現在の日本は少子化が止まりません。
政府も対策をしているようですが,効果があるとはいえない状況でしょう。
景気がよくなったという見解もあるようですが,若い人たちには実感できないのではないでしょうか。
そんな状況下において,「産めよ増やせよ」と言われても出来るわけがありませんね。
社会システムの構築なくして,それを強制されても出来るわけがありません。
私は,日本の人口減少はもはや自然なものであって,これを何とかするのは不可能ではないかと思っています。
仕事にしても,大企業が外国に工場を建設していき,国内の雇用は失われていきます。
そもそも働ける場を奪っておきながら,子供だけ増やせと言われても,生まれてくる子供の人生は悲惨なものになりかねません。
とするならば,若い人は結婚して子供を産むのかを考えてみることも大切ではないかと思います。
当然,ご両親は反対されるかも知れません。
でも,ご両親が生きてきた時代とあなた方の時代は違います。
経済的に言えば,右肩上がりで終身雇用も保障されていた時代と,グローバル化のかけ声で,企業が色々なところに進出するのはいいのですが,反面,国内が疲弊していく時代とでは,生き方も考え方も変えなければならないのではないでしょうか。
自分たちが生きていくことすらやっとの中では,子供を産むことはある意味大変なリスクを背負うことになります。
リスクという言い方は語弊があるかも知れませんが,子供を育てるための経済力をどう確保するのか。
その見通しが立たないまま子供を産んでも,まわりは喜ぶでしょうが,育てていく当人たちにとっては大変なことなのです。
私には3人の娘がいますが,住んでいるところが田舎なので,大学は下宿する以外にありませんでした。
家内は,毎月どれくらいの金額を仕送りしていたのかはっきりとは知りませんが,確か10万円だったと思います。
3人とも私学でしたので,授業料も結構かかります。
試算してみますと,10万円×48ヶ月(4年)+100万円(年)×4=980万円となり,およそ1,000万円かかっています。
これが3人ですから,3,000万円の投資をしたことになります。
よくもまあこんなお金があったと思いますが,時代も上り調子でよかったことと,二人とも共働きでやってきたから可能になったのでしょう。
子供を産んだ場合,成人して働くまでどれくらいのお金が必要になるかを考え,自分たちの生活維持+αの余裕があるかどうかを計算してみると,それほど明るい結果は出ないかも知れません。
ともすれば子供を産んだがために共倒れになってしまう可能性もあります。
上記の計算は簡単なことですから,誰でも想定できるが故に,若い人たちは結婚や恋愛に消極的なのでしょうか。
子供も育てられない人生だったら,そんなことは意味のないことだと思っているのでしょうか。
だったら,一旦子供を産むことを棚上げにしたらどうかと思います。
二人でそのための努力をしてみて,いよいよ駄目だと考えた時点で残念すればどうでしょうか。
そして,二人の幸せな人生に気持ちを集中させるのです。
そうすることによって,人生を諦めたのではなく,新たな選択をしたとは考えられないでしょうか。
言い方は悪いかも知れませんが,日本や親のことはどうでもいいんです。
問題はあなたの人生です。
それを精一杯考えた末の結果であれば,子供を産まない選択もあり得ると思います。
欧州の人口動態をみてみると,増えてはいるのですが意外と少ない。
日本(377,972㎢)と国土があまり変わらないドイツ(357,121㎢)で8,200万人,日本より大きいフランス(551,500㎢)で6,400万人です。
これは一体何を意味しているのでしょうか。
独断と偏見で言わせていただければ,上述しているような選択が働いているのではないでしょうか。
詳しく調べないとわかりませんが,独身のまま人生を終える人や夫婦二人というのが案外多いような気がします。
また,多様な人生を許容する社会が出来上がっているのかも知れません。
日本もその様な時代に入っていいのではないでしょうか。
それが自然なのではないかと思えます。
ですから,若い人たちも,子供を産まないこともありだ,と考えていけば,また違った人生を考えることが出来るのではないしょうか。
かといって,刹那的な人生を送ることはお勧めしませんが,二人で送れる愉しい人生もあると思います。
要は,まわりの価値観に合わせるのではなく,人生に対する二人の指針の問題であると思います。