最初にお断りしておきますが，以下のお話は私が勤務していた法人のことではありません。
又，創作でもありません。
ここでは看護師さんを例にとっています。
一所懸命努力して看護師免許を取得し，希望を持って現場に入った方や現職の方にはショックなタイトルで，おまけに顰蹙をかうかも知れません。
病院の収入を上げる方法は色々ありますが，もっともスケールメリットがあるのが看護基準の底上げです。
40 床の病棟があるとすれば，基準を一段階上げるだけで，その病棟の収入は何千万円と変わってきます。
現行の診療報酬制度の下では，看護師の配置を免許で確認しますから，表現は悪いですが。その枚数で基準が決まります。
現場は医療の質を担保するために日々努力して頂いているのですが，管理部門からすれば，極端にいえば，仕事などは出来なくても，免許を持っていて，病院に出てきてさえくれれば一人とカウントできます。
現に，看護師確保に苦労している病院では，基準を維持するために，上記のような看護師さんも勤務させています。
最早そこには，医療の質や看護の質などはなく，収入を確保するための人材に過ぎません。
経営者（理事長）は病院を潰したくない一心で行っているのでしょうが，それよりも確保するために医療の質を上げ，待遇を見直す努力をすればどうかと思いますが，現行の制度の盲点を突けばお金が入ってくることに慣れてしまうと，その努力も虚しくなるのでしょうか。
こんなことは医療に関わる者としてはあってはならないことですが，現実には存在します。
現状では，診療報酬に医療従事者の質を評価する項目は余りありません。
ようやく，手術の実績で評価することが出てきたばかりです（私は全てを知っているわけではないので誤っていたらゴメンナサイ）。
看護師免許を金券などと失礼なことを書きましたが，収入を上げるために免許を買っているのだと豪語する理事長さんもいます。
悲しいことですが，世の中にはそんな一面も存在します。
病院の見かけに騙されず，自分の求める医療を行おうとしているのかを確認してから，その病院の求人に応じても遅くはないと思います。
このような側面は，なかなか表に出てこないのでわかりづらいのですが，あなたが，就職したいと考えておられる病院の職員さんとアクセスできるのならば，確かめてみても損はないと思います。
確かに病院といえども，一つの事業ですから採算を求めなければならない側面があります。
かといって，「医療の質」を担保せずに採算だけを求めてしまえば，迷惑するのは患者さんです。
患者さんは，上記のような事実などはまったく知らないでしょう。
医療機関を信頼している人たちからすれば，失望の極みです。
また，そこに勤務する職員さんにとっても同じです。
医療は「善」であると考えておられる人たちの意識を逆手にとってはいけないと考えますが，現実はそうでない場合もあるというのは悲しいことだと思います。
