「パン屋」は,「お菓子屋」よりも「国や郷土を愛する態度」が少ないのか (道徳教科書検定)

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小学校1年生向けの道徳教科書に載る題材「にちようびのさんぽみち」にパン屋が出てくる(東京書籍)。
文部科学省は,「学習指導要領に示す内容(伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度を学ぶ)に照らし扱いが不適切」という検定意見をつけた。
指摘を受けた東京書籍は「パン屋」を伝統的な和菓子を扱う「お菓子屋」に変更し,検定をパスした。

確かに,日本にパンが導入された歴史は,和菓子よりも浅いかも知れない。かといって,それが「国や郷土を愛する態度」が少ないことにはならないだろう。
学校給食には,米食も導入されているとはいえ,パンが導入されて久しい(私の小学生時代はコッペパンと脱脂粉乳が定番だった)。
パン屋さんにしてみれば,商売とはいえ,今まで学校給食に随分協力してきたのに,ある種の「いちゃもん」のような形で言われるのは承伏できないと思う。

お菓子屋さんには愛国心があって,パン屋さんにはそれがないといえるのか。
どちらも作っているのは日本人であって,その種類が異なるだけである。
教科書会社も営利産業であるから,検定を通さないと商売にならないのは理解できるが,もう少し配慮が必要だったのではないか。
これは,そもそも比較しようのないものに対して検定意見をつけた愚行のような気がする。

安倍政権は,どんなことでも「愛国」を尺度としているように思う。
それ自体に誤りがあるとは思わないが,行き過ぎると「国粋主義」に陥ってしまうのではないのか(もうなっているか)。
「教育勅語」も既に法的効力を失っているにも関わらず,政府は,道徳の活用を容認している。森友学園は,幼稚園児に教育勅語を暗唱させ,軍歌まで歌わせていた。
昭恵夫人を始めとして自民党議員や保守系論客の数名は,それを「素晴らしいこと」と絶賛していた。

何故,急にこの様な意見が表立ってきたのだろうか。
そして,この流れはそのまま進んでもいいのだろうか。

(参考)
(1)東京新聞:教育勅語 道徳に活用,重ねて容認 菅氏「否定せず」 野党は反発
(2)産経新聞:「パン屋→和菓子屋」などと文科省が書き換え指示? 誤解が広がった理由とは

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