【面接】面接という名の邂逅

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長年,面接官をやってきて多くの方とお会いしてきました。

30代の頃は,自分よりも年長の方も面接させて頂いていました。
その時は,その方の人生の背景というものまで見えることはありませんでした。
また,どのような人を求めるのかという視点も明確に定まっていなかったように思います。

ただ,お会いする人の数が増えてくると,ある種目が肥えてくるようになり,時には,面接会場に現れた姿を拝見しただけで,「これは無理だな」という直感が働くようになってきます。

それは何なのか,言葉で表現するのは難しいのですが,一言で言えば,「覇気がない」と言っていいでしょうか。
どことなく,その人の醸し出す雰囲気に,これという輪郭がないのです。

人間は,目的が明確になっていて,それに向かって邁進している時,言葉にはりがあり,顔つきにもはっきりとした意志を感じます。
ところが,逆の場合は,言葉にはりがなく,顔つきもどこか凡庸としている。

50代に入ると,面接にお越しになる方は,殆ど私よりも年下の方ですので,上述のようなことがもっとはっきり分かります。
人生の背景も,いくら言葉で着飾っていても見えてくるものです。

面接のノウハウを書いている Web を拝見していますと,色々なことが書かれていますが,私に言わせると,殆ど小手先のことが多く,最も肝心な「人生」についての視点が欠落しています。

具体的に言えば,「自分は何を求めて生きていくのか」,また,「自分は何を求めて生きてきたのか」ということです。
若い方には,小難しい理屈のように思われるでしょうが,その明確な意志が見えないと,採用する側は,あなたの将来に賭けてみたいという気にはならないのです。

面接官は,あなたよりも長く生きてきたはずです。
その経験から,社会において働くということの意味を理解しており,その視点からあなたを見ています。
その様な方を目の前にした時,当然,あなたは太刀打ちできるわけがありません。

経歴書の書き方も大切なのは理解できます。
しかし,こう言っては身も蓋もないのですが,そんなものは面接してあなたの言葉を聞けば,ありのままの事実なのか,飾りなのか一発で分かります。

ですから,うまく書こうと思えば思うほど,あなたはその罠に陥っていると言ってもいいのです。
それは,履歴書で事前選考する場合も同じです。
履歴書に添付されているあなたの写真とその経歴を読めば,ほぼ間違いなくそのことはわかります。

何社も面接に行って不採用になると,もう自分の何が駄目なのか分からなくなりますね。
その時に,一度原点に戻って考えて欲しいのです。
自分は,「何を求めて生きていきたい」のかということを。

若いからそんなことは分かるはずがないというのは,あなたの奢りだと私は思います。
真剣に何かを希求している人たちは,漠然としたものであっても,言葉に表せる何かを持っているものです。
そして,そこには「流されることなく生きていく」という姿勢が明確に見えます。

もう一度,人生の上っ面(つら)ではなく,奥深いところをのぞき込んで,自分にたずねて欲しいのです。
自分は,本当はどうしたいのかを。

約40年という長い歳月を歩くのはそう容易いことではありません。
出発に当たって徹底的に考え抜いておくことが,どんな困難辛苦にも耐えていける頑強な自分を作り上げていくと思います。

「さしあたって」とか「当面」とか「とりあえず」という言葉を自分の中から打ち消し,もっと長い視野に立って考えることが最も大切なことだと思います。
そして,一旦,自分の意志が明確になったならば,勇気を持って進むことです。

何社の面接に落ちようとも,あなたを理解してくれるところは必ずあります。
ただし,そこは,有り体にいえば,世間がよく知っている所ではないかもしれない。

しかし,東芝やシャープの例を見ても分かるように,「今」有名であるというのは「絶対」ではありません。
そんな「相対的」な評価に惑わされることなく,自分の希求することが実現できる職場を探すことが,最も倖せな人生を送れる道かもしれません。

上記のような姿勢を持ち続ける方とそうでない方との差は,時を経る毎に大きくなってきます。
最終的には,それが人生を左右する場合もあります。

是非,「自分は何をしたいのか」を考える習慣を身につけて下さい。

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