私達の業界では結構有名な方の「お別れ会」に参加してきました。
場所は,そこそこ格式のあるホテル。会そのものは,故人を祭り上げるだけで,なんてことはなかったのですが,案内状に,
「平服でお越しください」
とありました。
ドレスコードは,「平服」となります。じゃぁ「平服」をどう定義すればよいか。ちょっとググってみると,平服=略礼服と解説しているのが多くありましたが,果たしてそうでしょうか。それだと,冠婚葬祭と何ら変わりませんね。何故,わざわざ「平服」とことわってあるのか。私もこんな案内状を頂いたのは初めてだったので,興味津々で出かけました。
出席者は,業界のお歴々ですから,どんな服装か観察してみますと,やはりフォーマルウェアを着用されていた方が何名かおられました。その他の方々は,思い思いのスーツ姿でした。さすがにカジュアルな服装の方はおられませんでしたが,目立ったのが,「明るめの色」のスーツを着用されていた方。
このあたりが,「平服」をどう解釈したかが出ています。その方にとっての「平服」には間違いないのですが,「お別れ会」という場に相応しい「平服」なのか。
ここは,黒以外のダークスーツが基本でしょう。シャツは,皆さん白でしたね。タイは,ストライプは余り見かけませんでした。
面白かったのが,「靴」。ストレートチップの紐靴を履いている方は殆どいません。私が見つけた限りでは1名だけでした。上衣は凄くいいものを着用されているのに,足元には気をはらわれていない。
先日,これも業界で有名な方の葬儀・告別式に参列したのですが,参列された女性の方々は,足元まできまっています。男性は,黒のフォーマルですが,足元はばらばら。
そして,スーツの釦を留めている人も少ない。自分が釦を留めているとよく分かるのですが,留めないでいると何処か崩れた感じがしてしまうのですね。
ロビーには,外国人のお客様もおられましたが,彼等にはどう映ったのでしょうか。帰る時,エレベータに乗ったのですが,外国の女性がおられ,私が乗る時に,その姿を一瞥されました。その目線の動きから,私は間違いのない服装をしていたと思いました。彼女の目線は,さっと上から下へ動いたからです。その目があった時,表情は,「まぁ,合格ね」と物語っていました。
幼少の頃から,「場に相応しい服装」を学んできた人にとっては,日本人の姿は,おかしく映るのではないでしょうか。
因みに,私の服装は,ゼニアの鉄紺のスーツに,濃紺のピンドットのタイ,ストレートチップの紐靴です。シャツは勿論白です。
ここで学んだことは,どんなオフィシャルな場でも通用する服装を必ずひとつは持っていることです。それさえあれば,悩むこともなく,ましてや気後れすることもありません。却って堂々と振る舞え,周りを観察する余裕さえ出来てきます。
特に若い人は,流行のスーツに手を出す前に,オフィシャルな場に相応しい服装を揃えることが肝要と思えます。
そして,それを機会あるごとに身につけることによって,「着なれてきて」,「着こなし」の方法も分かると思うのです。