日産とSUBARUの無資格検査問題について

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今,日産とSUBARUの無資格検査が問題になっているのはすでにご存じのことと思います。
それでは,「無資格検査」というのは一体何のことでしょうか。

自動車は「車検」に合格しないと公道を走れないのは周知の事実であると思いますが,「新車」の場合はどうなるのでしょうか。
新車の場合は,通常であれば,陸運局に車を持ち込み,そこでの検査を通過して初めて公道で使用可能となります。

しかし,大量生産される車を1台ずつ持ち込めば陸運局は到底対応できませんから,メーカーは国土交通省に一定の教育を受けた職員とその印鑑さえも届け出て,その職員が検査を行い,法的に問題がないという結果を持って「車検に合格した」ものとみなし,ディーラーなどに搬送されています。

ところが,今問題になっているのは,そのような資格を持った職員が行うのではなく,無資格の職員が行い,資格のある職員の印鑑を押して,あたかも検査に合格していたように「偽装」していたことです。

これが長期間にわたって行われていたというのですから,私たちは自分の車は大丈夫かと不安になります。
日産で約115万台,SUBARUでは約25万台ということですから,これはとてつもなく大きな問題といえます。

ここで対象となるのは,今まで「一度も車検を通過していない車両」ということになります。
つまり,初年度登録から3年未満の車両が対象ということです(新車検査しか受けていない)。
何故ならば,一度でも一般車検を通った車両は「合法」なので,公道も使用可能ということになりリコールの対象外になってしまいます。

自分の車が,無資格者の検査しか受けていないのに,今回の該当車両にならないというのは何か変ですね。
そして,最初の車検までは,非合法な車を運転していたことになります。

それでは,まだ最初の車検が到来しておらず,「非合法な状態の車両」の安全性はどうなのかというと,試験はほぼコンピュータ化されているので安全だろうというのが,自動車業界の人たちの見解のようです。
また,それが故の「事故」などは起こっていないために,余計にそのような考えになっているのでしょうか。

日産も車両そのものには何ら問題はなく,単なる手続き上のミスというように問題を矮小化しようとしています。
しかし,資格のある検査員が行って初めて車検の合格というようになるのですから,手続き上のミスではありません。

ユーザーにしてみれば,そんな問題ではなく,「非合法である」ことが発覚した以上,万が一交通事故を起こした場合は,自動車保険の対象になるのか否かが心配だと思います。
また,何らかの不具合が生じた場合は,どのような内容でもメーカーが無償の対応をしてくれるのでしょうか。

評論家の中には,検査は機械化されているのであるから,「有資格者」に限らず,一定の講習を受ければ検査可能として,対象人員を増やせばいいという意見の方もおられます。

私は,この論理はおかしいと思っています。
医療の世界でいいますと,心電図やレントゲン検査などはコンピュータが内蔵された機械で行われておりますが,その検査は「有資格者」しかできません。
それを,使い方の講習だけを行って,誰でも可能なようにしろというのと同じことです。

医療機関は,検査機械の精度が上がって,誰でも可能だろうと思っても,「有資格者」にしかそれを行わせていません。
そこには,法律の遵守ということだけでなく,人命を預かるという使命感もあると思っています。
そのために,「有資格者」の内部養成に長年取り組んできました。

そんな中にあって,自動車業界は,上述のようなことがまかり通るとすれば,「人命軽視」もいいとこだと思います。
「車は走る凶器である」とも言われる中にあって,何か起これば,それはドライバーの問題とするのは責任転嫁ではないでしょうか。

この問題は,以前の三菱やスズキの燃費改ざんとは全く異なり,現在も「違法車両」が走行し続けているということにあります。
メーカーは,ディーラーをあげて取り組むしかありませんが,ダイレクトメールなどが来て自分の番が回ってくるまでに,何かが起こったときの責任の所在が曖昧なままでは,そのまま乗り続けることに不安になってしまいます。

前述したように,万が一事故に見舞われた場合は,保険会社が保険の対象とするという「表明」が必要だと思います。
昨今は,自動車保険に外資系も参入していますので,契約に厳しい彼らの確証がないと,とても危なくて運転できたものではないでしょう。

メーカーは,先ず,各保険会社と交渉し,事故を保険対象とするという措置を講じてユーザーを守ることが必要です。
また,政府には「新車の検査」を受けるまでは,特例として「走行可」とする法的措置を求める必要があります。
それが無理であるならば,ユーザーが使用できない期間の保証を確約する必要があるのではないでしょうか。

報道などで知っている限りでは,まだ上記のような課題については明確になっていないように思われます。
先ず,そこをクリアにしてから,この問題の解決に取り組んでほしいと思います。
前代未聞のことだけに,政府もどのように対応するのかを慎重に見守っていかねばならないでしょう。

最後に,日産とスバルのWebサイトのリコール関係のページを載せておきますので参考にしてください。
まだまだ,内容が変わってくる可能性がありますが,両社の車を所有されている方は,車検証を用意して一度確認してみてください。

1.日産リコール
2.スバルリコール

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