こんな物騒なタイトルをつけると,陰謀論と片付けられるかも知れないが,明治維新ですら徳川幕府を倒す陰謀だった。ただ,それが成功し,表の歴史に記されたから「陰謀」と言わないだけだ。
あなたは,テレビ局や出版社が,他人の LINE のやりとりを手に入れられることをおかしいと感じたことはないだろうか。
ベッキーの不倫騒動の時,ワイドショーや週刊誌は,LINE の内容を暴露していたが,まさか当事者が提供したわけではあるまい。
とするならば,誰がその個人情報を提供したのか。最も可能性が高いのは,LINE の運営会社である(私は情報を売ったのではないかと推測している)。
こんな話題ですら第三者に提供するのだから,警察から照会があれば何でもするに違いない。
あなたは,エドワード・スノーデンをご存じだろうか。ご存じない方は,ここを一読して欲しい。彼が「何を警告したか」を知っている方は,以下の文章を読む必要はない。
彼は,元アメリカ国家安全保障局(以下 NSA)の局員で,主に通信傍受の仕事に携わっていた。
2013年10月25日,ハフィントンポストは,「ドイツのメルケル首相,アメリカ情報機関が通話を盗聴か「安倍首相は問題ない」菅官房長官」と報じている。
又,この記事によれば,「1カ月間に,スペインで6千万回,イタリアで4600万回の通話を録音していたこともマスコミにリークされ,各国からの抗議が米政府に殺到した」とある。
しかし,日本政府は米国に抗議していないし,内部調査もしていないようだ。
このように,既に NSA によって大規模に通信が傍受されている実態があり,スノーデンはその事実を暴露した。
問題は,メルケル首相のような重要人物だけではなく,一市民の我々もその対象になっている(可能性がある)ことである。
スノーデンが暴露した内容(参考1・動画)の一例を挙げると,
(1)世界最大のインターネット企業(フェイスブック・ヤフー・アップル・グーグル・マイクロソフトなど)と NSA との間に秘密協定が結ばれており,PRISM(プログラム)は左記の会社のサーバーから直接データーを収集する。
(2)中でも「マイクロソフト」と NSA の協力関係はとりわけ密接で,同社が「スカイプ」や「アウトルック」などの通信プラットフォームへのアクセスを提供していた。
我々の常識からすると,上記のような会社が NSA のような機関と協力関係にあるとは俄(にわか)に信じがたい。しかも,これは犯罪捜査のための情報収集の関係ではなく(それも勿論あるが),常時,データの収集を暗黙のうちに許可していることである。
収集している情報は,同書によれば,
(1)E-mail
(2)Chat-video,voice
(3)Videos
(4)Photos
(5)Stored data
(6)File transfers
(7)Online Social Networking details
(8)Special Requests
等である(暴露文書22から抜粋)。
文書36では,包括的協力国(Second Parties)として,イギリス,カナダ,オーストラリア,ニュージーランド,限定的協力国(Third Parties) としては,オーストリア,ベルギー,デンマーク,ドイツ,イタリア,オランダ,ルクセンブルク,スイス,日本など20カ国となっている。
更に,資金援助を受けた国として,カナダ,イスラエル,パキスタン,台湾,日本など幾つもの国が挙げられている(文書38)。面白いことに上記の中にフランスは入っていない。
このことから収集対象は米国民だけではないことが分かる。謂わば,世界の全ての人がその対象とされているといってもいいだろう。
スノーデンは,日本に対する通信傍受基地は「横田」だと語っている(本人も一時期勤務していた)。
NSA は,あるキーワードが使われた電話やメールを収集しているのではなく,「全て」のデータを収集し,そのデータに対し,ある言葉を検索にかけると,電話やメールが瞬時に表示される。
冷戦終了後,米国はこの強大な国家システムを経済的な側面にも応用している。即ち,米国との通商交渉の際,日本がどの様な方針を持っているかを傍受して,その戦略を練っているという。
このように,我々は既に監視下にあると言わねばならない。
身近な例を挙げれば,あなたが楽天(Aとする)などで幾つかの品物をチェックした後,異なるウェブサイト(Bとする)に行ったとする。
すると,先ほどチェックした品物が「広告」として表示されたことはないだろうか。
A と B の間には何の関係もないのに,広告が表示されるなど奇妙に思わないだろうか。これは,Amazon があなたの買い物傾向を表示するのとわけが違う。
私は,ある時期からこのことが頻繁に生じるようになって,気味が悪くなってしまった(表示させる方法は知る由もないが)。
以来,私は使用しているブラウザに,広告ブロックやプライバシーをブロックするアドオンを組み込んでいる。
それでも,検索にはグーグルを使うのでデータは収集されているだろう。
Gmail も使用しているが,全く当たり障りのないものに限定している(これも収集の対象)。まぁ,メールも暗号化しない限り簡単に収集されるようなので,何を使っても意味はないようである。
オンラインゲームをしていて驚いたのは,こちらのプライベート IP アドレスをキャッチしていること(当然といえばそうかも知れないが)。これは,向こうから私の PC のコントロールを許すということなのだろうか。
あなたは,既に,日本にも NSA と同じような組織があるのをご存じか。
その名は,国家安全保障会議という。共謀罪が成立した暁には,私はこの機関が本格的に動き出すのではないかと疑っている。
NSA と連携して傍受システムが出来上がってしまうと,どこにも逃げ場がない。
NSA は独自にシステムを構築しているわけではなく,上記以外にも専門の会社が協力している。米国さえ了承すれば,日本が,このような会社にシステムを構築してもらうことも可能である。
私が総理大臣ならば,警察を主体とするのではなく(実働部隊ではあるが),国家規模のシステムの構築を考える。
自衛隊に防諜部門を創設(それらしきものは既にあるだろうが)し,その部門を国家安全保障会議の一機関とする。この法律が「テロ対策」と銘打っている以上,その費用は防衛費から捻出する。
米軍の横田基地にある設備の一部を借用できれば,ことはもっと簡単だろう(日本は NSA に資金提供しているのだから)。
我々国民は,全て犯罪者の予備軍となり,四六時中監視下におかれることになる。
いよいよ日本にも「ビッグ・ブラザー」が登場するのだろうか。
(参考)
(1)Amazon:暴露:スノーデンが私に託したファイル(新潮社)
(2)YouTube:あなたも監視されている~スノーデンの暴露とは
(3)日本経済新聞:トランプ氏,盗聴でメルケル氏と「共通体験」
(4)日刊ゲンダイ:どんな団体も対象に 共謀罪「テロリズム」定義拡大の姑息
(5)現代ビジネス:スノーデンの警告
(6)ハフィントンポスト:スノーデンの警告「Dropboxは捨てろ」「FacebookとGoogleには近づくな」
(7)YouTube:日本にある盗聴装置エシュロンの存在を公表する石原 慎太郎氏と仙波 敏郎氏
(8)YouTube:スノーデンの暴露本,やりたい放題の米国,スノーデンの暴露本の内容
(9)YouTube:潜入!アメリカ国家安全保障局(NSA)