職場の健康診断などで「血圧が高め」と医師に言われたり,体のむくみやだるさを感じることはありませんか。
そんな方は,ひょっとしたら体内の「カリウム」が不足しているかも知れません。
スーパーに行くと加工食品が溢れています。
加工食品は多忙な方には便利でいいのですが,それはナトリウムの過剰摂取に繋がる可能性があります。
「減塩」が叫ばれて久しいのですが,ナトリウムと対になって働く「カリウム」のことは余り語られることはないと思います。
私が「カリウム」の存在を知ったのは,家内の父が肺がんにかかった時で,父は一切の医療を拒んだので,何とかする方法がないかと色んな本を読み漁っていて,「ガン患者は総じてカリウムが不足している」という記述を読んだ時でした。
「カリウム」はミネラルの一種です。
塩分に多く含まれるナトリウムと深い関係にあり,どちらも体内に多く存在していますが,ナトリウムは細胞外液,「カリウム」は細胞内液に多く存在し,「カリウム」とナトリウムは2:1の割合で保たれ,必要以上の「カリウム」は腎臓や副腎の働きで汗や尿として排出されます。
しかし,塩分の過剰摂取でナトリウムの濃度が高くなったり,「カリウム」不足に陥ると,体はナトリウムの濃度を下げるため水分を溜めこみ,その結果むくみが生じます。
私は密かに,ダイエットで痩せるのはこのアンバランスが改善され,体内から水分が排出されやすくなるためではないかと考えています。
「カリウム」には,主に以下のような効果があります。
1.むくみを解消する
2.高血圧を予防・改善する
3.利尿作用がある
1のむくみは前述の通りです。
2の高血圧ですが,血管内のナトリウム濃度が高くなると,体はナトリウムの濃度を下げるために水をとりいれ,血液の量が増大します。
その結果,血管の壁にかかる圧力が増え,血圧が高くなります。
「カリウム」を適切に摂取することによって,高血圧を予防してくれます。
むくみがとれてくるのは,3の利尿作用によるもので,同時にナトリウムも排出してくれます。
即ち,1から3は,全て関連しており,体内から水分を排出しやすくする(利尿作用)→1むくみがとれる→2高血圧の予防になるという関係です。
ナトリウムの過剰摂取の原因として加工食品を挙げましたが,我が家にあったものを例に挙げてみます。
1.冷凍チャーハン
袋の裏側を見ますと,一袋当たり食塩相当量が4.3gとなっています。
2.インスタントラーメン
これは,麺と粉末スープに食塩が含まれており,1食(1袋)当たり4.8g相当とあります。
この2つを一緒に食した場合,9.2gの食塩相当量を摂取したことになります。
厚労省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会報告書」によると,食塩の摂取は,男性8.0g,女性7.0gが目標となっています(健康な成人の場合)。
既に1日の目標値を超えています。
わずか1食だけでこうですから,このような食事形態を毎日続けているとナトリウム過剰になる理屈がお分かりになると思います。
外食の場合はここまでいっていないにしても,これに近いと考えていいのではないでしょうか(その場で調理されるものについては表示義務がない)。
尚,ナトリウムの摂取は食塩だけでなく,ハム,ソーセージ等に食品添加物として使われる亜硝酸ナトリウムやドリンク類に含まれている安息香酸ナトリウム,調味料のLーグルタミン酸ナトリウムからもナトリウムを摂取していることに注意が必要です。
次に,これに対抗するために,私が毎日食べている「カリウム」を含む食品を列挙してみます。
1.豆乳 200ml(コップ1杯):390mg
2.バナナ 100g(約1本):360mg
3.納豆 50g(1パック):330mg
4.高野豆腐 (2個):394mg
5.野菜ジュース 200ml(コップ1杯):380mg
これを合計すると,1,854mgとなりますが,上述の報告書によると,男性は3,000mg,女性は2,600mgが目標値となっており,まだ不足しています(ちなみに上限値はありません)。
私は,加工食品は殆ど食べませんので,塩分過多になることはないと思っていますが,上記に加えて,サプリメントで約1,200mg摂っているので,ほぼ目標に達しています。
私は,朝食の際に豆乳(成分無調整に限る)コップ1杯とバナナ1本を,夕食には納豆1パック,就寝前に野菜ジュースをコップ1杯飲むことをお勧めします(どれも調理する必要がないので多忙な方でも可能だと思う)。
コストは,細かな計算は省略しますが,近くのスーパーでの実勢価格から計算すると,4を除いた合計は約151円です。
仕事で遅くなって外食された場合は,就寝前に野菜ジュースを多めに飲むとかの調整をされるといいのではないでしょうか。
大切なことは,自分の食事が何をどれだけ摂取しているかを意識することだと思います(加工食品の場合必ず袋の裏側を見る)。
その意識さえあれば,何を避け,何を積極的に摂取すべきかが見えてきます。
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(参考)
厚労省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書