今回は,明治安田生活福祉研究所が行った調査に基づいて,男女の恋愛・結婚について自分の若い頃と比較しながら論じてみたいと思います。
以下の図は,全て同研究所のレポートに掲載されているものを使用させていただきました。
この調査は,2016年3月に,全国の20歳~49歳の男女3,595人を対象に,「恋愛と結婚」をテーマとして行われたものです。
先ず,対象者の実態を示しているのが下図で,2013年との比較をしています。
20代に焦点を当ててみますと,2013年に比べて,
1.恋人がいる
2.交際経験あり
3.結婚したい
4.自分は社交的なタイプだ
5.休日は家にいるより出かける方が好き
6.恋愛に関しては積極的に行動する方だ
という項目が下がっており,1~5については全て10%以上低下しています。
恋人については,下図を見てみますと,20代の男性では77.7%がいないと回答しています。
これを,年次推移で見たものが下図で,同じく20代の男性では2008年度に比べてほぼ半減しています。
これは一体何を示すのでしょうか。
私の20代の頃はどれくらいだったかわかりませんが,大学生時代でも学年が上がってくると,まわりの殆どは彼女がいたと思います。
1年生や2年生の時は,同級生の女子はみんな先輩に憧れて,同級生にはあまりふり向いてくれませんでした。
従って,告白しても振られるのが定番で,うまくいったら儲けものと思われていました。
そのうち,学年が上がると,後輩の女子は先輩の我々に多少の憧れを持ってくれますから,成功率は高くなり,彼女が出来る構図が出来上がっていました。
ただ,そのまま交際を続けて結婚に至ったのは,まわりでは私を含めて3,4名に過ぎません。
ですから,学生時代は,「恋愛」そのものが目的で,人生を共に過ごすというところまで成熟していません。
学生だからそれでいいと思っていました。
では,恋愛経験はどうかいうと,下図を見ればわかるように,20代男性の53.3%がその経験がないと答えています。
サンプル数がたかだか300名なので何とも言えませんが,それほどもてない人が多いのでしょうか。
どうにも信じられません。
冒頭の図ではインドア派が増えているようですが,それにしてもそれが原因とは思えない。
私は男なので,男の立場から言及しますと,男性が「臆病になっている」と思えます。
いわゆる「草食系」が増えているのかどうか知りませんが,再三他の記事にも書いていますように,「キズつくこと」を怖れているように感じます。
それならば,バーチャルなゲームをやっていた方がましだと考えているとしたら,余りにも寂しい人生であるといわざるを得ません。
交際を経験することによって,お互いの考えがわかり,それに折り合いをつけながら生きていくことを考え始めるのではないか。
「成功の保証」がなければ積極的に踏み出していけない姿が垣間見えるような気がします。
では,独身でいる理由は何かというと,下図に示されています。
様々な理由が挙げられていますが,要するに「結婚したいと思う相手」はいないし,「養うほどの収入」もない。
また,独身の方が,「精神的に自由」で「時間的に自由」がきき,「経済的に自由」でいられる。
確かに,恋人がいると,お互いの自由は制限されますし,経済的にも厳しくなることがあります。
けれども,同じ時間をともに過ごすということが男女の基本であり,貧しければお互いに出せあえば何とかなるものです。
少なくとも私の若いころはそうでした。
貧しいことは何ら問題とならず,その様なことは二人で何とかするのが当たり前でした。
また,何とかすることも楽しかったものです。
結婚条件として,女性は冒頭の図では年収400万円以上が最低希望になっており,男性でそれを満たせるのは37.0%しかいません。
私が女房と結婚した時は,到底その金額には追いつきませんでした。
もし,それを適用するとしたら,私が結婚できたのは30歳を超えていなければならなくなります。
結婚というのは,そういう価値観が先にあるのではなくて,お互いに努力でそれを成し遂げていくことに価値があったように思います。
若い二人であれば,どこで暮らしても苦にならないのが普通ではないでしょうか。
二人で人生を送ることが倖せであって,あれもこれもなくてはならいという条件が多いように思います。
私が結婚した時は,金がないのは当たり前であり,当然共働きで,私は先に退職してしまったが,女房はまだ働いています。
女房は子供を三人産んで育ててくれ,産休・育休を取りはしましたが,ずっと正職員です。
女房が育休をとっている間は,私の収入しかないので経済的には苦しかったですが,お互い我慢しながら何とかしのいできました。
それが当たり前のことであり,何ら苦痛を感じませんでした。
今の若者が,そのような苦労を一切忌避しようという傾向があるとしたら,厳しいようですが,精神的に自由で,時間に余裕があり,経済的に自由であっても,年齢を重ねるととても寂しい人生だと思うのではないでしょうか。
むしろ,このような時代だからこそ,お互いに手を携えて生きることが最大の防衛になると考えます。
私は,今の時代にあっては,必ずしも子供を産んで育てなければならないとは思っていません。
冷静に考えれば,子供に対する投資は多大になっており,よほどのことがない限りその効果は薄いと考えています。
しかし,二人で人生を送ることすら消極的になってしまってはならないでしょう。
日本の少子化は止まらず,人口の減少は必然となってしまっているのは仕方がないが,せめて二人で人生を送ることの価値を再考して欲しいと思います。
次は,株式会社リクルートマーケティングパートナーズが運営するリクルートブライダル総研の調査結果(2014年)から見えてくるものを記してみたいと思います。
これも20代男性を中心に考えていきます。
先ず,サンプル数ですが,下図のようになっています。
現在「恋人がいるか」という問いには,41.6%がいない(付き合ったことがない)と回答しています。
下図では,現在いなくても,「付き合ったことがある」のと「付き合ったことがない」を分けており,「いない」というのは実質上「未経験」ということになり,20代の年齢分布が不明なので何とも言えませんが,現在29歳の人であれば,ほぼ10年間何もなかったことを示します。
では,現在「いない」人は恋人が欲しくないのでしょうか。その結果が下図になります。
これをみますと,男女とも60%以上が「欲しい」と答えています。
付き合ったことはないけれども,恋人が欲しいと思うのは,若い男性であれば当然で,私も大学に入ると彼女が欲しくてたまらなかった記憶があります。
それにもかかわらず,「できない(いない)」理由はどこにあるのでしょうか。
その理由を示したのが上図で,一番の理由が「出会いがないから」となっています。
私にはこの回答が理解できません。
「出会い」というのは自然に発生するのではなく,こちらから行動を起こさない限り生じることはないと思うのですが,男女とも相手からの行動を持っている状況をいうのでしょうか。
また,「好きな人がいない」,「作ろうとは思わない」,「理由はない」,「その他」を除くと,いない理由は全て主観的なものであって,何ら客観性がありません。
まさに未経験からくる「自信のなさ」を列挙しています。
ある意味自分に対する言い訳のようにも思えます。
次に,好きな女性が出来たらどのような行動を取るのでしょうか。
上図では,「振られるリスク」を考えると,31.7%の男性が告白しないと回答しています。
どんなことでもリスクはあると思うのですが,こと男女関係となると,その心理的プレッシャーが怖いのでしょうか。
私も大学1年の時同級生に告白して,あっけなく振られてしまいましたが,「リスク」なんてことは考えたことはありません。
もう告白したくてたまらないという思いでいっぱいで,自分の容姿や金銭的な問題などを考えることすらしませんでした。
相手にしてみれば,何とも思っていない男性から,いきなり勢い込んで告白されても,返事のしようがないというのが本音だったと思っています。
それでは,現在恋人がいる人の状況を見てみましょう。
上図は出会いの場所を示していますが,多い順に「同じ会社や職場」,「同じ学校やクラス」,「友人の紹介」となっています。
これは,私の若い頃も変わらず,大学であれば,専攻やサークルが同じであったりしてつき合いが始まりました。
ある程度の時間を一緒に過ごすことによって,お互いを何となく理解しており,それがベースになってうまくいくのではないかと思います。
恋人がいる人は何回チャレンジしたのでしょうか。
上図では,平均2.67人となっており,最低2回はチャレンジしないと成功しないことを示しています。
反対にいない人は,79.7%が1回もチャレンジしていません。
これでは,欲しいと思っても何もしないのであれば,結果は火を見るよりも明らかでしょう。
私には,上述のいない理由は,「しない」ための言い訳に思えます。
恋人を作るためにはどんな行動を取っているのでしょうか。
上図を見ると,付き合ったことない人の49.9%が何もしていません(赤枠)。
何も行動を起こさずに結果を出せといってもそれは無理というものです。
恋人がいる人は,1回くらい振られてもめげずに積極的に行動しています。
そして結果を出している。
私も,正直いって最初は怖かったし,当たって砕けろの心境でした。
そして,「ノー」と言われ,「やっぱり」と思い少し落ち込みましたが,それだけでした。
それで「彼女が欲しい」という気持ちがなくなったかというと,全くそんなことはありませんでした。
何事も経験がないというのは辛いものです。
かといって,何もしなくては一向にそれは解消されることはありません。
失敗してもいいので,是非チャレンジしてみましょう。
それが,きっとあなたの人生を豊かにすると思います。
関連記事:何故日本人の半数は Sex しないのか