病院に勤務する職員は,医師と薬が身近にあるのが特徴です。
これは,高血圧などの持病を抱えている職員にとっては,とても利便性の高い職場でいいのですが,日頃から薬と無縁で過ごしていた職員も,頭痛などで医師に薬を簡単に処方してもらえることに気がつくと行動様式に変化が生じてきます。
受付に連絡して,当日の外来医のところへ自分のカルテを出しておいてもらって仕事をします。
順番が回ってくると,医師から連絡があり,症状を尋ねられますので回答しますと,診察なしに薬をもらうことが可能になります。
本当は,きっちり診察した上で処方しないと,診療報酬の請求は不可能ですが,院内の患者(職員)は例外です。
又,職員の親族の薬も,本人が来院もせず,且つ,診察を受けることもなく薬をもらえます(慢性疾患で,服薬している薬が決まっている場合)。
病院側としては,通常の外来患者さんとして扱えるので,目をつぶっているのが実情でしょう。
医師が,自分の親族の薬を処方して持ち帰るケースもあります(勿論診察などはしていません)。
しかし,ここでよく考えておかねばならないのは,当人にとってその薬は本当に必要だったのか,ということではないでしょうか。
私自身の反省を込めて白状すれば,「必ずしも必要なものではなかった」といえます。
現役時代は,自分は偏頭痛の持病があると思い込み,常時頭痛薬を携帯していました。
今振り返ってみると,それはストレスからくるものではなかったかと思っています。
職場を退いてからは,一切薬は服用していません。
前述のように,病院側としては一人でも外来患者さんが増えると収入が上がりますので,現場からのクレームがない限り放置しているのが実情ではないでしょうか。
それが慢性疾患であれば,完全な固定客の一人としてカウントできます。
極端な話かも知れませんが,この利便性が職員の薬物中毒の温床になっているような気がしています。
必要でないものを必要としてしまう自分の行動様式の変化を見直してみたいものです。