健康寿命をのばしましょう

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「医療機関が多い都道府県は平均寿命が長いのか」では,平均寿命について記したが,平均寿命というのは,寝たきりの方なども含めた数字なので,必ずしもその年齢まで「健康である」とは限らない。
そこで,今回は「健康寿命」なるものについて考えてみたい。
「健康寿命」とは,WHOが2000年に提唱したもので,平均寿命から日常的・継続的な医療・介護に依存して生きる期間を除いた期間をいう(Wikipedia)。
Fig.1

Fig.1は,平均寿命と健康寿命との関係を現したもので,健康寿命は男性では70.42歳,女性は73.62歳である。平均寿命から健康寿命をひいた年数は,男性が9.13年,女性が12.68年となっている。
この年数をどれだけ縮められるかが課題となる。即ち健康寿命の底上げの努力である。
最新のデータは,Fig.2のようになっている。
Fig.2

これによると,男女とも第1位が山梨県で,最下位は男性が徳島県,女性は大阪府である。
Fig.3は,平均寿命の表である(昨日のデータとは異なる)。ご自分の居住する都道府県で,「平均寿命-健康寿命」を計算して頂きたい。
Fig.3

健康寿命と医療機関との関係を見てみよう。
医療機関数では大都市が多い傾向にあるが,「充実度」ともいうべき人口10万人当たりの数とした。以下の数字は男女別になっていないので,便宜上,男女とも同じ数字を使用している。

Fig.4

これによると,男性の場合,健康寿命の最も長い山梨県は第24位で,最下位の徳島県は第3位となっている。
同じく女性では,山梨県が第24位,最下位の大阪府は34位である。

診療所で比較してみる。
Fig.5

山梨県(男性)が23位,徳島県が4位で,女性は山梨県23位,大阪府が7位である。
病院・診療所とも山梨県は,全国平均を少し上回っているだけである。

では,医療費ベースで見てみよう。
Fig.6は入院費のランクである。
Fig.6

山梨県(男性)が35位,徳島県は9位で,女性は山梨県35位,大阪府が20位である。

一方,外来費用はFig.7である。
Fig.7

山梨県(男性)が41位,徳島県は8位で,女性は山梨県41位,大阪府が4位である。

次に,入院・外来費用の合計がFig.8である。
Fig.8

山梨県(男性)が39位,徳島県は7位で,女性は山梨県39位,大阪府が13位である。

「健康寿命」なのだから,当然山梨県は医療費が最も低いと考えられるが,結果はそうなっていない。逆に,短い場合は,医療費も高くなっている傾向にある。

日常的・継続的な医療・介護に依存していない期間とは,端的に言えば,要介護1以下の状態の期間をいうようだ(松本市の健康寿命)。
とするならば,慢性疾患等で外来治療を受けていても,自立していれば健康と定義されるので,ある意味では,医療は健康の一環を担っているといえるだろう。

しかしながら,結果を見ると,医療機関の充実度や医療費の額からは,健康寿命に対する貢献度が見えてこない。
即ち,医療機関数や医療費と健康寿命との相関関係は,最下位の場合には正の相関を示すが,第1位の場合には相関関係はない。
ということは,医療機関をいくら増やしても,又,医療費を費やしても,現状では,それが必ずしも健康寿命の延伸には繋がっていないといえる。

従って,高齢になって,足繁く病院(診療所)通いすることは,必ずしも自分の延命に繋がるとはいえないことに留意する必要があるかも知れない。

(出典)
(1)都道府県データランキング:医療施設
(2)都道府県データランキング:医療費
(3)厚労省:平均寿命(PDF)
(4)Woman’s labo:47都道府県の健康寿命ランキング

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