恒常的な虐待はなかったのか

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岐阜県高山市桐生町の介護老人保健施設「それいゆ」で2017年7月末以降,入所者3人が相次いで死亡し,2人が負傷していたことが明らかになった(毎日新聞)

介護施設で「事故」が発生した場合,施設は,市町村の担当課に報告する義務があります。
報告を受けた市町村は,都道府県の担当課に報告し,内容が重大な場合は,今回のように,介護保険法に基づいて立ち入り調査が行われます。

施設は,指摘を受けた事項について,改善計画を提出します。
場合によっては,その計画の成果を確認する場合もあります。
この場合,警察が関与することはありません。

以上が,「事故」発生処理のプロセスです。
通常であれば,これで一応の終結になるのですが,今回のように新聞報道されることは極めて希(まれ)で,県警も死亡した経緯について職員から事情を聴くなど捜査を進めています。

私は,県警が捜査を始めた理由は,都道府県の担当者が事件性があると判断して警察に通報したか,遺族が相談し,それを受けた警察は,これを「傷害事件(業務上過失致死)」の可能性があると見做したためではないか,と思っています。

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今回の5名の方は,認知症対応の療養棟で処遇されていました。
この方々の認知症の度合いがどれほどだったのかは発表されていませんが,重度の場合,時間感覚や季節も分からなくなり,日常生活のリズムが壊れてしまいます。
そのような方を介護するのは大変で,施設職員は苦労しているのが実情です。

安易な推測はすべきでないでしょうが,私は,「虐待」の可能性も否定できないのではないかと考えています。
「虐待」とは言えないまでも,荒っぽい処遇をしていたのではないかと思います。

特に夜間は,勤務者数も少なく,認知症の方の中には昼夜逆転されている方もおられるので,職員は,ついそうなってしまいがちになります。
その上,職員の中に,「認知症なので,どうせ何も覚えていまい」という意識が芽生えてしまうと,それが引き金になって,「虐待」してしまうことは否定できません。

警察の今後の捜査を待つしかないが,5名の方に関わっていた男性職員が退職しているのが気にかかります。
施設側は,その職員に何らかの原因があることが分かっていて,問題が発覚する前に闇に葬ろうという意図があったとすれば,組織的な隠蔽を画策しようとしたのではないかと疑われても仕方ありません。

家族を預ける側は,自分たちで介護できないという負い目があり,少々のことがあっても,今回のように顕在化してきません。
それが,処遇する側の付け目になっていないでしょうか。

介護職員の給与は,職務内容の割には総じて低く,激務の中で,つい何かをやってしまうことはあるかも知れませんが,被害を受ける高齢者に罪はないのですから,もし,そのような方々に腹いせで「虐待」したとすれば,それは本末転倒であることを自覚する必要があります。

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