「保育園おちた」ブログで思うこと

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「保育園おちた」ブログが話題になり,国会議事堂前でお母さん方が集会をするに至り,選挙を控えている与・野党はこれを政争の具にしてしまった。
はっきり言って,この問題は,「人口減少」に直結しているのでなかろうか。
子育て支援が,かけ声ばかりで,実のある施策が出てこない中で,若い人達は,自分の生活を賭けてまで,人口を増やしたいとは思わないだろう。
私が,今その年代であれば,周りの環境が整っていないならば,敢えてその冒険を犯すことを控えるかも知れない。

Fig 1.
合計特殊出生率.jpg

Fig 2.
人口減少.jpg

内閣府の資料(Fig 1.)によると,平成25年の合計特殊出生率は 1.39 とある。一方,人口を維持するための合計特殊出生率は,厚生労働省の資料によれば,2.08 となっています。
この差,0.69 はどれだけの数を意味するのか,私には明確に分かりませんが,平成60年には1億人を下回ると推計されています(Fig 2.)。

経済力の維持には,一定の人口(特に労働人口)が欠かせませんから,このままでは日本は衰退の一途を辿ることになります。大企業は,労働人口が減少すれば,国外に工場を移転し,産業の空洞化は益々加速していくことにもなる。そうなれば,若い人達は未来を描けず,ましてや結婚はおろか子供を産むことすら考えなくなっていくのではないか。
安倍首相は,「移民は受け入れない」と言っていますので,人口減少対策に本腰を入れて取り組まないと,その言葉は空手形になってしまいます。

与・野党は,目先の選挙対策ではなく,人口減少対策を真剣に考えてもらいたいものです。欧州では,フランスがその取り組みを行い,出生率が高まっています。
少子高齢化が叫ばれて久しいなか,いつになったらまともな施策が出てくるのか。
私は,お母さん方の怒りは当然のことであり,その根底には,上記の不安が渦巻いていることを,与・野党はもっと切実に考える必要があると思います。

保育士が不足しているとすれば,「緊急措置」として,教員免許は文科省,保育士は厚労省と管轄が異なるのは承知の上で,退職なされた幼稚園や小学校教諭の方々を一時的に「保育士とみなす」措置を講じ,配置するという方法もあると思います。そして,岸 博幸氏の「政策ウォッチ」にあるように,保育士の国家試験の回数を増やし,合格率を上げる措置を行い,充実してくれば,徐々にみなし保育士の方々に退いてもらえばいい。
又,施設が少なければ,廃校を利用する方法があります。都市部では,どのくらいの廃校数があるか分かりませんが,フル活用されていない校舎もあるのではないでしょうか。

私は,20数年前,あちこちに廃校が目立ち始めた頃,行政の方に「有効利用しないのか」と尋ねたことがあり,その回答は,「あれは教育委員会の財産だから,一般財産にするのは難しい」ということでした。
しかし,冗談じゃないと思いませんか。校舎は,我々の税金を使って建てられているのです。
「国立」は「国民立」であり,「公立」は,「都道府県民立」乃至は「市町村民立」が正しい考えで,それらは,我々の財産ではないのでしょうか。

財源は,民主党が政権を取った時,見直しをかけようとした国家予算の仕組みを洗い直せば,歴然と存在すると思いますが。

私達は,安心して子育てが出来,就労可能な社会の構築を求めているのであって,それは,安保や TPP のことよりも遙かに大切なことであると認識する必要があると感じるのですが,いかがでしょうか。

※合計特殊出生率:女性が出産可能な年齢を15~49歳までと規定し,年齢別出生率を合計した値。1人の女性が一生に産む子どもの平均数を示す。

(参考)
(1)内閣府:平成25年版 少子化社会対策白書
(2)nippon.com:日本の出生率~少子化対策へ政府も改善に本腰
(3)Sankei Biz:シングルマザーが年収1500万円世帯に負ける場合も… 待機児童が減らぬ理由
(4)ダイヤモンドオンライン:「保育園落ちた」の打開策“幼保一元化”はなぜ進まないか
(5)ダイヤモンドオンライン:保育園問題,介護問題…なぜ政治家は,社会保障の「需給のズレ」を認識できないのか
(6)ダイヤモンドオンライン:待機児童問題が緊急対策でも解決しない理由
(7)文部科学省:2.廃校施設の実態とその活用状況の把握(PDF)

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