国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF,本部パリ)は26日,2017年の世界各国の報道自由度ランキングを発表し,日本は72位だった(東京新聞)。
日本はG7=主要7か国で最低の順位で,推移を見ると,2010年は11位,2012年は22位,2013年は53位,2014年は59位,2015年は61位,2016年は72位と年々順位を下げている(あのトランプ政権で揺れる米国ですら43位である)。
特に2012年から2013年にかけて大きく順位を下げているが,これは第2次安倍政権(2012年12月26日~)の影響も否定できないだろう。
以後,毎年順位を下げ続けており,前述のように主要先進国の中で最下位になってしまった。
順位を下げた理由について,「国境なき記者団」は,東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所の事故の際に報道が規制されたり,情報の開示が限られたりしたと指摘しているほか,特定秘密保護法が施行されたことなどを挙げている。
私は,上述のように2011年に起きた東日本大震災の際の報道姿勢から潮目が変わったと思っている。
当時は民主党政権であったが,官邸からかなり報道規制があったと聞く。
未曾有の大震災であるから「パニックを防ぐ」名目で情報を出さないのではなく,未曾有であるからこそ何もかも明らかにして,国民共々対応するべきであると思う。
原子力保安院や東京電力の記者会見は,いかに情報を隠す(出さない)かという姿勢が良く現れていた。
政府やメディアも「事故」とは言わず,「事象」等という抽象的な表現を用いて矮小化することに必死だった。
民主党は,あの時全ての情報を開示し,国家機関や東電に全てを明らかにせよと命令していたら,まだ政権は存続していたかも知れない。
総力戦で当たるべきなのに,妙に個々の権益が邪魔をして,本来在るべき姿を見誤っていた気がする。
この様な背景もあるかも知れないが,2010年から2017年のわずか7年で「66位」も順位を下げてしまうなど少し異常であるとしか言えない。
安倍政権になって,政府の機密主義が激しくなり,何でも「特定秘密」扱いで,「記憶」すら該当すると言い出す始末である。
共謀罪ですら「言論弾圧」の道具にしかねないほど,今の安倍政権には,憲政の常道というものがない。
現在の日本は,どことなく空気が淀んでいる気がしている。
我々は,その原因を薄々知っていながら,どうにも出来ない状況の中にあるのではないだろうか。
「国境なき記者団」の全てを信頼するわけではないにしても,指摘される事実には同意する点もあるだろう。
「報道の自粛」といえば聞こえはいいが,その実態は圧力に屈した「自由の放棄」ではないのか。
我々も「安全の保証」の裏側に「自由の放棄」があることに注意する必要があるだろう。
「明るい未来」は最早「死語」なってしまったのか。
(参考)
(1)Wikipedia:国境なき記者団