このタイトルを読まれた方はどの様に考えられたでしょうか。
イメージ戦略
インターネットの発達によって,WEB サイトを持たない病院や施設はないに等しいと言ってもいいのではないでしょうか。
サイトを訪れてみると,綺麗な建物やにこやかなスタッフの顔が溢れています。
キャッチフレーズもなるほどと思わせるものもあります。
掲載されている入院・入所案内のパンフレットも綺麗に纏められています。
私が在籍していた法人も,病院の移転を機にプロに依頼して作成してもらいました。
どこの WEB サイトを見ても,「それを見る限りでは」素晴らしいと思わせます。
勿論,イメージ戦略なのですから当然です。
しかし,それがどこまで集客効果があるかは何ともいえないのではないか。
確かに若い患者さんの中には,WEB サイトを見てきましたという方がおられますが,それほど多い訳ではありません。
ともすれば,全くといっていいほど更新されていないサイトもあります。
トップの自己満足に過ぎないのではないかとさえ思います。
職員にその熱意がないために放りっぱなしになってしまう。
これでは,高いお金を払って折角作ってもらっても,絵に描いた餅です。
完全に失敗ですね。
看護基準も施設基準も変わっていくでしょうから,常に最新のものにする必要があります。
口コミ
これは,昔からよく言われることで,患者さんが推薦してくれることによってもたらされる効果です。
ところが,経営陣が若いと,勢い上述のイメージ戦略に頼るようになっていきます。
本来あるべき,よい医療を行うとか素晴らしい介護を行うとかに余り眼が行かない。
そんな時間のかかる地味なことに頼るよりも,短期決戦を望んでしまう。
しかし,私は実績を評価して頂くという意味においては,これほど強いものはないと思います。
病院は目の前の患者さんを必死に治すことによって評判を得,医療従事者も喜びを見いだしてきたはずです。
施設は,入所された方には,可能な限り快適で長生きして頂く介護を,通所の方には在宅生活が続けられるような介護を目指してきたはずです。
この口コミはあらゆる商売に通じる王道です。
時間はかかるかも知れないが,これを放棄しては私達の本来の姿を見失うように思えるのです。
自分の家族を入院(入所)させられるか
そんなことは当たり前じゃないかと思われるかも知れませんが,果たしてそうでしょうか。
医師を始めとした医療スタッフと共に働いている訳ですから,悪いようにする訳はないのは理解できます。
でも,それはあくまでよい医療,よい介護を行っているという前提があってのことではないでしょうか。
言葉遣いも荒く,仕事にも丁寧さがないような自分の職場に,あなたは家族を入院・入所させますか。
きっと No という答えが出ると思います。
とするならば,自分の家族を安心して入院・入所させられる病院,施設作りが本来目指すべきところであるべきだと思います。
何故なら,誰でも家族は何よりもかけがえのない存在だと思っており,その家族にならば手を尽くすことは厭わないでしょう。
私がうれしい経験をしたのは,新規高卒者で施設希望の方を面接した時でした。
志望動機をたずねると,
昔おばあちゃんが入所したことがあって,すごく丁寧に介護していただいているのを見て,自分もここで働きたくなったから
というものでした。
患者さんや入所さんにもその様な姿勢で接していけば病院や施設は素晴らしいものになると思うのは理想論に過ぎないのでしょうか。