スーツに合わせる-2 (靴)

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先日,出張に行って,地下鉄に乗った時,乗客の足元を見ると,殆ど「紐靴」を履いていないのには驚いた。
会合に行っても,大抵がローファーというのか,紐靴を履いていない。
これはどう考えるべきか。

思うに,スーツやネクタイには,一家言を持っていても,以外に靴には無頓着な方が多いのではないか。
かくいう私もその一人であった。
チェーン店の靴屋などに行っても,紐靴は余り置いていない。
この様なことも,靴に関心を払わない要因ではないだろうか。

紐靴を履くまでは,長時間歩くと,足が疲れることがよくあった。
靴の中で足が遊んでしまい,歩く度に靴の中で足が動いてしまう。足の甲が高いので,何時も少し大きめの靴を買う傾向があった。
これが大失敗で,動いてしまう原因であった。

紐靴を履く時は,「紐をきりきりと締めろ」とある。
そんなことをすると,足の甲が痛いじゃないかと思うが,その通りにやってみると,その意味が理解できる。
先ず,靴の中で足が遊ばない。
それなりの重量があるので,自然に足が前に出る。
不思議なことに,おろしたての靴を履いても,靴擦れが起こらない。
今までは,履き慣れるまで靴擦れは仕方ないものと思っていたが,そうではなかった。

同じ紐靴でも,紐を締めたままで履けるのは,サイズが合っていないか締め方が緩い証拠である

それでは,スーツに合わせる靴とはどんなものか。
ものの本には,「最初に投資すべきは靴である」と書いてある。
しかも,出来るだけ高価なものをと。
その次には,靴は毎日同じものを履かないで,休ませろと書いてある。

休ませたら,翌日履いていくものがないじゃないか。
幸い,職場では,スリッパで過ごせるので,毎日履かなくてすんでいる。
又,通勤は車なので,ドライビングシューズを履いて運転している。
しかし,ドライビングシューズって,案外売ってないんですね。
ローファーでもいいのだが,靴底が固いものもあって,運転には余り適していないと思う。

ドライビングシューズを履けば分かるのだが,微妙なハーフスロットルが出来る。
素足のように,足裏のセンサーがきちんと残されている。微妙なアクセルワークが出来ないと,「エコドライブ」が出来ませんよ。
アクセルワークがラフな人がいるが,その人は足裏のセンサーを使って踏み加減の調整が出来ていない。
このドライビングシューズ,カジュアルな場面では普通に使える。
閑話休題。
高価なものを買えといわれても,予算が潤沢にあるわけではないので,上限を3万円として,ネットで探した。
靴の製法やデザインはご存じと思うが,以下の通り。

製法

代表的な製法としては,「グッドイヤー・ウエルト製法」と「マッケイ製法」の2つが挙げられる。
詳しくは,リーガルを参考に。

デザイン

代表的なデザインで,自分の持っているものを挙げる。

ストレートチップ

爪先の革の切り替えがストレート,即ち一文字飾りになったデザインのシューズ。
切り替え部にはメダリオン(穴飾り)をあしらったものと,ないものがある。メダリオンのないものほど冠婚葬祭に適している。

ウィングチップ

先の革の切り替えに使われる革片(チップ)が,翼(wing)のような形をしているので名付けられた。
爪先のブローグ(W型の模様穴飾り)も特徴で「おかめ飾り」ともいわれる。

モンクストラップ

モンクとは修道僧のこと。
彼らが履く靴にヒントを得て大きめの尾錠留めをあしらった短靴を呼ぶ。
ブリティシュトラッド・シューズの一種。

トゥの形(カーブ)

ラウンドトゥ

先端が楕円を描いている形状で,卵のカーブに似ていることからエッグトゥともいう。

ポインテッドトゥ

先端が尖った形状で,ラウンドトゥの一種に分類される。

スクェアトゥ

先端が台形のように角張っている形状。
なお少しだけ角張っている形状を,セミスクエアトゥと呼び分けることもある。

正直いって,靴を通販で買うのは難しいと思った。
その理由は,いくらデザインが分かっても,履かないと自分に合うのかどうか分からない。
本来ならば,実店舗で履いた後,通販で購入するのが一番間違いない。

又,同じ25.5cmのサイズであっても,メーカーや製法によって合うかどうかの判断がつきにくい。
その意味では,サイズ交換を前提(この場合は,返送料は自己負担が多い)として,買うことを覚悟した方がいいだろう。

購入に際しては,爪先が尖っていたり,台形のものは好きになれそうにもなかった。
すると,ラウンドトゥと呼ばれる形で,ストレートチップかウィングチップということになる。
最初に興味を持ったのは,ウィングチップだった。爪先のウイングが,柔らかい印象があったので購入した。
しかし,ネクタイの項でも書いたように,靴しか見ていなかった。
履いてみると,どうにもしっくりこない。変な違和感を覚えてしまう。服を換えたりして何度か履いてみたが,この感覚はなくならなかった。

光りものならぬ飾りもの好きの私が,次に興味を持ったのは,ストレートチップのメダリオンだった。
これは,先端のトゥの部分に小さな穴をたくさんあけた飾りがついたものである。
この靴も,今ひとつ気持ちが乗らない。ウィングチップよりはましなのだが,トゥの飾りが五月蠅く感じてしまう。

結局,落ち着いたのは,同じストレートチップでも,トゥの革と後ろの甲の革とのつなぎ目に,大きめの穴が並んだ革が縫いつけた飾り(パーフォレーションというらしい)のものだった。
これだと,飾りが余り目立たないので,丁度良い按配だった。余計な飾りのないストレートチップもあり,これが最もフォーマルを具現化しているが,シンプルすぎて物足りない。

それ以降,専ら革の継ぎ目に飾りのあるストレートチップを愛用している。
製法は,グッドイヤー・ウエルトのものとマッケイのものをそれぞれ2足持っている。
スタイルは内羽根式である。合わなかった2足は,外羽根式であった。
その区別まで調べることをせずに買ったので,結果的には,内羽根式が残った勘定になる。

どちらかといえば,マッケイ製法のストレートチップを履く機会が多い。
グッドイヤー・ウエルト製法は,重厚感があっていいのだが,場所によっては,雰囲気が重すぎるきらいがある。

今後の課題は,ウィングチップとストレートチップのメダリオンをどう履きこなすかである。
このハードルを越えるのは至難の技のような気がしている。

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