Legacy B4 My Impression

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今回から「My Impression」と題して,デザインや走った感想を書いてみます。ご意見等も多々あろうかと思いますが,主観一辺倒ですので,そこはご容赦下さい。

外観

フロント

ヘッドライトの形状をホークアイ(鷹の眼)と呼ぶそうですが,ライト部分が大きいので,フロントグリルが小さく見えます。
特徴的ではありますが,余りスマートには思えませんね。
バンパーも複雑な形状(造作)をしていてくどい感じがします。
私は,このフロントの眺めは余り好きになれません(ブラックですので,そこそこ精悍な顔つきには見えると思いますが)。
<h4サイド

先代までの Legacy は,サッシュレスといって「窓枠」がありませんでしたが,この車は窓枠があります。
Chaser も同様だったので,慣れてしまいましたが,やはりセダンはガラスを支える枠があった方がおちつきます。

今回,Legacy を選んだ理由の一つに,この「窓枠」の存在があります。
もし,なければ買うことを躊躇っていたかも知れません。
窓枠(サッシュ)がないと,ドアを閉める時にガラスが揺れる感じがしますし,走行中に窓を開けても同様です。
リヤガラスが全開できるのもいいですね(案外全開可能な車種は少ないです)。
<h4リヤ

トランクが短い。
言い換えれば,リヤのオーバーハングが短いです。
横から見れば,フロントのオーバーハングと同じくらいの長さ(フロントが長すぎる?)です。
かといって,奥行きが深いので容量不足はないです。

内装

もうこれは,国産車ではトヨタがダントツですね。
販売台数が多いため,原価を下げることが可能なので,同じ様な値段の車であればトヨタの勝ちと思います。

SUBARU は,こんなところにお金をかけるよりは,車の Machine の部分にかけるコストが高いのでしょう(おまけに 4WD だし)。
台数が売れないので,原価低減も難しいと思います。
従って,内装の豪華さ(質感)を選択肢の1つのいれる場合には,Legacy は余り適さないですね(と思います)。

こてこての豪華さがお好みでない場合は,案外あっさりしていいかも知れません。
ただ,4WD であれだけの豊富な機能を持たせて,200万円台で販売しようとすれば無理もないと思います。

自動車を商品と考えた場合(勿論商品なのですが),安価なものほど原価にシビアになります。
ですから,販売台数をどの様に見込むかによって,原価が変わってきます。
例えば,月間販売数を10,000台見込む場合と,1,000台見込む場合とでは,前者は少々原価が高くなっても利益は確保できます(薄利多売)が,後者は赤字になりかねません。

SUBARU は,機関にお金をかける傾向が強く,商品価値を其処に置いているように思います。
反面,トヨタは商品としての仕上げに重きを置き,「走り」という車本来の機能は,案外平凡になってしまっています。
例外は,レクサスブランドのみと思うくらいです。

レクサスのような値段をつけるならば,外国車も競合の対象になるでしょうから,当然,「走り」に力を入れないと,BMW やベンツと勝負は出来ません。
ヨタ車ばかりを乗り継いできたのですが,昔のように夢中にさせる車作りがなくなり,私のような一般庶民でも乗れるような面白い車はなくなりました。
SUBARU と共同開発の FT-86 も大きすぎます。

その点,SUBARU は,本来の車好きな方々の集団で,「走る楽しさ」を求める企業姿勢が強く出ているように思います。
国産唯一の水平対向エンジンの熟成を重ね,4WD の先駆者としてのプライドそうさせるのかも知れません。
今回,経営的な側面からトヨタ資本を受け入れましたが,特徴のない車作りになってしまわないことを期待します。

新車の購入をお考えの方は,先ずオプション無しで値切ることをお勧めします。
何故なら,「素の状態(オプション無し)」で値切られるのが最もきついそうです。
フィットやビッツは,オプションをつけてくれないと利益が殆どないので,どうにもならないとディーラーの方が言っておられました(家内の新車を買うのに,値引き交渉した時に教えて頂きました)。

NAVI 等は5万円~8万円くらいの利益があるそうです。
従って,オプションを沢山つけて値切られても,利益は確保できるとのことです。
ですので,オプションの値引きも大切です。

購入してから約20,000km(オドメーターは29,346km)走行しました。
ここから先は,思いつくままに項目設定をしていますので,何の脈絡もありません。
まさに「徒然なるままに」です。
前項までの中で折に触れ記してきたことと重複するかも知れませんが,ご容赦下さい。
主に比較する対象車は,Chaser(6代目) を基準にしています。

インプレッション

納車日(First Drive)

第一印象は,「車体が大きい(特に車高)」ことでした。
運転席に座ってポジションを何とか合わせようと思ったのですが,うまくいきません(これがうまくできないと,何となく気持ちが悪いです)。

又,車両感覚が出来てないので,帰宅する時は,国道に出るまでの細い道は走りづらいでした。
幸い,スラントノーズではないので,運転席からボンネットが見えるので,まだましでしたが。
以前,代車で SAI をお借りしたのですが,ボンネットが見えないので,一瞬「えっ」と感じたことがあります(前がない)。

CVT の特性も掴めませんでしたので,兎に角帰宅するまでは慎重に走りました。
バックする際,リヤのトランクが見えないので,「止める位置が把握しにくい」と感じました(バックビューカメラの必要性を強く感じました)。

車速感

Chaser の時も感じたのですが,スピード感に乏しいです。
メーターは60kmを示しているのに,体感的(視覚的)には30kmくらいにしか感じません。
Chaser よりも遅い感じがします。

その理由は,遮音性と特に「視認性の良さ」ではないかと思います。
私は,着座位置を高く設定しますので,その効果もあるのでしょう。
この感覚は,過日高速道路を走っても同様でした。
スポーティーカーであれば,着座位置も低いので,地を這うような感じで走行すれば,ものすごいスピード感と思いますが,その対極をいきます。
私は,どちらかといえば,スピード感を求めるタイプではありませんので,こちらの方が安全でもあり,ベターですね。

走行音(静粛性)

高回転域(5,000回転以上)まで回さない限り,水平対向エンジンはとても静かです。
風切り音もしません。聞こえてくるのは,タイヤのロードノイズくらいです。

ただ,特徴的なのは,「ヒューン」という CVT の作動音が,下り坂で自動でシフトダウンしている時などはよく聞こえます。
年次改良で,遮音性を高めたようですが,私は,敢えてその音が聞こえるようにチューニングしたとしか思えません。
私には不快な音ではなく,ターボ車のタービン音のようで面白いくらいです。

走行時の静かさは,サッシュがついた窓であること,ドア周りのブッシュが遮音性を高めていると思います。
エンジンの形式が異なるので仕方ないですが,私としては,4A-GEU のエンジンに近い音が聞こえれば,軽快感があっていいのにと思います(無い物ねだりですが)。

走行安定性

まさに 4WD の神髄ですね。
既述の電子制御の恩恵もあるのでしょうが,どの様なシーンでも破綻することがないのはさすがと思います(限界を極めることなどしていません(出来ない)が)。
サスペンションの変更によって安定感が増し,車高が少し低いこともあって,少々オーバースピードでコーナーに入ってしまっても,何事もなくクリアしていきます。

高速道路でも,直進安定性は抜群で,「前がよく見える」のです。
今までこんな車に出会ったことはありません。
昔の 4WD はコーナーでのブレーキング現象(特に Part Time 4WD )や,Full Time でも重たさを感じましたが,Legacy は,そんな傾向を感じないというか,4WD であることすら意識させません(他車を試したことはない)。

一度,Audi に乗ってみたいと思っています(当初は,購入の選択肢に入れたのですが,さすがに中古車でも自分の欲しいクラスは,予算が合わなかった)。
SUBARU は,世界で最も早く 4WD を市販したメーカーと思いますが,WRC デビューは,Audi が先であったと記憶します。
電子制御全盛の時代にあって,「車の味付け」はエンジニアがどの様にするかが,車の特性を決め,ユーザーが介入する余地はどんどん薄くなっています。

又,サスペンションのストロークも深く(交換した KYB は純正容量を確保),タイヤが滑らかに路面をトレースするので,Chaser の時のようにギャップをポンポンと跳ねることがありません。
車が路面に吸いついている感じで走行します。
「前がよく見える」というのは,車体の上限振動が少ないので,視点の揺れが抑えられる効果によると思います。

フロントから見える視野角が広いのもその恩恵を与えているのではないでしょうか。
前述のように,限界点が高い為,私の技量では車を「振り回す」ようなことは一切出来ず,VDC の介入がどの時点で行われているのか,さっぱり分かりません。

残念ながら,現時点では(これからもそうでしょうが),車の性能に「任せて」走行しているに過ぎません。
涼しくなってきたので,朝晩の通勤時はエアコンが不要となり,空気の密度も濃くなって,夏場よりもエンジンのパワーが発揮されるので,エンジンも軽そうに回っています。
タイヤが減ってきつつありますので,そろそろローテションの時期かなと思っています( ADVAN は以外に長く持っています。POTENZA を履いた時には,30,000km 近く持たなかったように思います)。

冬期

私の地方でも,今年の冬は,例年になく大雪に見舞われました(小学校3年以来の大雪)。
連日,圧雪路と凍結路を走って通勤せざるを得ませんでした。
勿論,スタッドレスに履き替えているのですが,Chaser の時には相当緊張して走らなければならないところでも,全く滑ることなく走破してしまいます。

SI-DRIVE を「i Mode」のままマニュアル操作で走れば,何の心配もありません。
大雪は偶然でしたが,SUBARU を選択したのはドンピシャと思ったですね。
凍結路の下りでも,2速で下れば,少々ブレーキを踏んでもしっかり止まります。
2WD( FF or FR )の場合,車速が遅くても,ハンドルさばきとアクセルワークによっては,車が横向きになってしまう場合があり,とても怖い思いをします(前述しましたが,私はそれで1台壊してしまいました)。

私は,冬期に入って,凍結し始める時期には,平坦な国道でブレーキテストをします。
又,アクセルを踏み込んでいって,車の挙動の変化を体験します。
何故ならば,凍結路などでは,夏場と全く異なる挙動を示すので,その体感を呼び覚ますために,上記のようなことを行うのです。

夏場にいうことをきいた車が,一向に自分の自由にならない恐怖は,何とも言いがたいものがあります(コワイですよ,ホントに)。
総じて,これほど楽に冬を越させてもらったのは初めてでした。
SUBARU は,冬期の車両開発を北海道で行っていると聞いていましたが,それも宜なるかなと思えます。

雪を経験して発見したのですが,フロントガラス前にあるエアダクト(空気孔)に雪が積もって難儀した思い出はありませんか。
Chaser の場合は,何時も空気孔を開けるのに苦労しました(手が冷たいじゃないですか)。
SUBARU は,その空気孔をボンネットの中に持ってきているのです。

ですので,大雪でも空気孔がつまることがないです。
それがどうしたと言われそうですが,そんな工夫も上記の場所で開発しないと,その必要性が見えてこないのではないでしょうか。
私の知る限りでは,Volvo が同じようになっていました。

久々の連休(土・日曜日)なので,ドライブに行こうかなぁと思っています。
家内と付き合ってた頃,迎えに行く時間をどれだけ短縮出来るか計りながら走行していたことを思い出しました。
あの頃は,道幅は勿論のこと,コーナーのアールや路面の荒れなどを完璧に近いほど覚えていました。

この時に感じたのは,コーナーを回る限界速度があって,どんな車であっても,それに近い状況で走行することを目指すのが,タイムの短縮につながるということでした。
ですから,運転の上手な人は(特に地元のドライバー),道路の状況を分かって走行しているので,追い越すのは至難の業でした。
もし,ワインディング・ロードを走っていて,地元のドライバーと思われる方が前を走っている場合は,ライン取りなどを観察されることをお勧めします。

愛車は,相手の車よりもハイパワーだからといって,道を知らない限り,勝てる(勝負じゃないですが)見込みはありません。
この辺が,高速道路でアクセルさえ踏み込めば,簡単に追い越せるのと全く異なります。

逆に,ワインディング・ロードでは,そのハイパワーを持て余してしまい,車の限界を超えてしまった場合,クラッシュの憂き目にあってしまいます。
現に,近くの道でスカイライン GT-R がクラッシュしていて,ドライバーが呆然と車を見つめていたのにであったことがあります。

エンジン

ご存じ水平対向エンジン。
2,500cc SOHC。170PS/5600rpm,23.4kg・m/4000rpm。
公式サイトにもあるように,このエンジンは低重心が特徴で,且つ,水平対向が振動を打ち消しており,従って,他の形式のようにバランサーの組み込みが不要です(かかり始めはラフな感じはありますが)。

実際,エンジンを回していっても,エンジンマウントが揺れている感じがさほどしません。
SUBARU は,この車からマウント形式をクレードル構造マウントに変更していますので,その効果もあるのでしょう。

エンジンサウンドはさておいて,自分は,DOHC 4valves の信奉者だった(特に4A-GEU)のですが,高回転域への滑らかさを体験すると,どうして,ポルシェが911シリーズのエンジンに水平対向を使用継続するのか分かったような気がします。

時代の趨勢故に仕方ないとは思いますが,本当であれば,SUBARU は,このエンジンを DOHC 4valves にしたかったのではないでしょうか。
既存エンジンなのですが,私はそうして欲しかったと思います。
燃費をいうならば,高回転域の実用性が乏しいのは承知していますが,個人的に申し上げれば,「省燃費運転」一辺倒で,車と付き合うのは面白くありません。

おまけに 4WD ですので,車としては至極大人しいです。
このエンジンが,FR 車に搭載されていれば,また印象は変わってくると思います。
今まで,「水平対向エンジン」に対しては食わず嫌いのところがあったのですが,少しはおいしさが分かったような気がします。

欲をいえば,6気筒はアウトバックしかありませんが,2,500cc エンジンも6気筒にすれば,よりスムースな吹け上がりで面白いと思います。

実燃費

カタログでは,10・15モード燃費 14.0km/l となっています。
当初,平均燃費計の使用方法が分からなくて,トリップメーターを何回かリセットしてしまった(2回は清掃時にやってしまった)ので,購入時からの通算にはなりませんが,現在トリップメーターは6,700km余りを示しており,平均燃費は「11.9km/l」です。
カタログ値に対する達成率は85.0%ですので,なかなか頑張っていると思いますが如何でしょうか。Chaser に比べて,約1.4km/l~1.7km/l のアドバンテージですね。

決して省燃費運転に徹している訳ではなく,暖機運転もしっかりやりますし,郊外ではスピードも結構出しています。
殆ど通勤使用ですから,同じ道の往復ですので,サーキットと同様に,道の特性を掴んでしまえば,最も効率の良い運転が出来ると思っています。
心がけていることは,一定のスピードに(例えば60km)にのせてしまうと,一旦アクセルオフすること(巡航状態)。
CVT は,出来るだけ低回転を使用するようなセッティングがなされているので(特に i Mode ),ラフなアクセルワークは厳禁です。
実際にオフにされると,タコメーター針がストンとおちると思います(燃費を稼ぐため,強制的に低い回転数を維持する設定になっていて,乗ってみると以外に「走らない(加速しない)」車種もあるようです)。

市街地に入ると,「信号を如何に止まらずに通過するか」がテーマになります。
アイドリングストップは,ゴー・ストップの繰り返しによる燃料消費の抑制を目的としていますが,逆に止まることなく巡航すれば,その機能は不要となりますね(この機能を使用しない郊外などでの実燃費はどうでしょうか)。

車の混み具合にもよりますが,私は,常に一つ先の信号の状況に注意を払ったスピードに調整します。
通勤路ですから,大体信号間の距離は分かっていますね。
ですので,信号が赤の場合,青で通過出来るような速度に調整するのです(信号までの距離と止まっている車両の状況を判断して,パドルシフトでシフトダウンします)。

又,手前の信号を青で通過しても,スピードによっては,一つ先の信号にひっかかってしまう場合があります。
これは信号間のスピード調整があっていないのです。

車によっては,青になった途端ダッシュするのはいいのですが,私が調整しながら走っていくと,先の信号で止まっています。
先の信号を見ていない場合,ともすれば前車に追従しようとしてしまい,無駄な加速をしてしまいます。
要するに,前述のように「止まらない」ようにすればいいわけですから,その平均スピードが,例えば 40km であっても燃費の問題はありません(経済速度を厳密に定義するのは難しいです)。

この市街地走行は,Chaser の時から実践していて,有効な手段になっていました。
「ゴー・ストップの繰り返し」って結構ストレスじゃないですか。
ですから,闇雲にスピードあげて信号を突っ切ろうとせずに(信号無視はできないデショ),車の混み具合等も勘案しながら,「知的に」省エネ走行に徹するほうが面白いですよ。

車によっては,私がスピードを上げない(決して超低速ではありましぇん)ので,煽ってくる場合もありますが,先の信号に対する調整だと気がつかれた方は,車間距離をつめなくなります(Legacy もゆっくり走る時はあるノダ)。
退社時間が遅い日などは,単独走行の状態が結構ありますので,この時は信号と勝負しています(点滅ではありません)。

郊外に出るまで,如何にノンストップで通過できるか。どうしても1,2箇所止められるので,信号の青の時間を体感的に理解し,その適正スピードを見つけることにチャレンジ中です。
市街地をでてしまうと,巡航状態に切り換えて運転します(故意犯ですが80kmで巡航する時もあります)。
時には,ここから Fun to Drive(「S」or「S#」Mode ) 状態に入ってしまって(お母ちゃんに早く会いたくて),上述のような限界スピードに挑戦してしまいますが,若い頃のようにタイムまで計測してはいません(いい年扱いてやるなよ)。

デフォルトのプラスチックのアクセルペダルでは,このような微妙なアクセル操作は出来ませんので(少なくとも私は),スポーツペダルに交換しています。
面白いと思ったのは,時折 Fun to Drive 状態で走ったからといって,平均燃費が低下しないことです。
反対に,0.1km/l の向上も至難の業ですので,この辺が限界値ではないでしょうか。

畢竟,「省エネ走行」であれ「スポーティ走行」であれ,アクセルワークが鍵になるのではないでしょうか。
ブレーキで速度調整するのではなく(勿論必要な場合もあります),アクセル調整で行うことを試みて下さい(ブレーキパッドの減りも少なくてすみます)。
換言すれば,スムースな加速と減速をいかに上手に行うかが要諦になると思います。
SI-DRIVE は,同じ踏み加減でも,モードによってレスポンスを調整(変更)していますね。

車計簿をつけよう

再三書いていますが,車に関するランニングコストは,ガソリン代だけではありません。
可能な限り安いスタンドには行くのに,洗車かける時間や水道代,ケミカル用品の費用を度外視してしまう。
これでは,車に対して適正な投資をしているのかどうか分からなくなってしまいます。

仕事柄,イニシャルコストもさることながら,ランニングコストをシビアに管理する立場にいますと,職員が,「値段が安いから」という理由で,備品等の購入希望を上申してきますが,「ランニングコストはどうなっている?」と尋ねますと,「これからメーカーと交渉します」とか,挙げ句の果ては全く視野に入っていない者もいます。これでは当然保留するしかありません。

この意識は,プライベートな生活におけるお金の使い方の反映でもあると認識しています。
人間は,「自分の欲しいもの」や「関心のあるもの」の値段は低く(安く)感じ,「関心のないもの」は高く感じるものです。

まだ,PC が高い時代に,ある職員さん(その方は PC の必需性がない)に,「どうしてそんなに高いものを買うのですか」と問われたことがあります。
私の回答は,「PC のランニングコストは,究極的には電気代が殆どです。これが車だったら,ガソリン代だけでなく,税金やオイル交換などの費用がかかります。又,車検も受けなければならないし。購入価格が同じで,どちらも5年間使用すると,そのランニングの差は,圧倒的に車の方が高くなります」というものでした。

勿論,性質の異なるものを比較しても仕方ないと言われるかも知れませんが,経済的側面からいえば,同じ俎上に載せるべきと思うのです。
換言すれば,「車にどう投資するのか」。

私のような無駄遣いをしまくった馬鹿者からすれば,若い方々の車離れは,クレバーな行動と思います。
その意味では,車検時に「直すな」と言った娘に一目を置いてしまいます(バカなくせにこんなことだけシビアなんですよ)。

反面,お金もないのに,「ブランドのバッグが欲しい」等と喚いています。
見事に価値の相対性を物語っています(オトンは小遣いやらないゾ)
現在は,私の20代に比して,多様な興味を引くもので溢れており,限りあるお金をどう配分するのかを考えた場合,車の優先順位が下がるのは仕方がないことだと思います(余りにもランニングコストが高すぎる)。

しかしながら,車に魅入られた者は,経済的側面からものを考えることが鈍くなります。
私も,「あれもこれも」と自動車用品を買いまくった時期があり,結局使用せず,デッドストックになったものが今もあります。
幸い,家内は現役の「公僕」ですので,家計の行き詰まりもなく,ここまで来れました(おかあちゃんに感謝)。

1台目の車をぶっ壊した時,金欠でしたので,彼女(後の家内)に「借金」して中古車を買いました。
結婚したので返済はしていません(返済不能に陥って結婚した訳ではないので念のため。じゃぁ,元々返済するつもりはあったのか,とオカンに言われそうですが)。

余談(ノロケ?)はさておいて,一度,車に纏わる費用を全て(人件費も含めて)計上してみることをお勧めします。
その合計金額がご自分の可処分所得(税引き後の金額)の何割を占めるのか確かめてみて下さい。

その割合が高すぎると感じた場合は,車の買い換えをお勧めします。
そうでないと,給与の殆どを車の維持費に喰われてしまい,逆に余裕を失っています。
我々の若い時代は,はしかにかかるように,車に夢中になる者が多く,車両代のローン返済と維持費で給与がとんでしまい,「小遣い」を親にねだっている猛者もおりましたが,事実上の破産状態です。

知り合いの不動産屋と話していて,「新築物件を売るコツ」を聞きましたところ,「購入後のランニングコストは出来るだけ言及しないこと」だと言っておりました。
「それじゃサギじゃないか」と思わず言ってしまいましたが,「聞かれない限りは答えない。自分で調べるのが生活防衛じゃないか」と切り返されました。

長々と書きましたが,一度ご自分の「投資の状況」をお確かめ下さい。
私のように,家内に借金しないでもすむように(それにしてもなんでオカンはお金を出してくれたのだろうか。惚れた弱みナンチャッテ)。

Fun To Drive

Legacy の開発趣旨に「Driver's Fun」というのがあります。
Fun は日本語で,「楽しみ」,「喜び」と表現されます。

SUBARU は,また「Passenger's Fun」という Key Words を使っています。
今までは,「Driver's Fun」を追究することが基本であったが,「Passenger's Fun」も目的に加えたとのことです。
その為の手段が,ボディサイズの見直しであったことは周知の事実でしょう。

「Driver's Fun」のみであれば,ボディはコンパクトな方がいいに決まっています。
しかし,自動車も商品ですから,変化する User Needs に応える必要があります。
SUBARU の Main Market は日本ではなく北米となっています(売上台数の60%弱が北米)。

その Needs を無視しては会社が成り立っていかないとすれば,日本のスバリストの不評を買ってでも,今回の様なモデルチェンジを行わなければなりません。
それは,約20%弱の資本をトヨタから受け入れざるを得なかった事情を推察すれば明瞭になってきます。
かといって,会社の体質からいけば,「Passenger's Fun」を第一優先事項にはし難い。

Legacy のモデルチェンジには,この辺りの苦しさが出ているように思います。
Legacy と約 20,000km 付き合ってみて思うことは,第一印象で感じた「大きいなぁ」というイメージは,走り始めると消え去り,外見から感じる鈍重さはなく,回頭性の良さもあって,軽快さは失っていません。

「Comfortable To Ride」一辺倒に振ってしまうことに,エンジニアのプライドが許さなかったと思えてきます。
表題は,昔トヨタが CM で使っていた Key Words です。
石坂浩二の声で,「Fun To Drive TOYOTA」と言っていたのを覚えておられる方もあると思います(古い)。
国内に限って言えば,TOYOTA が使用していた Key Words の真の意味を理解していた User はどれくらいいたでしょうか(私もえらくカッコイイと思っただけでした)。

TOYOTA には単なる CM の Key Words だったのでしょうが,SUBARU にとっては,それが変わることのない信条であった。
スバリストにはそれが分かっているから,「ブーイング」したのであろうと思います。
では,今回のモデルチェンジは,スバリストを切り捨てたのかと言えば,私は決してそんなことはしなかった(出来なかった)と明言できます。

やはり,Legacy はどこまでいっても,Driver's Car なのです。
Chaser の時に感じた「工業製品」としての一流品に過ぎない無機質さと異なり,Legacy には,言いしれぬ「温もり」を感じます。
Jeep を買った時に感じたものが Legacy にはあるのです。

Chaser と Jeep を同時に所有していた時期に,その相違に気づきました。
言ってみれば,たかが工業製品に過ぎない。しかし,何かが違うのです。
TOYOTA 批判をする訳ではありませんが,社長が「面白い車作りをしたい」と言われても,一流の工業製品生産を主目的としてきた体質の変化は困難な気がしています。

何故かと言えば,TOYOTA が売る商品は別に自動車である必然性を感じないのです。
Bill Gates が,PC の黎明期に Operating System を開発したのは,Programmer として魅力を感じたのではなく,そこに「Business の未来がある」と感じたからだというのを読んで驚かされた思い出があります。

TOYOTA も同じです。
SUBARU の前身は中島飛行機ではなかったかと思います。
その Roots が会社の特徴を表しています。

BMW もそうです。
BMW の正式名称をご存じですか。
「バイエルン発動機製造株式会社」といい,前身は航空機エンジンメーカーです。

ここに,第2次世界大戦時に戦闘機を作っていたエンジニアが,戦後,自動車のエンジンを設計した必然性が存在します。
ご存じの日産スカイラインもそうです。
スカイラインは,元々日産と合併する前のプリンス自動車工業という会社が作ったものです。
この会社も飛行機関係の技術者の集団でした。
現在の GT-R の Roots もこんな所にあるのです。

Motor Sports の起源は欧州にあるのはご存じですね(F1,WRC,MotoGP 等)。
それは Culture であると思います。
いかんせん,日本ではようやく戦後始まったに過ぎない。
この歴史の違いが,自動車をどう捉えるかの差ではないか。

即ち,TOYOTA 流の一流の工業製品が市場を席捲したことによって,Culture が育つ要素は薄くなった。
ですから,TOYOTA は北米市場では強いけれども,欧州市場では苦しんでいます。

どんな商品でもそうですが,Market を如何に押さえるかが勝負です。
何を書いているのか分からなくなってきましたが,「Fun To Drive」を極めようとしてきた SUBARU の姿勢は文化的には正解でも,経営的には難局を迎えています。
「Fun To Drive」を志向する User の減少も,それに拍車をかけています。

ECO の時代にあっても,欧州と日本の取り組む姿勢には違いがあります。
欧州の User は常に「Fun To Drive」が基本であり,Maker もそれを大切にします。
Maker としての姿勢が明確な SUBARU に,そして Legacy に出会えたことは,私にとって,若い頃に感じた楽しい想い出を再び追体験できるいい機会になりました。

経済的に申し上げれば,私が自動車に投資する目的は,(1)「Fun To Drive」,(2)移動手段の2つで,Legacy は両者を満足させてくれています。
延々と TOYOTA 批判を展開したように思われるかも知れませんが,はっきりいって,今の TOYOTA は面白くない。

社長はその辺の所が分かって危機感を感じておられるのでしょうが,官僚化した会社の体質の変化は一筋縄では行かないでしょう。
資本提携した SUBARU の姿勢に学ぶことこそ,今の TOYOTA に必要であると思うのは私だけでしょうか。
それが欧州市場を開く最短の道ではないかと思料します。

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