あなたは職場で順調に仕事が出来ていますか。
それとももう辞めたいと思いながら仕事をしていますか。
そして,辞めたいと思う理由は何ですか。
仕事を辞めてしまうことは簡単です。
退職届(退職願ではありません)を会社に提出して,明日から出社しないだけでいいのですから。
しかし,それでは余りにも社会のルールを知らないと言われかねません。
ここでは,辞めたいと思っている(誰でもその可能性はあります)あなたに,それを実行する前に考えてみて欲しいことをわたしなりにまとめてみました。
退職理由
辞めたいと思っているあなたの理由は何ですか。
1.人間関係がうまくいかない
2.労働条件が劣悪である(ブラック?)
3.仕事の内容が合わない
まだまだあると思いますが,以上のことについて考えてみましょう。
人間関係がうまくいかない
人間関係といっても,上司(先輩)や同僚との関係など色々ありますね。
先輩や上司との関係
★以下の文章の上司は「先輩」と読み替えていただいても結構です。
典型なのはパワハラでしょう。
例えば,以下のような言葉を浴びせられる。
1.「なにをぐずぐすしている。もっと早くできないのか」
2.「そんなことくらいは自分で処理しろ」
3.「だから三流大卒はダメなんだ」
4.「こういうことは事前に相談しろ」
5.「今は忙しいから後にしてくれ」
6.「そんな提案は意味がない。知ったかぶりをするな」
上記のようなことを四六時中いわれ続けると気持ちがすくんでしまい,やる気も失せていきますね。
あなたは混乱してしまい,もうどのようにして上司とコンタクトを取ればよいのかわからなくなってきます。
1(なにをぐずぐすしている。もっと早くできないのか)の場合は,仕事の締め切りがあるとすれば,上司が言い忘れている時もありますから事前に確認してみましょう。
私もそれを言わなかったがために,いつまでも仕上げてこないので,「まだ出来ないの」,と言ったことがあります。
職員は締め切りを言われていないので,私の言った仕事の優先順位を下げてしまって後回しにしていました。
もちろん,あなたに非があるわけではありませんので,不服な気持ちになるのは理解できます。
しかし,そこであなたの気持ちを腐らせてはいけません。
相手にも気づかないこともあると思うくらいの余裕を持ってみましょう。
そして,仕事の締め切りなどをいわない上司には,こちらから確認しましょう。
2(そんなことくらいは自分で処理しろ)については,あなたは相談に行った時に言われてしまうことでしょう。
もちろん,あなたは自分の手に余るところがあるから相談に行ったわけですから,このように突っぱねられると辛いものがあります。
しかし,ここはぐっと我慢して,「そこまで言うならやってやろうじゃないか」,という気持ちで頑張ってみましょう。
むしろ,ここで粘れるかどうかが,これから仕事をやっていく上での境目かも知れません。
3(だから三流大卒はダメなんだ)は,三流大なんて定義は曖昧なのに,どうしようもない学歴差別ですね。
極端にいえば,大学を出ているかどうか何てどうでもいいんです。
問題は,「地頭の良さ」にあるのであって,そこを踏み違えています。
しかし,現実には,自分があなたよりいい大学を出ていると思っている上司がいますから,これを口にする上司に対してはなす術がないと言ってもいいでしょう。
何かといえばこれを言う上司は,私からすれば,それしか相手に対する優位性を示すものがないのです。
通常であれば,あなたよりも仕事が出来るから上司であるわけですが,世の中そんな単純ではないので,世渡りのうまさだけで出世する人もいますから,「勝手に言わせておけ」,と受け流すことくらいにしておいた方がいいのかも知れません。
あなたは,あくまで仕事の善し悪しで勝負する姿勢を崩してはいけません。
そんなあなたをまわりは必ず見ています。
単なる口癖なのか,本気でそう思っているのか,先輩がいるのであれば一度たずねてもいいと思います。
本気でそう思っているならば,その言葉には相手にならないことです。
そんな言葉に関わっていては,あなた本来の値打ちすら失いかねません。
4(こういうことは事前に相談しろ)の「こういうこと」の基準がはっきりしている時は,それが職場のルールかも知れませんからそれに従いましょう。
ただ,上司からすれば,まだ一人前と思っていないのに勝手に進められると困るという立場もあります。
私の経験でも,何でも自分の考えで進めようとするのはいいのですが,基本的な考え方が身についていないままにやってしまうと的外れになってしまうことがあり,注意したことがあります。
ここは慎重を期すべきところと考えて,上司にお伺いをたててみることも大事です。
5(今は忙しいから後にしてくれ)の場合の対処は簡単です。
本題を持ち出す前に「今宜しいですか」の一言を加えるのです。
私も自分が仕事に追われている時に,いきなりやってきてものを言う職員がいたので,この一言を加えて欲しい旨を伝えました。
職員にしてみれば悪気はなく,自分の課題を解決するために相談や報告に来ているのですから,それを言われると戸惑うのは当たり前です。
ただ,その一言を言ってもらえると,「あと5分待って欲しい」というような回答が出来るので,スムースにいきます。
そして5分後にその職員に声をかけて話を聞かせてもらいます。
特に新任の上司は,部下からの相談になれていませんから,いきなりやってこられると混乱してしまうのです。
私も,役職に成り立ての頃は,次から次へと職員さんが来られるので,自分の頭の切替が出来ずに苦労したことがありました。
何もそこまで配慮する必要はないと思われるでしょうが,ちょっとした一言で人間関係がスムースに行くこともあります。
6(そんな提案は意味がない。知ったかぶりをするな)は,上司があなたに脅威を感じている可能性があります。
そのような言葉を吐く上司は,実のところ自分を超えてしまわれるかも知れないと思って潜在的な恐怖感を持っています。
かといって,あなたは別に「知ったかぶり」をしていないのですから始末が悪い。
いわゆる「出る杭は打たれる」という諺にある現象ですね。
こうなれば,徹底的に出てしまい打ちようのないところまで突っぱるか,それを出さないで自分の中で暖めておき,意見を求められた時にその内容を話すくらいにしておくくらいして,上司との距離を少しあけましょう。
まあ言葉を変えれば,あなたは「生意気」なんですね。
でも,私の経験からすれば,生意気くらいでないと仕事は続かないし役に立たないのです。
そのところを上司がわかっているかどうかが分岐点のような気がします。
分からない上司には,適当にいなしてしまうくらいの姿勢を持って下さい。
以上色々と書いてきましたが,毎日上記のような言葉を浴びせ続けられると,あなたは疲弊してしまい出社するのも億劫になるのは理解できます。
職場を辞めてしまいたい気持ちは理解できますが,問題はその上司と一対一で話し合う余地があるかどうかです。
あなたが話し合う余地があると思うならば,時間外で時間を取って貰い素直に自分の気持ちを話してみましょう。
相手は「指導している」つもりであるかも知れませんから,最低限その確認だけはしておいた方がいいと思います。
ちょっとした考え方の違いや思い込みがみえてくると,相手に対処するのは楽になってきます。
くれぐれも独りよがりにならずに対処することが肝要です。
この経験は,あなたが先輩や上司になった時に必ず生きてきます。
苦労したからこそ部下の気持ちも理解できて指導してあげられるのです。
あなたは今その階段を上っている時かも知れませんので,決して投げやりになってはいけません。
同僚との関係
同僚は,「仲間」でもあり「ライバル」でもあります。
問題は,相手の意識がどちらにあるのか。
「仲間」と思ってくれているようであれば,よほどのことがない限りあなたを裏切ることはないと思います。
「ライバル」と思われている場合には注意がいるかも知れません。
相手はあなたと競争関係にあることを常に認識しているのですから,あなたもその認識をする必要があります。
ただ,あなたの方からはその意識をむき出しにない方がいい。
そんなことをすると,ことある毎にあなたの足を引っ張ってくる可能性が大きい。
人間関係を断ち切るわけにはいきませんから,適当な距離を持ってつきあうことに越したことはありません。
「いなす」という言葉はよくないかも知れませんが,そんなところに自分を置いておきましょう。
あくまで仕事で勝負するという姿勢を貫かないと,余計なファクターが入ることで仕事が手につかなくなり,かえってライバルに後れを取ってしまいます。
職場の評価は色々あるといっても,仕事が出来ないとどうしようもありません。
先ずは,それをひたすら磨き上げることがあなたの第一目標であるべきです。
その為には「自分一人でもやる」という気迫も必要でしょう。
究極的には,それがあるかないかで仕事が完遂できるか否かが決まってしまう時があります。
あれこれ悩む人は,換言すれば「雑念の多い人」でもあります。
何かに集中できていない。
集中していれば,そんなことにも気づくことはないし,どうでもいいことになってきます。
「勝手に思わせておいて」,あなたはひたすら仕事に専念しましょう。
そして,あなたは仕事が基本であるという姿勢を貫いて下さい。
次は,2(労働条件が劣悪である)について書いてみます。
労働条件が劣悪である
労働条件については,労働基準法という法律で基準が定められており,職場はそれを遵守しているはずです。
それに基づいて「就業規則」が定められ,そこに職場の労働時間などが明記されています。
また,就職時には「労働条件通知票」があなたに示されていると思います。
上記のことは,全ての職場が遵守しなければならないことですので,就業規則がなく,労働条件通知票ももらっていないとすれば,それは労働基準法に違反しています。
以上のことを踏まえて「労働条件」について検証していきます。
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残業が多い
法的に言えば,労働基準法の枠内であれば,あなたはそれに従う義務があります。
これは絶対事項です。
それが嫌なら職場を変わるしかありません。
ただ,残業時間が「無用」に長くなるのは,いかに法的な枠内であっても問題と言えます。
ここで「無用」という表現をしたのは,職場の誰もが帰らないので自分も帰りづらい,というようなことです。
あなたの仕事の都合で毎日遅くなってしまうのは,厳しいようですが,それはあなたの問題です。
そこをきちんと切り分けないと,誤った判断をしてしまいます。
自分の仕事の問題であれば,あなたは努力してそれを速く片付ける方法を探すしかありません。
それが自分のスキルを高めることでもあります。
そして,仕事が終わればさっさと帰ってしまいましょう。
まわりは,あなたが仕事をきちんとこなしている以上文句は言えないはずです。
職場の雰囲気で,みんなが帰らないから,というのは難しいところがあります。
あなたは割り切って,「お先に失礼します」,と言えるかどうか。
言えなければ,仕方が無くつきあってしまいます。
この連鎖を断ちきれるかどうかはあなた次第というしかありません。
何故ならば,係争状態になった時,職場は必ず「帰るなと強制はしていない」と言うに違いないからです。
言いづらいのであれば,しばらくつきあってみて,まわりの人が何をしているか観察してみましょう。
「雑談」しかしていないようであれば,さっさと帰っても,最初は「つき合いの悪いヤツだ」と思われるでしょうが,まわりはそれを止める理由がないわけですから,やがて何も思わなくなります。
但し,それはあなたの業務が済んでしまっていることが条件になります。
まわりの人が何らかの業務を継続していて,それがあなたに直接関係ない場合は,無用につきあう必要はありません。
要は,あなたの行動様式を相手に認知させてしまう努力をするのです。
最初は肩身が狭い思いをするかも知れませんが,やがて自分も相手も「こんなものだ」という気持ちになります。
そこまであなたがやれるかどうかです。
チームで仕事をしていて締め切りが迫っており,みんなが忙しそうにしている場合には,あなたは特段することがなくてもつきあうのが職場のルールです。
例えそれが深夜に及ぼうとも,締め切りを守ることが必定である以上仕方ありません。
それがチーム全体の責任であり,その一端をあなたも担っているのです。
チームというのはそういうものだと割り切る必要があります。
それが嫌なら職場を変わるしかありません。
しかし,言っておきますが,どの職場でも大同小異であることも事実であることをわきまえる必要があります。
関連記事:時間外手当の計算方法は?
休日出勤が多い
休日に出勤した代償として振替休日を取れるならば,それは法的に問題がないので,あなたは従わなければなりません。
万が一それがとれない場合,職場は割増賃金をあなたに支払う義務があります。
上記の2つが履行されない場合は,法律に違反していますから,然るべき部署に確認しましょう。
もし確認しづらければ,最寄りの労働基準監督署に相談に行きましょう。
あなたの考えや職場の現状をお話しして,法的な問題がないか確認します。
それで問題がないという場合は,あなたはどうするかです。
大事なことは,あなたの感情論ではなく,労働条件という法的な枠組みで考えることを基本に据えなければいけません。
問題があって法律に違反しているとすれば,あなたは職場を改善するべく努力するか職場を去るしかありません。
繰り返しますが,あくまで法律に基づくという視点を失わないで下さい。
そうしないと,下手をすれば,それは単なるあなたの我が儘と取られてしまいます。
残業や休日出勤が全くない職場もあるでしょうが,それは数少ないのではないでしょうか。
とするならば,残業時間数や休日出勤日数の多さについて,あなたがどれだけ許容できるかにかかっています。
今の職場が許容範囲を超えてしまっているとすれば,それはもう辞めるしかありませんね。
しかし,それはあくまでもあなたの仕事が済んでいるのに,まわりの雰囲気などで帰りづらい,という条件がつきます。
厳しいようですが,与えられた仕事を満足に出来ないのに,それだけを主張しても社会は受け入れてくれません。
それはどの職場でも同様です。
そのことだけはきちんと理解しておいて下さい。
最後は3(仕事の内容が合わない)についてです。
仕事の内容が合わない
あなたは入職してからどれくらいの期間が経過していますか。
下記の中から選んで下さい。
1.1ヶ月以内
2.3ヶ月以内
3.6ヶ月以内
4.1年以内
5.1年以上3年未満
6.3年以上5年未満
7.5年以上
6,7に該当される方は,それまでに職場の中で色々な仕事をされてきたでしょうから,充分自分との対話を行ってきたと推測します。
その意味では転職もやむなしかも知れません。
また,それだけの経験もありますから,あなたの経験を必要とする職場はきっとあると思います。
1~4に当てはまる人は,私にいわせれば,まだ自分の特性がつかみ切れていないのに,「合わない」と判断するのは早計ではないかと思います。
職場によっては,新入職員の入り口を決めているところがあります。
それを1年経験させてから配置転換を行う方針があるわけです。
従って,先ずは1年経験してみて,配置転換があるのかどうか,ないとすれば今の仕事に対する自分の位置づけをどうするかを考えねばなりません。
正直言って,私も自分の職務内容が合っているか否かなんて考えながら仕事をしてきたわけではありません。
そこに面白みを見つけ,ある程度楽しくやるコツを見つけてきたのです。
そのようなことは自分でやるしかありません。
誰も与えてはくれません。
もし,あなたが「与えてくれない」と思っているようであれば,まだ自立出来ていないと言われても仕方がない側面があります。
面白味や楽しさを見つけていくのも仕事をやっていく上でのノウハウです。
それはある程度のことを経験しないと出てこないかも知れません。
従って,私としてはまずそれを見つけ出す訓練をして欲しいと思います。
大学卒業まではレールが決まっていて,言われることをしていればそれですみました。
でも社会は,やることを自分で見つけることを要求される側面もあるのです。
それは,指示があろうがなかろうが基本的に持っていなければならない姿勢かも知れません。
5(1年以上3年未満)に当てはまる方は,微妙な段階におられると思います。
即ち,ご自分の考えでは,1~4の方に近いのか,6,7に近いのかを考えてみて下さい。
私自身は,迷いながら過ごした期間でした。
しかし,家庭を持っていましたから他の仕事を探す余裕もなく,また上昇気流に乗り始めていた時期なので様子を見るという気持ちもありました。
勤続期間に関係なく言えるのは,あなたが「こういう仕事をやりたい」という明確な目的を持っていて,それを職場が与えてくれない場合だけでしょう。
その場合は,あなたとのミスマッチですから,あなたがやりたい仕事を可能にしてくれる職場を足を使って探すしかありません。
その思いを遂げたないならば,日本全国,企業の大小を問わず探してみることです。
言っては悪いですが,自分の近くでないと嫌だとか,中小企業は困るなどの条件をつけるならば,あなたの目的は考え抜かれたものではない。
それは体のよいいいわけに過ぎなくなってしまいます。
人はその人の持つ「熱意」に惹かれてくるのです。
あなたが強烈なパッションを持っているならば,それを分かる職場は必ずあるはずです。
逆に言えば,そんな熱意があるならば,仕事が合うとか合わないとかを考える前に,目の前の仕事に全力で取り組んでいると思います。
ですから,本当に合わないのかどうかは,自分の力量も併せて考える必要のあることではないでしょうか。
私の経験から思うこと
私は,実家の関係から郷里に帰る必要があり,しかも第1希望の就職に失敗して,再チャレンジするつもりでした。
しかし,当時の私にとってそのハードルは高く,合格するにはかなりの時間を要することでした。
また,つきあっている彼女がいて,彼女は大学で知り合ったのですが,自分の郷里に戻ることをせず,私についてきてくれていました。
そんな彼女を何年も待たせるわけにはいかず,約2年頑張った後転職する決意をしました。
それも,大学で学んだことを生かせるとはいえ,今までとは全く違う職種でした。
先ず考えたことは,彼女のために転職するのではなく,「新たな挑戦をする」ということでした。
彼女のために諦めるなどということは,彼女に失礼であって,言い訳になりません。
私は,そんな気持ちで転職することは絶対したくなかった。
そして,いったん決断した以上,どんなことがあっても絶対に「後ろはふり返らない」と考えました。
「後ろ髪を引かれる」という言葉がありますが,それは自分の中に未練があることを示していると思います。
確かに,未練がないわけではありませんが,そこに思いをとどめると,新たなことに対する努力が怠りがちになる。
後年,私は人事を担当するようになり,多くの方を面接してきましたが,全く畑違いの職場にやってきた人で成功するのは,この「後ろはふり返らない」という姿勢であったと思います。
入職したばかりの頃は,周辺の様子も仕事も訳がわかりませんから,相当な緊張を強いられます。
自分の経験に照らしても,最初は戸惑いと耐えることの連続でした。
そして,何ヶ月が過ぎると職場での人間関係が徐々に出来てきます。
人それぞれですが,この人間関係が出来てくるまで我慢できるかどうか。
その関係は仕事の出来る人との関係か。
ここが,もう一つのポイントではないでしょうか。
やはり,自分を向上させてくれる人と知り合いになった方がいい。
どの職場でも色々な人がいますが,やはり仕事の出来る人との関係を作る方が職務のマスターも早いし,自分も楽になる。
職場での評価は,職務をいかにこなせるどうかか基準になると思いますので,これに全力を注ぐ努力が必要になります。
職務能力が向上するに従って,人との輪も広がっていくように思います。
ここまで自分を持ちこたえてくると,最初の不安は少し和らいでくると思います。
そして,段々と前の職場のこともふり返ることもなくなってくるのではないでしょうか。
もう一つは,あなたの転職は,ステップアップなのかステップダウンなのかもしくは現状維持なのかということです。
何を言いたいかというと,あなたの転職の「目的」はどこにあるのか。
生活のためであることは当然ですが,人間である以上それだけでは長く続かない。
明確なものでなくてもいいからその目的を考えることも大切と思います。
私は,自分の学んだ学問を生かして,少しでも人に貢献できれば,という思いで転職しました。
結局,ものにはならず,職場内で別の職種に「転職」しましたが,私にはそちらの方があっていたようで,退職するまでその職種を全うしました。
「目的意識」がはっきりしている人は,努力を惜しみませんし,少々のことではへこたれることはありません。
この差が,転職してきても直ぐに辞めていく人とそうでない人との違いだと思います。
面接の際に履歴書を拝見しますが,それはその人の人生を物語っています。
私は,転職を繰り返してきた人を一様にネガティブな眼で見ることはしませんでしたが,その理由が私を納得させるものであるかどうかは評価しました。
誰にでも説明が出来るようであれば,その履歴を畏れる必要はありません。
そこにはあなたの明確な目的があったのですから。
まとめますと,転職の成否は以下のようなことではないかと思います。
1.新たな挑戦であるという自覚があるか
2.後ろをふり返らないという決断があるか
3.転職の目的が明確か
4.職場での人間関係が築けるまで耐えることができるか(もしくはその気持ちがあるか)
以上のことがはっきりするまでは動かない方がいいのではないかと思います。
そして,はっきりしたら勇気を持って前に進みましょう。
今の職場も,あなたのことを理解してくれると私は信じます。
最後に
上記の内容は,悩んでおられるあなたにとって厳しい内容だったかも知れません。
しかし,長年職員を受け入れ,仕事をやってきた者としては,無用に同情することの方があなたに対する敬意がないと考えています。
社会にはルールがあり,それを無視しては生きてはいけません。
それは職場とて同じことです。
ただそのルールが法律違反なのかどうかが出発点であって,あなたの感情だけを最優先してしまうと見方を誤ることも知って欲しかったのです。
くどいようですが,「甘え」とも取られかねません。
それ程つまらないことはない。
辞めることはいつでも出来ます。
しかし,その前に静かに自分胸に手を当てて考えて欲しいこともあります。
その上で,「辞める」という決断を下しても遅くはありません。
私の娘も,最初はあれこれ言っていましたが,
「辞めるのはかまわないが然るべきところにきちんと筋を通してこい」
「そして,辞めた翌日から親の世話にならない覚悟でそれを決断しろ」
と,言いました。
というのは,私にはこの娘に対する密かな負い目がありました。
それは,娘が大学に入学した年の秋に突然電話してきて,お父さんは私を愛していない,と電話口で喚きだしたのです。
私は,そんなことはない,と一旦否定したのですが,娘が幼い頃は仕事が大変忙しく,あまりかまってやれていませんでした。
娘はそれを覚えていて,同級生に話したのでしょう。
その同級生は,家族に愛されていない,というようなことを言ったに違いありません。
心が揺れていた娘は,わたしにそれをぶつけに来たのです。
私はそのあと,メールのやりとりで謝る言葉を並べたがために,娘の思慮の浅さを是正してやることが出来ませんでした。
家内にきくと,どうやら大学生活は,半ば引きこもり勝ちになっていたようです。
そして,家に帰ってくれたのはいいのですが,就職もおぼつかず数年間引きこもってしまいました。
その間も私とは一切口を聞かず,家内と話すだけでした。
近隣の方の紹介で仕事に就いたのはいいのですが,最初は上述のようにあれこれ不平不満を私に言ってくるようになりました。
始めは黙って聞いていたのですが,これではいつまで経っても娘の考えが変わらないと思い,上のような言葉を吐いたのです。
幸い,その後も色々なことはあるようで,家内には言っているかも知れませんが,あまり愚痴を言わなくなりました。
仕事も休むことなく行っています。
最近は,私と家内に,欲しいものを買ってやるから希望を言え,とまで言ってくれるようになりました(他の二人は一度も言ってくれません)。
ちょっとは強くなったのかと思っています。
私としては,親である前に一社会人として娘に話をし,その上で決断することは受け入れる覚悟はしていました。
ただし,その後面倒みてくれ等と言う甘いことは最初に否定しました。
そうでないと,「甘え」を認めてしまえば,なし崩しに生きてしまうことを怖れたのです。
以前紹介した2ヵ月で辞めた青年は,親がそれを認めたようですが,私であれば決して認めなかったと思います。
世間を何も知らなくて,仕事も満足に出来やしない若造の言い分を認めてしまうことは,断じて本人のためではないかと思うからです。
せめて,死にものぐるいで最低1年勤めてからであれば,まだ言い分を聞く余地もあります。
長い人生を躓かせるのもしないのも親だと思いますし,それ以上に本人が如何に生きていくのかを考えねばならないと思います。
「辞める」以上,あなたには独りよがりでない誰にでも通用する「理由」が必要です。
私は,その「理由」があってこそ,堂々と次の職場を探せると思うのですがいかがでしょうか。
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