LINE の「既読」であなたは逮捕されてしまうのだろうか

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共謀罪(テロ等準備罪)の対象犯罪の内訳をみてみよう。

対象犯罪は,次の5つの分類され合計 277 となっている。
(1)テロの実行:110
(2)薬物:29
(3)人身に関する搾取:28
(4)その他の資金源:101
(5)司法妨害:9

277 の罪のうちテロは 110 で,「等」に含まれるのが 167 もある。世界一治安の良い国といわれる日本にあって,テロの起こる確率は極めて低いだろう。法律の真の目的は残る167にあるのではないかと邪推さえしてしまう。
この277の内容を調べてみたが,ここしか見つけられなかった。
それが下記の Fig.1である。
Fig.1

小さくて見づらいと思うが,実に多岐に渡っている。
大げさに言えば,「何かを複数の人間で画策する」と全てがその対象に入ってしまう気がしないだろうか。
私は,警察の現場でも明確に分かっていないと思う。だから,悪くすれば幾らでもその対象に出来ると思ってしまう。

私は,約 30 年前に老人保健法の改正で新たに出来た老人保健施設の開設を行ったことがある。
条文には色々書いてあるが,県庁にそれを確認すると,さっぱり理解していない有様で,何でも「国に確認する」という回答だった。
どちらも明確に分からない(現実が始まっていない)ので,「この様に解釈できる」と押し切った方が勝ちである。
その事実が積み上がって,現実の姿が出来上がっていく。

現場で共謀罪についての具体的な解釈が出来上がっていない場合,何でもその対象となってしまう可能性を否定できないと思う。私は,それが「冤罪」につながっていくのではないかと懸念している。

今国会で議論しているが,誠に失礼ながら,それは現実を作り上げるための議論ではないように思う(その証拠に答弁が二転三転している)。
又,その時に「○○は含まれない」と答弁した内容はどこまで担保されるのかも不明であろう。
何故なら,取り締まる側は,全てその事実を把握しているわけではない。

私の経験でも,県庁との折衝で,他府県の事例を提示して初めて可能になったことがある(役人は全てを知っているわけではないのだ。故に我々は対象になる犯罪の知識を持っていなければ自己防衛できないかも知れない)。
このように,共謀罪は,誰も明確に答えられないことに問題があり,それだけに恣意的な運用を可能にしてしまう危険性を秘めているため各方面から反対されている。

換言すれば,「黒になる」理屈を構築してしまえば,何でも罪になってしまいかねない。

共謀罪 テロ等準備罪 大竹まこと

ラジオの前半部分で,
(1)「共謀」という概念についての最高裁判例
(2)確定判決の無罪率は 0.03 %しかない(解説はこれ
と言及している。
最高裁判例について調べてみたが,私の拙い知識では下記のFig.2及び Fig.3しか分からなかった。
Fig.2

Fig.3

上記の黄色の部分がラジオの解説に当たるのではないかと思う(法律の文章は読解しにくいので間違っていたらご容赦下さい)。
有罪率の解説ページによると,「裁判を受けた人が有罪になる割合」は 97.5 %,「実体判決を受けた人が有罪になる割合」は 99.79 %で,ラジオと異なるのだが,一旦逮捕されて裁判で判決が出ると,99.79 %の確率で有罪になってしまう。おまけに,取り調べの際に弁護士の立会も認められないとすれば,まさに孤軍奮闘しなければならない。

安倍首相は,「一般人は対象外」と処罰対象が限定されるような印象を与える発言を行っている。
衆議院議員の逢坂 誠二氏が2017年1月20日に,「いわゆる共謀罪に関し一般人は含まれないとする菅官房長官の発言内容に関する質問主意書」を政府に提出しており,この答弁では,「一から五までについて(中略),当該法律案については現在検討中であり,その具体的な内容等に係るお尋ねについて,現時点でお答えすることは困難である」としている。

従って,「一般人は対象外」との答弁は何ら根拠性のないものであり,2月17日の朝日新聞は,法務省が「もともと正当な活動をしていた団体も,その目的が「犯罪を実行することにある団体」に一変したと認められる場合は,組織的犯罪集団に当たり得る」との見解を示したと報じている。

このように,答弁や見解がどんどん変化している。
確かに,安倍首相は「どのような場合でも」一般人は対象外となるよう検討していると述べていないので,法務省の見解とは矛盾していない。
ただ,普通に「一般人は対象外」といわれると,「自分には関係ない」と考えてしまう。
だから,共謀罪に反対する方々に対する理解がなかなか及ばないように思う。反面,賛成の方々もその明確な論拠を示せていないように思える。

この法律は「日本の在り方」を変えてしまうものだと思う。
謂わば,日本国中の誰もが説明できないような法案を審議し決定するのはいいのだろうか。

最後に,標題であるが,「既読」は肯定とみなされてしまうが故の問題であろう(京都新聞)。

(参考)
(1)ウィキペディア:共謀罪
(2)法務省:「組織的な犯罪の共謀罪」に対する御懸念について
(3)法務省:組織的な犯罪の共謀罪に関するQ&A
(4)法務省:「組織的な犯罪の共謀罪」を巡る条約の交渉過程での政府の発言・提案について
(5)衆議院:いわゆる共謀罪に関し一般人は含まれないとする菅官房長官の発言内容に関する質問主意書
(6)日弁連:日弁連は共謀罪に反対します
(7)日本ペンクラブ:「共謀罪」に反対する
(8)東京新聞:「共謀罪」法案「テロ実行」は110犯罪 対象277を5つに分類

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