非常勤職員の方の時間給は一体どの様に決められているのでしょうか。
結論からいうと,何の根拠も必要ありません。
都道府県で決まっている最低賃金以上だったらいくらでもいいんです。
例えば,ある県の最低賃金が 698 円だとすると,698 円でいいわけです。
しかし,現実的には,そんな安い金額では誰も来てくれませんね。
そこで,妥当な金額を求める作業が始まります。
先ず,近隣の同種の事業所における実態を調べます。
同額でもいいのですが,それでは訴求力がありませんから,少しは高くしたいと考えます。
看護師さんを例に挙げてみます。
考慮すべき点
初任給をどうするのか
これは,未経験者(新卒)の場合の時間給のことで,先ずこれを決めないと次に進めません。
参考になるのは,常勤職員の初任給で,これを1ヵ月の所定労働時間で割ると時間給が出ます。
しかし,これは単に常勤職員の時間給を算出したに過ぎません。
つまり,常勤職員と同じ待遇であっていいのか。
Yes ならば作業はこれで終了です。
No とすれば,常勤職員よりは少し低い金額を考えます。
※常勤職員の時間給×X
のXをどうするか。0.9 なのか 0.8 なのか。
この時,参考になるのが近隣の実態です。
0.8 を乗じても,近隣よりは高ければ作業は終わります。
実務経験を評価するのか
実務経験のある方が応募された場合,何年間の実務を評価するのか。
例えば,15 年の経験がある場合,15 年全てを評価するのかということです。
ここでも,経験のある常勤職員を採用する時のルールが参考になります。
常勤職員の評価を 10 年で頭打ちにしている場合,それを使用します。
1年当たりの金額は,常勤職員と同様にするかどうかも決定します。
昇給はどうするのか
常勤職員には昇給がありますが,非常勤職員の場合は固定給か毎年昇給させることを考えるか。
固定給とした場合,未経験のまま採用されてしまうと,何年経験を積んでも初任給のままでは理不尽すぎます。
そこで,1年間の勤務実績に応じて昇給させることを考えます。すると,経験者にも昇給させる必要が生じます。
一人一人の方を評価する手順は以上になりますが,近隣とのバランスを見て,一律に決める場合もあります。
即ち,例えば,応募される方が全て 10 年の経験があるとみなし,未経験者も, 10 年以下の人も, 10 年以上の人も同一給与とする方法です。
この場合,10 年以上経験者は割を食う格好になりますが,近隣より高ければ法人はそこで妥協します。
結論
(1)時間給決定方法に根拠は不要である。
(2)最低賃金以下では違法となる。
(3)近隣とのバランスで決定される要素が強い。
こう書けば身も蓋もありませんが,法律で縛られているのは最低賃金だけですから,そこさえクリアすればどう決めてもいいわけです。
就職される際,上記のことを参考にして頂いて,最低「昇給はあるか」ということだけは確認しておかれた方がよいと思います。