大抵の病院は,公式であれ非公式であれ看護師さんを増やしたいと思っています。
その目的は色々あると思いますが,大きく分けて下記の2つだと思います。
収入増
直ぐに考えられるのが収入増です。
診療報酬の仕組みからいっても,スケールメリットが大きい(ここでは基準の付帯条件は省略します)。
例えば,40床の A 病棟があるとします。
現在は,10対1入院基本料を算定しており,1日当たりの保険点数は1,332点,これが7対1入院基本料になると,1,591点の収入になります。
その差は,1,591点-1,332点=259点です。
1日当たり259点×10円=2,590円。
1年では,2,590円×365日=945,350円←1床(1人)当たり。
病棟全体での年間収入は,945,350円×40床=37,814,000円
病棟の基準をあげるだけで約3,800万円の増収になります。
これを実現するためには,何名の看護師を増員すればよいか。
10対1入院基本料の必要人員:(40人×1/10)×3=当該病棟に1日当たり12人(小数点以下切り上げ)
7対1入院基本料の必要人員:(40人×1/7)×3=当該病棟に1日当たり18人(小数点以下切り上げ)
この差6名。
6名の看護師さんが増えるだけで,約3,800万円の増収が見込めます。
勿論,6名分人件費も増えますので,平均年収450万円とすると,450万円×6名=2,700万円が必要ですが,それでも,約3,800万円-2,700万円=1,100万円の増収です。
ましてや,現在10対1入院基本料を算定していて,7対1入院基本料の基準まであと1名となればなんとしても確保したい。
病院側は,10対1の基準に対して5名加配している状況という考えをします。
即ち,病棟における勤務実態は別にして,5名分の人件費は余計にかかっている。
これを解消するためには基準をあげるしかないのです。
このように,加配している人数が増えることによる人件費の増大の解消と収入増をはかる為には,何名でも看護師さんが欲しいのです。
基準を下げないための抑止策
病院はいくつかの病棟を持っており,そこにはそれぞれの基準があります。
各々の病棟の配置基準を満たしていなければならないわけですが,出産,育児,退職などの流動性が生じる要素のため,安全を見越した上で,確保しなければなりません。
出産,育児となれば,1年間は不在となります。
1名の方の不在が,何千万円の減収を招くわけにはいかないのです。
お金に纏(まつ)わる話で恐縮ですが,看護師さんの増加は大きな増収となるため,どの病院も確保に力を入れているのが実情です。
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