CX-5 の定期点検に行った際,アテンザに試乗させて頂いたのですが,パドルシフトが標準装備されていました。
前の Legacy も標準装備でしたから,これを積極的に活用することによる面白さを知っていたので,CX-5 にもオプションで発売されないかと密かに思っておりました。
そうこうするうちにアクセラが発売され,みんカラなどで,アクセラのパーツを流用した取付のユーザーレポートが出始めました。
私には DIY で行うほどの技術力は持ち合わせていないので,ディーラーに相談したところ,取付は不可能でないと思うが,不具合等が生じた場合の保証が出来ないので困難であるとのことで,一旦諦めておりました。
2013年4月の中旬だったでしょうか,たまたま MAZDA のサイトを訪問していると,オプションとして発売するとの記事を見つけました(電子カタログから「コンフォート」を選択すると表示されます)。
「ステアリングシフトスイッチ」とあり,5月発売予定と書いてありました。
取付費込みで22,247円(2013.5 当時)。
これを安価と考えるか否かは,この製品を魅力的と思うか否かによるでしょう。
私にとっては是非欲しい代物でしたから,早速整備士の方に電話を入れ,最新のカタログを見てもらうと,掲載されているので,メーカーに問い合わせますとのこと。
回答は,以下のようでした。
「取り付けは可能であるが,2012.03 発売の初期型のステアリングはその対応がされていないので,ステアリング交換が必要である」
ちなみに,純正のステアリングは約22,000円余りします,とのお返事。
締めて45,000円の出費。
しかし,どうせ交換するなら純正ではなく AutoExe の Sports Steering Wheel にしたい。
税抜き38,000円。約18,000円のコストアップになりますが,欲望に負けてしまいました。
というわけで,整備士の方に以下のような指令を出しました(実際私の我が儘によく対応してくれています。感謝)。
「AutoExe が取り付け可能ならばそれを発注し,不可能な場合は純正を発注する」
翌日,早速回答があり,AutoExe で OK とのことでした。
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案の定,連休直前で,メーカーも休みに入り始め,ディーラーも連休明けから1週間休むので,取付は,5.19 以降にして欲しいとの希望と,作業時間は2時間程度を考えて欲しいとのことでしたので,週末の打合せに行く 5.23 に決定。
途中でディーラーに車を預けて,代車で打合せに行き,終了後にディーラーに引き取りにうかがうことにしました。
当日,車を預けに寄ると,「先日1台やりましたが,結構手間ですね」とのこと。
勿論,プロなんだから成功したんですよね,と心中穏やかでない心境でした。
打合せも早々に済ませ,ディーラーに行くと,愛車がない。
取り付けて試走しているんだなと思い,少し待っていると戻って来ました。
「シフトアップは出来るんですが,シフトダウンが出来ないので再点検します」
一抹の不安を抱えて,店内で待つことおよそ10分。
「出来ました」
よかった。快く精算し,お店を後にしました。
逸る心を抑えながらステアリングを握ると,感触が違う。
当たり前か,AutoExe なんだから。
全体的に太くなった感じで,天上付近の握りが太くなっており,これは純正との大きな違いです。
帰宅時は,パドルシフトの使用はひかえました(下り坂でシフトダウンに使ったくらいです)。
そもそもパドルシフトって何ね,という方はここを参考にして下さい(余り参考にならないかも知れません)。
パドルシフトは,万人にとって必要不可欠であるかといえば,No でしょう。
市内の運転が殆どの方は,余り活用するシーンがないように思います。
減速するにしても,フットブレーキで充分でしょう。
ところが,私のようにアップダウンの多い道やワインディングを走ることが好きな人間にとっては,趣味を超えた実用的な装備なのです。
急な坂を下っていくとお分かりになると思いますが,アクセルをはなしてもどんどんスピードが出てしまう時がありますね。
そんな時は,当然ブレーキを踏んで,スピードをコントロールします。
すると,ワンテンポ遅れてキックダウンしてくれますが,強く踏むと,恐らく5速→3速となって,回転数が 3,000rpm 位まで上がって驚くことがあり,おまけにフロントヘビーですから,車が前のめりに感じます。
よく下り坂で,ストップランプを頻回に点滅させている車がありますが,CVT 全盛の今ではフットブレーキに頼ることしか減速方法がないからでしょう。
CVT はエンジンブレーキも余りききませんし。
マニュアル車の場合は,下り坂ではシフトダウンして減速する(エンジンブレーキを使う)のは基本です。
加速する時も1段下のギヤに落としてやる方がスムースに追い越しが出来ます(キックダウンを誘発するようなアクセルワークが不要)。
このように,端的にいえば AT をマニュアル車のように扱うことです。
そのためのものがパドルシフトなのです。
しかも,ステアリングから手を離さずに動作できるのが特徴です。
マニュアル車の様にクラッチ操作も不要ですからラクチンです。
また,使用することによって車をメリハリよく走らせることが可能になり,スポーティーな感じになります。
一説には燃費も向上するという意見もあります(余計にアクセルを踏まなくなる)。
以下,走行シーンに応じた操作を書いてみます。
尚,使用する際には,いちいちマニュアルモードにする必要性はありません。
「-(左)」を手前にひくとシフトダウンし,「+(右)」をひくとシフトアップし,自動でドライブ表示に戻ります。
減速
日常の走行では,パドルシフトは減速するシーンで最も多用されるのではないでしょうか。
下り坂
これは,上記のようにシフトダウンしてスピード調整することが基本です。
エンジンブレーキ併用の意味もありますので,ブレーキを使わなくとも減速します。
60+α kmの場合でしたら,左の「-」ボタンを手前に引くと,5速から4速にダウンします。
一度に2段階落とすのは,エンジン回転数が許容範囲を超えてしまう場合があるので,スピードによっては厳禁です。
その場合は,フットブレーキでスピードを調節してやるとスムースに落とせます。
冬はマニュアル・モードで走ることが多いです。
凍結路や圧雪路の下りでは,フットブレーキを踏まずに,ギヤを3速などに固定し,エンジンブレーキの利用は必須です。
このような時,順序よくシフトダウンできますので,パドルシフトは有り難い装備です。
適切なギヤを選択してやれば,フットブレーキを一切使用しなくても平地まで下りていくことができます。
停止
手前の信号が赤だった場合,シフトダウンしながら減速していきます。
フットブレーキは,2速くらいまで落として初めて踏むか,若しくは,軽く踏みながらシフトダウンしていきます。
コーナーリング
所謂,「スローイン・ファーストアウト」です。
即ち,ギヤを落として進入し,脱出口から加速し始め,ストレートでシフトアップします。
適切なスピードで進入すれば,フットブレーキは不要です。
要は,アクセルとブレーキだけで加・減速していたのを,パドルシフトを使って,手動でギヤチェンジしてやることによって,エンジンブレーキを積極的に活用し,最もトルクの出る回転数に導くことによって,スムースな加速をしようということです。
急な減速
郊外の道などを流していて,前方に突然何かが現れて減速しなければならない場合があります。
そんな時も,フットブレーキを踏みながらパドルシフトでギヤをおとしてやると,エンジンブレーキも併用できますので,ブレーキ一辺倒よりも早く減速できます。
日頃からパドルシフトに慣れていると,意識しなくてもギヤをおとしていけるようになります。
加速
加速のためにパドルシフトを使用するのは余りイメージが湧かないかも知れませんが,ここでも一旦シフトダウンします。
ただ,目的がスムースな加速のためであるという違いがあります。
登り坂
登りなどは,スピードが落ちてくれば,アクセルを踏めばいいじゃないかと思われるでしょう。
パドルシフトがない場合は,キックダウンさせるために,どうしてもアクセルを深めに踏みがちになります。
余計に踏まずに調節できる方はなかなかおられないでしょう。
ここでもシフトダウンして一段下のギヤに落としてからアクセルを踏めば,余計にアクセルを踏み込まなくてすみます。
同じアクセルの踏み込みのままでも,ギヤが一段下がることによって加速が始まります。
そして,一定のスピードに達したらシフトアップ(右の「+」ボタンを手前に引く)します。
最もトルクの出る回転数(2,000回転)を下回っているのに,そのままのギヤではいつまでも加速しません。
ハイギヤでエンジンを粘らせているのは余りよくありませんし,燃費も悪くなるだけです。
追い越し
これもアクセルを踏めばすみます。
しかし,加速の加減を調節したアクセルワークは難しいと思いませんか。
どうしても深く踏み込んでしまいがちです(深く踏まないとキックダウンしない)。
ここも,「シフトダウンしてから加速する」のがミソなのです。
そして,スピードにのったら,シフトアップします(2,500回転を目安にします)。
ドライブ表示に戻るのを待つことはありません。
高速道路でも,ハイギヤでダラダラと追い越すより,1段下のギヤで追い越す方が時間も少なくて済み安全と思います。
何よりも追い越し車線に留まる時間が少なくて済みますので安全も確保できます。
CX-5 は「中間加速」が速いので,あっという間に追い越しが完了するはずです。
車間調整
前の車に近づきそうだな,と思った時にはシフトダウンしてエンジンブレーキをかけ,それでも近づくようならフットブレーキで調整します。
高速道路の場合は,フットブレーキのみだけでなく,この方法が特に有効で,車の挙動が安定しています。
あまりに前車に近づくようであれば,さらにシフトダウンしてやればいいのです。
フットブレーキは,あくまで添え物のように扱います(時々ゆっくりと踏む)。
パドルシフトがあるとフットブレーキの前にシフトダウンするという習慣がついてきて,スムースなスピードダウンが行われますので同乗者は車酔いすることも少なくなり,安心感がもてます。
省エネ走行
パドルシフトを使って省エネ走行も可能です。
AT だけの運転でしたら,どの回転数でギヤがアップするのか分かりづらいですが,パドルシフトを使って,タコメーターが約2,000回転付近になると,次々にシフトアップしていくのです。
通常の場合,アクセルを少し深く踏み込むと2,500回転くらいのところでシフトアップしますが,そこまで回す必要はないので,2,000回転を目安にして,アクセルを調整しながらシフトアップします。
また,CX-5 の場合,1,800~2,500回転付近を使うのが,最もパワーを発揮できる車の状態と思います。
マニュアル・モードでは,パドルシフトを駆使することになります。
小気味よく車が動くのは,ある種爽快な気分です。
先日も走ってきましたが,特段マニュアル・モードにしなくても,パドルシフトを使えば充分でした。
通勤路を,「ここは4速にシフトダウンして進入すればいい」などと考えながら走るのが密かな楽しみなりました。
装着してから1週間ほどですが,朗報が1つあります。
それは,燃費が0.2km良くなったことです。
どこまで伸ばせるか挑戦してみたいと思います。
多分,余計なアクセルワークが減ったのではないかと推測します。
又,フットブレーキの使用頻度も減りました。
尚,エンジンブレーキを多用するとエンジンに良くない,とか議論しているサイトもあるようですが,長年の経験からいいまして,そんなことはありません。
マニュアル車では当然のことであり,とするならば,AT が普及する前の車は軒並み壊れていなくてはならないことになります。
ただ,注意すべきは,過回転(オーバーレブ)させないことに尽きると思います。
それよりも,私が最も怖れるのは,再三記していますように,燃焼室の熱による「油膜切れ」です。
これは,エンジンの焼き付きをおこし,オーバーホールを余儀なくされる損失です(所謂エンジンが壊れたというやつ)。
タービンも高回転で熱を生じますから,同じような注意が必要です。
下手をすれば,タービンからオイルが噴き出してきます。
日本車は,燃費競争に走る余り,フリクションロスを抑制するため,どんどん柔らかなエンジンオイルを使用する傾向にありますので,結構飛ばす方は注意して下さい。
又,ハイブリッド車は,転がり抵抗の少ないタイヤを装着していますが,このタイヤのウエット性能は余り良くないので,気をつける必要があります。
最後に, CX-5 ではありませんが,「パドルシフトの使い方で燃費を改善する方法。」という記事を見つけましたので,ご参考にして下さい。
私の拙い文章より,遙かに分かりやすく解説されています。
AT 車で上手に走るコツもご参考に。
最後に,パドルシフトが標準装備の車に乗っていながら,今まで使ったことがないといわれる方がおられましたが,私に言わせれば,それは宝の持ち腐れですので使いましょう。
スポーティーにも省エネにも使用可能ですので,是非お勧めします。
一度パドルシフトでギヤをアップ・ダウンさせることを覚えていきますと,加減速のコントロールが自在に出来ますので,手放せなくなります。
その意味では,都市部でもその恩恵はありますし,フットブレーキ一辺倒で運転することのデメリットも克服できると思います。
そして,何よりもブレーキパッドが長持ちします。
非常にイメージの湧きにくい文章に終始して申し訳ありませんでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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