日本では,最初に就職したところに生涯勤めるのが当たり前でしたが,昨今は,生涯雇用も崩れていますので,転職することも当然の風潮になりつつあります。
面接の際,履歴書を拝見するのですが,転職の回数が多い方がおられます。
職歴が長くなれば,当然転職の機会もあるわけですから,私は,回数が多いことには余りこだわりはありません。
気になるのは,各職場における「在職期間」です。
例えば,転職回数が合計6回あったとします。
そのうち1回や2回はいいのですが,それが頻々とあるような場合は,職場への親和性や定着性に問題があるのではないかと考えてしまいます。
勿論,入職した職場にも何か問題があったことは推測できます。
そして,転職するに足る明確な理由があるか。
面接の場ですから,余りに露骨なことは言えないとは思いますが,可能な限り正直にお話いただいた方が好感が持てます。
そして,入職して頂いた後も,こちらが注意しておかなくてはならないことが見えてきます。
誠に申し訳ありませんが,いくら美辞麗句で飾り立てても,入職されてからは,素の自分が出てきますので,却って不信感を持たれる場合があります。
受け入れ側は,出来るだけあなたという人物をよく知っておきたいのです。
「職場の人間関係がうまくいかなくなった」という理由でもいいのです。
何故うまくいかなくなかったかを明瞭に説明して頂ければ,こちらの対応も可能になります。
ただ一つこれだけはやめた方がよいと思うのは,「職場の悪口」です。
中には,転職理由をたずねると,延々と職場の悪口をまくし立てる方がおられます。
そんな時,面接官は,「あなたの側にも問題はなかったのか」と思ってしまいます。
全ての原因は相手方だけではないはずです。
私自身は,転職回数を余り問題視していませんでしたが,中には問題視される職場もあるかも知れません。
ですので,その理由を大抵の方が聞いても納得できるか否かが採否の分かれ目のような気がします。
過ぎたことに屁理屈をこねても始まりませんから,失敗を素直に認め,今後に生かしていく考えを表明することの方が余程期待が持てます。
要は,転職の目的が大切であって,その回数の多さではありません。
キャリアアップ志向の強い方ほど,その職場で身につけることがなくなれば,新たな職場で別のことを身につけたい欲求も出てくるでしょう。
その意味では。技術職の方にとって転職は避けて通れない道ともいえます。
誇りを持って歩いてこられたならば,転職の回数など取るに足らないことです。
現場で勝負できるのは己の技術だけなのですから。