スーツを買う-4 (英国編)

更新日:

英国は背広の発祥地だけあって,様々な生地メーカーがある。
調べてみると,知らないメーカーの方が多かった。
しかも,それらは,専らテーラー専用の生地で,既製服には殆どないといっていいだろう。
ネットショップで見つけたのが Dunhill,Dormeuil であった。この2つはマーチャント系メーカーである。
いわゆる,直接生地を生産する工場を持っている訳ではなく(勿論,専属の工場の契約はしているのだろうが),自社ブランドに合うものを供給する。

Dunhill(ダンヒル)

Dunhillは元々は喫煙具メーカーであったと記憶する。
私も,同社のライターを1つ持っている。
さすがに,このブランドのスーツは,既製服としては値が張る部類に入るだろう。
そんな中で,最も安いお店を選び,スタイルをチェックした。
それでも,買うことに躊躇したが,気に入らなければ返品すればよいという思いで注文させて頂くと,これが大正解。以下のスーツは,このお店でしか買っていない。
生地名がないので,色柄で区別した。

濃紺のピンドット(秋冬)

濃紺無地があったのだが,躊躇っているうちに,合うサイズが売れてしまった。
画面では,ピンドットの雰囲気が今ひとつ掴めなかったので,質問させて頂いたと思う。
実物は,遠目には濃紺無地に見えるが,近くでは,ドットが青であることが分かるが,殆ど青が目立たない。
総裏仕立てで,裏地はキュプラを使用。
濃紺無地の秋冬ものを買い逃したので,Zegna のELECTA 生地で鉄紺無地を見つけたときは嬉しかった。

チャコールグレー無地(秋冬)

毛97%カシミヤ3%の代物。
上の品物が良かったのと,仕立てが理解できたので,続いて購入。
落ち着いた無地で,カシミヤがブレンドされているので,手触りがいい。

濃紺無地(春夏)

最初はサイズがなかったので,チャコールグレー無地にしたのだが,お店の方に探して頂いたもの。
Zegna の鉄紺ほどではなく,程よい深みがある。
この辺は,英国と伊太利亜の指向性の違いか。生地は,恐らく伊太利亜ものではないかと思われる。

Dormeuil(ドーメル)

Dormeuilは元は仏蘭西のマーチャントであるが,生地は英国から調達している。
老舗のテーラーさんの解説では,以前から日本に入っていたが,輸入元が倒産したために一旦途切れたが,本国から直接支店を開設して復活した。

濃紺無地

秋冬ものが必要になって,初期に購入したもの。
「ハンドメイド」とあって,値段も手頃だった。
生地もしっかりしていて,持つとそれなりの重みを感じるが,羽織るとその感覚は消えてしまう。
表現しにくいのだが,座って両手を上げても,スーツの身頃がきちんとおさまっている。このスーツは,すごく着やすい。袖は本切羽。

例の如く,全て2釦,ワンタックパンツ,サイドベンツ。
英国の生地は,目付がしっかりしているのが特徴であろう。
その分重さはあるのだが,肩に乗ればその重さはすっと消えてしまう。
いくら軽い生地のスーツでも,重く感じ,着ていて疲れるのは,自分の体に合っていないと落合氏も書いている。
勿論,既製服であるから,オーダースーツのような訳にはいかないが。

ここまで書いてきて,お前も結局ブランド志向じゃないか言われそうだが,デザイナーズ・ブランドは一つもない。
元々選択肢にはなかったし,寧ろ生地を中心に選んでいくと,そうなっただけである。
最初に,テーラーさんのページで,生地の解説を徹底して読んだ。
作り手の発信する情報に嘘はない。
着る者の発信には,自らの嗜好が強く出る場合がある。落合氏ですらもそれを逃れられてはいないと思える。

色々参考にさせて頂いた中で,最も私を導いて頂いたのは,テーラーカスカベさんであった。
長年書き綴られた解説は,市販本を凌駕している気さえする。

336px




336px




-ファッション

Copyright© オヤジの備忘録 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.