ボケないための工夫をしましょう

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それなりに長く生きてくると,体力の衰えもさることながら認知症にならない工夫も大切になってきます。

認知症の代表的な病気としては,アルツハイマー病がありますが,これは脳内に変化が生じていることが分かっています。

認知症になると,最も速やかに失われるのが「日時」や「場所」や「年齢」です。
日時は,刻々と変わりますので,本人はその変化について来れません。又,場所については,どこかへ出かけた時に,自分の今いる場所が分からなくなっています(失見当識)。
このように変化するものに対しての記憶喪失は最も早い。

反面,なかなか失われないのは,固定的な情報です。
例えば,自分の名前や生年月日など変わることのないものです。
ですから,これすら失われてしまうことは重症と考えねばなりません。
他人とご家族の区別がつかなくなってくる場合もあります。

相手が間違えた時,
「おあばちゃん,私よ私。○○子よ」
と言うと,
「ああ,そうだったね」
と本人は答えますが,30 分後に,
「おばあちゃん,私誰か分かる」
と尋ねると,全くとんちんかんな答えが返ってきます。

又,季節感がなくなり,夏だというのに冬物を身につけようとする場合もあります。
これは,季節感だけではなく,肌感覚も衰えている証拠かもしれません。

私も,一昨年に引退して,しばらくゆっくりしているうちに,曜日の変化に対する認知が乏しくなりました(何せ サンデー毎日ですから)。
挙げ句の果てには,家内に,
「明日は休みだよね」
と言うと,
「何言ってんの。明日はまだ金曜日です」
と怒られる始末。

これではヤバイと思い,毎朝カレンダーで日にちと曜日を確認することにしました。
こうなった理由は,日常生活にメリハリがなくなってきたせいで,現役の頃でしたら,会議は何曜日,出張はいつと記憶に残しておかねばならないことが沢山ありましたから,今日は何月何日何曜日と明確に意識していました(そうでないと仕事にならない)。

もう一つの要因は,自分が世間から切り離されていくということ。
山奥の片田舎では,自分が出かけていかない限り人に会うことはありませんから会話もない。
謂わば刺激のない状態です。

そこで,「2年間主夫をやって分かったこと」にも書きましたように,主夫をやる決意をしました。
ある種の仕事にすることによって,時間の感覚を持ち,且つ,買い物に行くことによって外界の刺激を受けることにしたのです。

それでも,段々慣れてきて,少しずつ要領が分かり始めると機械的な動きになりがちになります。
しかし,料理を考えるのは,とてもよい刺激になりました。
食材を確認して,何ができるかを考えるのは,創造的な行為です。
何も知らない私にとっては,ネットで調べて,レシピを印刷して,スーパーに買い物に行く。
これだけでも,優に半日は使います。

後もう一つは,これは若い頃からの習慣ですが,テレビを見ないこと。
テレビというのは,一方的に情報を発信してくるだけで,そこには視聴者の「能動性」がありません。
この「能動性」があるか否かが分かれ道だと思っています。

幸い,私は PC をそこそこ使えますので,能動的に情報を見つける作業を毎日しています。
そこには,自分が知らなかった新しい発見が沢山あり,それを理解するために更に調べる行為をします。
それによって,脳は常に新しい刺激を受けています。
これがとても大切なことだと考えています。

常に新規なことに取り組む姿勢を崩さないこと。
そこには,調べるという行為によって新たな記憶の蓄積を生みます。
この積み重ねを生涯にわたって行うか否か。

それこそ,「もう年だから」は禁句です。

82 歳でアップルのアプリを開発した方を紹介しましたが,この方が典型だと思います。
ご両親と同居なさっている方は,「もう年だから」と余り言ってはいけません。
勿論,体力的なことも含めた言葉でしょうが,言われた方は,そのように自覚し始め,行動を縮小してしまいます。

やんごとなき理由で,新規な取り組みを始めたのはいいのですが,今までに経験したことがないので,ここ1週間悪戦苦闘しています。
しかし,それは苦しいだけではなく,楽しいことでもあります。
何故ならば,自分の可能性を試す機会にもなるからです。

介護施設で勤務していて,最も悲しかったのは,ご家族が,
「これ以上年寄りに金を使いたくない」
と言われたことでした。

幼少の頃からさんざん親に迷惑をかけ,お金を使わせてきたのに,衰えてくるとのけもののように扱い始める。
年配の方々の苦労があったからこそ,「今の自分がある」ことを忘れてはいけないのではないでしょうか。

なかなか出来ることではないかも知れませんが,どんな小さなこともいいので新たなチャレンジを継続することが肝要と思います。
そうすることで,脳は常に刺激を受け,新たな回路が出来上がってくるのではないか。
それを人生の楽しみとして行えるならば,これほどの倖せはないかも知れません。

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