CX-5 Prologue-何故 CX-5 なのか-

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Legacy は,4WD 性能も素晴らしいしとてもいい車だと思います。

唯,ここ最近,「スポーツする」ことに少々疲れていたのも事実です。
大排気量の車をゆっくりと走らせるようなラグジャリーさとは対極な車ですから,仕事を終えて,帰宅する時には,「ちょっとしんどいな」と思うようになっていました。

それは,車のせいではなく,私が歳をとったせいなのでしょう。
そんな意味もあって,今度は,エンジンを回さなくてもそこそこ走る車に目がいったのではないでしょうか。

ジープ・チェロキーのエンジンは 4L の OHV でした。
今時,OHV と思ったものですが,よく考えてみると,エンジンを回さなくてもトルクが出ていたのですね。
あの頃は,「エンジンは回してなんぼ」と思っていましたから,その意味が理解できていませんでした。

欧州勢は,エンジンをダウンサイジングする代わりに過給器を取付け,低回転域からトルクが出るエンジン特性に変更してきています。
楽しさからいえば,高回転域を使って走る方がいいのは事実ですが,時代がそれを許さなくなってきたのかも知れませんね。
そんな中にあっても,欧州勢は,「車は走ってナンボ」を大切にしているように思います。

翻って,日本勢は,燃費を稼ぐことだけがあらゆることを凌駕し,車の本質から遠いところに向かっているように感じます。
その反動としての内装の豪華さではないでしょうか。
本質の犠牲を最小限にとどめ,且つ,時代性にマッチするような製品作り。
「不易流行」という言葉がありますが,本質と時代性の両立が,何事にも大切なように思っています。

家内や娘にこっぴどく怒られましたが,何とか説き伏せて次の車を探すことにしました。
Key Word は,
(1)SKYACTIV TECHNOLOGY
(2)SKYACTIV-D
(3)SUV
(4)4WD
です。
車好きの方であれば,「ああ,あの車ね」とすぐにピンとこられると思います。
しかし,「新車の納車は2ヵ月待ちじゃないのか」とも。

執念で見つけました。
新車は上記の状況ですので,走行距離8,013km の中古車です。
Legacy のようなフルタイムではありませんが,それに近い 4WD です。

CX-5 は,巷ではというか,関係者というか,ハイブリッドの飽きた方というか,そんな方々に話題の車ですね。

CX-5 は,今の日本では,異例といってもよいほどディーゼルモデルの発注が多く,全体の80%を超えているようです。
ご存じのように,石原都知事のディーゼル締め出しパフォーマンス以来,ディーゼルは悪しきエンジンの代名詞でした。

にもかかわらず,CX-5 のディーゼルモデルが多いのには,何か特別な理由があるのでしょうか。
それが,SKYACTIV TECHNOLOGY であり,とりわけ SKYACTIV-D に注目が集まっています。

私は,過去に2台のディーゼルモデルに乗りました。
1台目は,いすずジェミニです(当時のカタログが見当たりません)。
2台目が,TOYOTA Chaser でした。

ハイブリッド一辺倒の TOYOTA が,ディーゼルモデルを作っていたのは不思議に思われるでしょうが,こんなに規制が厳しくなかった時,各社には必ずディーゼルモデルがありました。

SKYACTIV-D の画期的な点は,圧縮比にあります。
Chaser の圧縮比は,何と21:1です。
対して,SKYACTIV-D は14:1です。

ディーゼルは,ガソリンと違って自然着火ですから,圧縮比を高くしないと着火しません。
にもかかわらず,14:1でどうやって自然着火させるのか?

ここに,SKYACTIV-D の新規性があります。
おそらく,どのメーカーも,これほど低い圧縮比のエンジンを市販できるとは思っていなかったのではないでしょうか。
その高い圧縮比のため,従来のディーゼルエンジンは,ガソリンエンジンに比べて,格段に頑丈に出来ていました。
一つ一つのパーツが重くなるので,エンジンの回転数を上げることが出来ません。

Chaser も,4,000回転回らなかったと記憶しています。
兎に角,あっという間に息つく現象が起きてしまうのです。

しかし,SKYACTIV-D は,低圧縮のおかげでパーツも軽くでき,その為レッドゾーンは5,250回転からとなっています。
ガソリンエンジンでも,6,000回転からレッドという車がある中で,ディーゼルエンジンでここまで回るのは驚異的です。

又,2,000回転で発生する強大なトルク。これが特徴です。
Chaser は,22.5kg・m/2400rpm ですので,SKYACTIV-D は,この約2倍のトルクを出します。
これが,車の運転に寄与しています。

この違いは,電子制御技術や燃料噴射装置の発展に由来します。
この発展がなかったら,欧州でもあれほどディーゼルの人気はでないと思います。

しかし,この新エンジンについては,未知数な点があります。
1.耐久性
2.メインテナンス
1は,まだ誰も10万kmの距離はおろか,その半分も走っていませんから,新車の性能がどうなっていくのか分かりません。

先般,ゼネコンの技術者の方とお話しする機会があり,100年もつ工法を開発した時のことを教えてくれました。
それを,宮大工(神社・仏閣の建築を専門とする方)に申し上げたところ,一向に信用してもらえなかったとのこと。
そりゃそうですよね。

その工法で建築して,何年も経っていないのですから,証明のしようがない。
あくまで,計算に過ぎません。
反対に,法隆寺などの建築物は,何百年ともっている。
その工法は,実績がありますから,宮大工さんもおいそれと信用してくれないのは当然です。

このように,このエンジンには新規性がある代わりに,その耐久性は未知数といっていいと思います。
又,従前と異なり,排ガス浄化装置がついていますから,そのメインテナンスも必要となります。

じゃぁ,何故こんな未知数なものを買うのか?
その答えは,定番のものより面白いということに尽きると思います。
ある種のアドベンチャーですね。
メカ好きの私にとって,こんな面白いオモチャは久々です。

Legacy をいじったのも,メカとしての面白さからです。
「燃費」一辺倒だったら,迷うことなくプリウスでしょう。
しかし,それは私に何の魅力ももたらしませんし,その乗り心地の悪さを我慢してまで「燃費」の為に乗ろうとは思いません。

又,この手の車は都市部では威力を発揮しますが,郊外の通勤では,案外ディーゼルの燃費は悪くないです。
おまけに,燃料費も20円/L安いし。

この歳になれば,死ぬまでに乗れる車の台数は,あと2台あれば御の字でしょう。
そうだったら,保守的にならずに冒険しなくちゃ面白くないじゃないですか。
それに,もう TOYOTA には飽きましたし。

CX-5 購入の人柱要素は,60%くらいでしょうか。
勿論,メーカーは信頼性のないものを市販することはないでしょう。
ただ,メーカーもユーザーがどの様に使用するのかまでは予想しきれません。

即ち,メーカーの耐久試験方法に近い使用であれば,問題は無いでしょうが,人のすることですから,きっちりメインテナンスをする方やずぼらな方もいますね。
又,ディーラーもどこまでこのエンジンの特性を理解しているのか不明です。

もう一つ気になる点は,「軽油の質」です。
皆さんは,今使用しておられるガソリンの質を考えたことがおありでしょうか。
夏場の走行や坂道発進をする時,「カリカリ」と音がする場合,「ノッキング」がおきています。

いやゆる「オクタン価」が低いのです。
その為に,異常燃焼が生じてしまいます。
その現象は,激しくエンジンを痛めてしまいます。

CX-5 の SKYACTIV-G(ガソリン)は,圧縮比は13.0です。
欧州仕様は,14.0です。
この違いは何かといいますと,ガソリンのオクタン価にあります。

日本は,レギュラーが89なのですが,欧州は95なので,圧縮比が高くても大丈夫なのです。
だったら,ハイオク仕様にすればと思われるでしょうが,そうなると,維持費が高くついてしまい,商品の競争力が弱くなります。

同じように,軽油にも「セタン価」というのがあり,これが低いとガソリンエンジンと同じ症状がおきます。
又,従来のディーゼルは圧縮比が高く,自然着火のためもあってか,アイドリングでもそれなりの音が出ます。

ですので,出来るだけ質のよい軽油をいれることが,長持ちさせる要素になります。
これは,ガソリンエンジンでも同様です。

私の予想では,同じ車を乗っていても,ユーザーによって燃費が微妙に異なるのは,走り方などの要因はあるでしょうが,燃料の質も関係していると思います。

CX-5 の燃費報告でも,その違いは,それが原因ではないかと思われるふしがあります。
意外に「質」について議論されることはありませんね。

質の悪い燃料を使用することは,結果的に,エンジンの故障等を招き,修理費が高くついてしまいます。
1円でも安いスタンドを探すのは結構なのですが,その代わり,質の保証は危ういということも覚悟する必要があると思います。
特に,ディーゼルエンジンは,その差が明確に出るのではないでしょうか。

いくらメーカーがクリーンなものを開発しても,使用者が誤ってしまえば,そのイメージはダーティなものとなります。
私達が,その様なことのないように心がけることも,「エコ」ではないかと思うのですが,如何でしょうか。

私は,軽油の質を改善するものとして,セタン価向上剤を使用するつもりでおります。
何故なら,エンジンを壊してしまうとその費用はバカにならず,燃料費の節約など無意味なものになってしまいますから。

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