば，笑いものだ。レベルの低さに唖然としているのではないかと思う。勿論，それに何の反論もしない我々国民に対しても。
政府は，安倍首相が「妻は私人である」と言い切ったので，野党などの追及を抑えるために閣議決定したのだろうが，政府は夫人の身分を蒸し返されると，ファックスの件もあり，窮地に立たされる可能性がある。
私も了解できないところがありながら，「致し方ない」と思っていたが，制度としてのホワイトハウスの姿を取り入れるならば，「公人」としての自覚を持つくらいの姿勢は必要だろうし，政府も「私人」と逃げるべきではない。
安倍夫妻の思慮の浅さが段々目立ってきているように思えるし，夫妻に自戒を促す人間が周りにいないとすれば，極めて寂しいことである。
このままでは，誰も暴走を止められなくなってしまう。
というか，諸外国からレベルの低い「アホ」と思われてしまう。
(追記)
28日の東京新聞に，「昭恵氏は私人に野党が異議」という記事が出ている。
以前から思っていたことだが，政府答弁のいい加減さにはあきれてしまう。
あくまで「私人」に拘るが為に，益々論理に一貫性がなくなっている。
上でも論じたように，そもそも「私人」が公僕を使用できる法的根拠は一切示されていない。単なるその場の解釈だけだ。
これは，中小企業の社長の奥様にありがちな，「社員を私用に使う」という公私混同の典型的なパターンではないのか。
お父ちゃん（社長）が雇ってあげてるんだから，社員は「私の使用人」という意識。
安倍夫妻は，自分たちは「ご主人様」なので，下々が「私の言うことを聞くのは当たり前」という感覚。
誠に申し訳ないが，安倍夫妻は社会経験に乏しいがために，一般通念としての考え方が理解できないのかも知れない。
証拠の一端を示せば，安倍首相は，よく外遊先で「○○億円の援助を約束」してくる。
国庫の支出は，何らの決議もなく首相の一存で決定できるのか。
まるで，国庫は首相の財布のようである。昭恵夫人も同様な感覚だから，「私の秘書」を侍らしても，その費用のことに頭が回らない。
小さい頃から，自分がすることに誰かが後ろで責任を取ってきたから，自分の行動の重大さが理解できないのだろう。
野党もくだくだと質問しないで，「法的根拠」を示せと言うべきだ。
そうでないと，ここままでは日本は「法治国家」とは言えなくなってしまう。
(参考)
(1)毎日新聞：昭恵さんは公人？私人？ 講演に政府職員同行
(2)BLOGOS：首相夫人は「公人」ではないと閣議決定する幼稚さ
(3)Business Journal：何も考えない「危険な公人」安倍昭恵・首相夫人
(4)弁護士ドットコム：首相夫人は「私人」か「公人」か
(5)産経新聞：安倍昭恵夫人の同行職員「自ら判断」
(6)HARBOR BUSINESS Online：昭恵夫人と秘書T氏双方を知るバー店主が激白
(7)東京新聞：昭恵氏が活動自粛？講演会中止，フェイスブック発信なし