転職したら,月額給与は上がったが,「年収」はほぼ横ばいか下手をすれば下がってしまったという経験はありませんか。
職安を除いた大抵の求人案内には,賞与はあまり明記されていません。
そこに落とし穴があります。
確かに月額給与だけを比較すれば,その金額が高いところは年収も多くなると予想します。
しかし,賞与の支給額が低いために現状と変わらない結果が生じます。
しかもそれは面接で質問するか,もしくは入職してからでないと実態はわかりません。
私にいわせれば,案内に載せる月額給与は「キャッチコピー化」している。
人の目を引くにはそれも必要なのは理解できます。
しかし,それは,表現は悪いですが,一種の詐欺ではないのか。
人事担当者からは,応募者がなかなか集まらない理由として,月額給与が低いことを言われましたが,それをするには法人全体の給与体系を変更せねばなりません。
近隣と比較して,年収の格差があれば当然行いますが,年収は上回っているとすればその必要性はない。
若い人達は,そこに惹かれてしまうのも事実でしょう。
ある出戻りの看護師さんと行った先の病院の給与の話をしていて,結局年収の大幅なアップはなかったとのことでした。
その原因は賞与の支給率の違いにありました。
私は,人事担当者に,予め送って頂いた履歴書から経験年数を換算し,中途採用者の規定に沿って計算すれば「年収」はどうなるかをシミュレートして面接時に示すように指示しました。
エクセルでその為の簡単なソフトを私自身も考案しました。
それ以来,面接に来て頂いた方は,ほぼ就職してくれるようになりました。
もう一点は昇給制度です。
誰もが,勤続していけば昇給するのは当たり前と考えていますが,そこは千差万別です。
初任給が他所より高いのだから,「うちは最初から5年先の給与を支給しているのと同じだ」といって,殆ど昇給のない病院や施設も存在します。
昔,病院の会合の出張で長崎に行き,ある病院の管理栄養士さんとお話をした時のことです。
そこの病院は,在籍 10 年で昇給したのは,わずか 3,000 円とのことでした。
「なんで辞めないのか」と訊くと,県内の病院数は余り多くないし,管理栄養士の募集は殆どないから転職できないとのことでした。
私は,各病院の方針があるでしょうから批判はしませんが,明確なシステムは必要だろうとは思います。
このように,表に出ている内容だけに飛びつくのではなく,面接の依頼の電話をする時に,賞与や昇給システムを尋ねるなどして,総合的に勘案して転職先を決めることが大切と思います。
私から見れば,医療従事者の方は純粋です。そこにつけこまれないようにして下さい。